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自動車界のニューフェイス・コネクテッドカーで見る「自動車産業の未来予想図」:自動車産業の将来とは

Erika Muranaka

2015/12/25(最終更新日:2015/12/25)


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by ラルフ
 コネクテッドカー(Connected Car)という言葉を聞いたことがあるだろうか? コネクテッドカーとは情報通信技術を備えた自動車のことで、インターネット通信機能をもつため、情報を収集することも、配信することも可能な自動車となっている。

 コネクテッドカーは、世の中のあらゆる物をインターネットにつなげていこうとする、IoT(Internet of Things)の大きな流れの中で半ば必然的に生まれたひとつの産物である。将来的には、全ての自動車がコネクテッドカー化するということも十分に考えられる。
 
 コネクテッドカーが近い将来、どのような形で発展していこうとしているのか。そこで今回は、それぞれの企業がどのようなコネクテッドカーを開発しているのかを確認しながら、自動車産業の将来がどのように変化していくかを考えてみたい。

新時代の車・コネクテッドカーで見る「自動車の未来予想図」

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by Vodafone Germany Corporate Communications

コネクテッドカーにみる自動車産業の将来①:車両緊急通報システム

  自動車事故発生時に、自動で警察や消防などのに緊急通報を行うシステムを搭載したコネクテッドカーの導入が、世界各国の自動車産業において進められている。欧州においては政策としても進められ、2018年4月からは車両緊急通報システムの新型車への搭載が義務化されることにもなっている。
  
  日本においても、車両緊急通報システムのサービスの運用が始められている。自動車産業企業が開発、運用しているもの、緊急通報システムサービス業からの参入など、形態は多様で、どのような形で普及してくかによって自動車産業の将来の在り方もまた変わることだろう。

 コネクテッドカーにみる自動車産業の将来②:盗難車両追跡システム

  自動車の盗難時に、車両の位置を追跡することができるシステムを搭載したコネクテッドカーは、既に実用化されていて、その機能も進化している真っ最中である。盗難時には位置の追跡だけでなく、遠隔操作によってエンジンの始動を抑える機能や車両を減速させる機能などだ。
 
 車両緊急通報システムと同じく、自動車産業企業が開発、運用しているシステムもあれば、システムサービス業の参入もある。このシステムもどのような形で普及していくか、自動車産業の将来の在り方が問われることになるだろう。

コネクテッドカーにみる自動車産業の将来③:テレマティクス保険

 欧米の保険会社は、利用者の運転中の行動や運転時間帯に関する情報を収集し、それに基づいて保険料を算定するテレマティクス保険の導入が進んでいる。これはコネクテッドカーによって、リアルタイムに自動車の情報を配信することによって成立する保険である。
 
 日本においても保険会社と自動車産業企業が連携し、テレマティス保険サービスの提供を始めている。まだ始まったばかりであるが、将来的には普及していく可能性があるだろう。

コネクテッドカーにみる自動車産業の将来④:自動走行

 人の力を借りずに自動走行するコネクテッドカーは、まだ実用化に至ってはいないが、将来的には実現、実用化する見通しである。自動車産業企業のみならず、IT企業も参入して研究・開発が進められている。

 将来、自動走行するコネクテッドカーが実現すれば、配送トラックの自動化により流通ネットワークが変化することも予測されている。自動走行するコネクテッドカーは将来的に、自動車産業だけではなく、流通業の在り方を変えていくことにもつながることだろう。

コネクテッドカーにみる自動車産業の将来⑤:車載OS

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by Vodafone Germany Corporate Communications
 前項でも触れたが、コネクテッドカーの研究・開発を進めているのは自動車産業企業だけではない。IT企業の参入が目立ち、GoogleやAppleは既に車載OSを展開している。
 
 スマートフォンにおいて、GoogleのAndroidのようにメーカーよりもむしろOSのブランド力が強くなっているように、自動車においても車載OSのブランド力が強くなることもありえる。将来、自動車産業がどうなっていくかは、車載OSの普及の仕方が大きく関わってくるのかもしれない。


 以上の中で、最も特筆すべき事柄ーーそれは、自動車のコネクテッドカー化を進めているのが、もはや自動車産業に属する企業だけではなくなってきているということだ。

 自動車産業は近い将来、産業としての構造自体に大きな変革が生まれていくことだろう。将来的には、自動車産業は自動車産業というくくりで考えられること自体ができなくなっていくという可能性もある。

 近い将来、コネクテッドカー化が進むことで、自動車産業は自動車サービス産業という枠組みに組み替えられられていくかもしれない。現存の自動車産業という枠を超え、将来的には現存のIT企業や保険企業、システムサービス企業など、多種多様な企業と、連携、協力、競争を行う、自動車サービス産業という複雑な産業になるのかもしれない。

 現存の自動車産業において強さを誇る企業もコネクテッドカー化の流れをしっかりつかまえることができなければ、将来的にも強者でいられるか分からない。これからもそれぞれの企業が、どのようなコネクテッドカーを生み出していくかに注目していきたいものだ。

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