近年、コミュニケーションツールが多様になり、相手に何かメッセージを伝えたい場合にも、メールやSNSなどを用いることが多く、手紙は使われなくなってきている。そんな手紙を送る機会があったとしても、定型文が多いメッセージになることが多く、華のある一言もないことが多い。
仕事を進める上で、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は最も重要なコミュニケーションである。そのため、仕事に関連する内容だけが書かれた膨大な量のメールが毎日、送られてきている。そんな中、相手を気遣うような気の利いた一言が書かれたメッセージが届けられたら、相手はどのような反応をするだろうか。嬉しくなると同時に、自分に好印象を持つかもしれない。
そこで今回は、エッセイスト・臼井 由妃氏の『心が通じる ひと言添える作法』から、ビジネスでもプライベートでも、人間関係が良くなる気の利いた一言をメッセージとして伝える方法を学んでいこう。著者の臼井氏は、そのようなメッセージを伝えるのに、一筆箋を用いることを勧めている。ビジネスにおける一筆箋の使い方にも注目だ。
人間関係を良好にする一言
ビジネスにおいて、無駄なコミュニケーションをとることはあまり好ましくないという印象がある。だから、必要最低限の業務的なメッセージを一言、相手に伝えるだけで済ましてしまうのが普通である。しかし、その普通という概念をひっくり返すことが大事なのだ。つまり、相手はまさか気の利いた自分を喜ばせてくれるような一言を、業務的なメッセージの中に含んでいるとは思いもしていない。サプライズ効果と共に、自分の印象が良くなることは間違いないだろう。
年賀状など、何かしら目的のある紙媒体でのメッセージなら、手書きで一言加えることには抵抗がない。しかし、電子メールの場合、スピーディーにメッセージをやりとりできることが特長であるため、一言を添えるような習慣もなく、抵抗感があるだろう。しかし、この特長も逆手にとるべきだ。忙しい相手を気遣う一言を加えるだけでいいのだ。例えば、「返信のお気遣いは無用です」と一言添えるだけで、相手の負担を減らすこともできるだろう。
しかし、あくまでもビジネスの場なので、伝えたいメッセージがわかりづらくなるような一言の使い方をしていては、逆効果になってしまう。ここで使えるのが、「p.s.」である。これは、追伸の意味があり、本当に伝えたい業務的なメッセージを書いた後に用いると、相手を気遣った個人的なメッセージを一言加えることができるのだ。
さらにワンランク質の高い一言
同じメッセージの内容を伝えるにしても、言葉は多種多彩に存在している。日常の習慣として、相手を気遣う一言を考えていると、自然と語彙力が高くなる。そうすると、自分が相手に伝えたいメッセージを適切な表現の一言にして、伝えることができるだろう。
他にも、ただ一言を加えるだけではなく、メッセージを書いている場所や日時を書くと良いだろう。相手がそのメッセージを読んだ時に、どんな状況でこんな一言を送ってくれたのかイメージしてくれる。たった一つのメッセージでも、印象深いメッセージになるだろう。
相手に悪い印象を与えてしまいそうな、謝罪の意を示さなければならない場合でも一言の使い方は重要だ。相手がどのような謝罪を期待しているのか考えてみよう。長々と言い訳がましいメッセージを伝えるよりも、短く簡潔な一言で、語尾が曖昧にならないように、反省の意を伝えるのが最善である。
一言を伝える最強ツール「一筆箋」
一筆箋の魅力は何といっても小さなサイズである。伝えたいメッセージをコンパクトな形でシンプルに伝えられるツールなのだ。メールでのやり取りが多い現代だからこそ、一筆箋はとても目立つ。一筆箋に書くメッセージを考えてくれたというだけで、相手は良い印象を持つ。さらに、一筆箋を使うことで自分のパーソナリティを相手に感じてもらうことができるのだ。
一筆箋に書くメッセージは、コンパクトな形でシンプルに伝えることが重要だ。あれこれと伝えるのではなく、伝えたいメッセージを一言に簡潔にまとめよう。しかし、文字数を削れば良いという問題ではない。あまりにシンプルすぎると、誰にでも当てはまるようなメッセージになってしまい、相手を思いやる気持ちが伝わらない。そうならないように、自分の気持ちを素直に、一言にまとめるのだ。
一筆箋の書き方が難しいと感じた人も少なくないだろう。それは、相手のことを気遣う以前に、メッセージをどう書くかということに集中してしまっているからだ。相手を気遣いつつ、自分も気楽にメッセージを書き始めてみよう。意外と書いてみると進むものだ。書いていく中で、相手が興味をひくような一言の表現をしようと心掛けると良いだろう。
ビジネスの場面で、上司や取引先などにメッセージを送る場面は多々あるだろう。仕事を効率的にこなしていくのに、自分に好印象を持つ人が多いことは、大きな武器となる。そのため、著者は業務的なメッセージにも、相手を気遣う一言を加えるべきであると説いている。常に、相手を気遣う気持ちを持つことを心掛けてみてはいかがだろうか。この細かい気遣いこそが、大きなビジネスチャンスを生む可能性を大きくするのだ。たった一言が、今後のあなたを大きく変えるかもしれない。
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