時給1ドル20セントの貧しいスコッドランドの生まれの少年から、世界最高レベルの富豪となった大実業家の男をご存知だろうか? その男は、カーネギー鉄鋼会社を立ち上げ、アメリカで大きな成功を収め、ジョン・ロックフェラーに次ぐ史上2番目の富豪となり「鉄鋼王」と呼ばれた男、アンドリュー・カーネギーである。
その人生はまさに貧困からの大逆転といえる。そんなアンドリュー・カーネギーの逆境から這い上がってきた人生にフィーチャーしてみよう。
史上2番目の富豪になるまでの軌跡
出典:ja.wikipedia.org 1835年、アンドリュー・カーネギーはスコットランドのダンファームリンに生まれた。父親が失業し、家庭は貧困層へと没落し、10歳で学校を退学することになり、仕事を求め一家でアメリカに移住。
カーネギーが12歳の頃には紡績工場に就職し、週給1ドル20セントの糸巻き少年として働く。そんな厳しい労働環境の中で、簿記の勉強に没頭するようになる。そこで、実際の企業経営の数字を見て、簿記の知識をもって、当時花形であった繊維工業が時代遅れになりつつあることを知る。その後、18歳まで4度の転職を重ねるのだ。
時給1ドル20セントの貧困層から史上2番目の富豪へ
出典:ja.wikipedia.org 4度目の転職先であるペンシルヴァニア鉄道で、彼の貧困生活に大きな転機が訪れる。上司から、500万ドルでの株の購入を勧められ、借金をしながらも、初めて株を購入する。
その後、寝台列車に可能性を感じ、寝台列車の会社へ投資。そこで大成功をおさめ、鉄橋の会社を設立。当時の鉄道の橋の多くは木製だったが、近い将来、必ず鋼鉄製の橋の時代が来ると予想していた。この事業も大成功をおさめ、ペンシルヴァニア鉄道を辞職し、実業家となる。
そして、1870年代にカーネギー鉄鋼会社を創業。1890年代には世界最大で最も高い収益を出す会社となる。1901年には、J・P・モルガンに4億8000万ドルでカーネギー鉄鋼会社を売却。エルバート・H・ゲイリー(英語版)のフェデラル鉄鋼会社と合併してUSスチールとなった。
事業により得た莫大な富の多くは、カーネギーホールの建設、引退した従業員のための年金基金の設立などに費やす。加えて、図書館建設、世界平和、教育、科学研究などへの多額の寄付を行った。
貧困を乗り越え、世界有数の富豪まで登りつめた男、アンドリュー・カーネギー。そんな彼の、誰もが直面するであろう逆境を乗り越えるための名言をご紹介しよう。
アンドリュー・カーネギーの名言から学ぶ“逆境論”
出典:ja.wikipedia.orgアンドリュー・カーネギーの名言 #1「チャンスに出会わない人間はいない」
貧困の中でも、厳しい労働環境の中でも、簿記の勉強を続けたことで、株の売買、投資の世界に入り、大成功をおさめたアンドリュー・カーネギー。どんな環境にいても、言い訳をせず、それをチャンスに変える努力をし続けた彼の重みのある名言である。
アンドリュー・カーネギーの名言 #2「習慣」
多くの成功を成し遂げた、アンドリュー・カーネギー。しかし、その倍以上の失敗を積み重ねてきた。成功にせよ、失敗にせよ、結果論であり、それを本人がどのように受け止めるか。その判断の積み重ねとしての習慣の違いが、何かを成し遂げる人間の違いなのではないだろうか。
アンドリュー・カーネギーの名言 #3「それ以上のこと」
普段、働いていると、目の前の仕事でいっぱいになり、やるべきことだけで一週間が終わり、他のことができていない人が多いのではなかろうか。アンドリュー・カーネギーは貧困生活にあえぎ、時給1ドル20セントで厳しい労働環境の中、簿記の勉強にも取り組み、見事チャンスをつかみ、大成功をおさめた。
忙しいから、目の前の仕事でいっぱいだから、それは全て自分で決めているだけ、限界を決めているだけということではなかろうか。自分に課せられた条件に言い訳せず、それ以上のことに取り組める人間こそが、成功をつかむ。これが彼が言いたいことなのかもしない。
アンドリュー・カーネギーの名言 #4「現状に満足するな」
もし、アンドリュー・カーネギー自身が現状に満足し、俺はこのままでいいと思っていたなら、彼の成功はあり得なかっただろう。貧困のまま、生涯を終えていたはず。彼の人生から、現状に不満をもち、満足せず努力をし続けることの大切さを改めて痛感する。
アンドリュー・カーネギーの名言 #5「先延ばしをするな」
仕事において何を後回しにするかというのは、優先順位を考え、タスクを処理する際に重要な考え方である。しかし、ことあるごとに先延ばしにし、後でやればいいという思考が癖になって、処理するタイミングが曖昧なままだと話は別だ。その悪しき習慣は、緊急性があり、早急な決断によりチャンスを得られる仕事や事象に出会った際に、そのチャンスをやすやす手放しかねないからである。
また、この悪しき習慣は主体性、積極性を奪い、ただ呼吸をし生きているだけの漫然と人生を過ごす人間を生み出す危険性がある。チャンスを貪欲に求め、生きてきたアンドリュー・カーネギーらしい名言である。
アンドリュー・カーネギーの名言#6「貧困こそ宝」
貧困を経験し、史上2番目の富豪にまで這い上がったアンドリュー・カーネギー。そんな貧困という過酷で、辛い環境を彼は宝というポジティブなものとして捉えていた。どんなにネガティブに見えるものであっても、捉え方次第によってはもの凄くポジティブなものと考えることもでき、そういった思考こそが逆境を乗り越えるために必要ということではなかろうか。
貧困から這い上がり、史上2番目の富豪にまで登りつめた男、アンドリュー・カーネギー。チャンスを貪欲に求め、現状に満足せず、努力を続けた男の言葉には、経験に裏付けされた重みを感じる。
富を得てなお、社会に還元し続けるその姿、言葉からはビジネスマンにとって大切なものを学べるのではなかろうか。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう