ミスというものは、企業にとって恐ろしいものである。メール一通の誤送信で、取引先との関係が絶たれてしまうかもしれない。入力ミスで、会社が億単位で損失を出してしまうかもしれない。しかし、私たちが人間である限り、ミスはしてしまうものだ。これは仕方のないことである。肝心なのは、ミスとどう向き合うかだ。
本書『仕事の「ミス」をなくす99のしかけ』では、ミスの発生率を下げ、流出防止となる環境や仕組み、方法の「見える化」と「改善」の事例99個を紹介している。ミスに強い職場に生まれ変わるためには、必須の一冊だ。
今回は、ミス対策が万全な仕事環境をつくるにはどうしたら良いのか、ということをお話ししたい。
仕事のミスへの処方箋#1 「整理基準」をつくる
by Miia Sample 著者曰く、ミス対策は常に確率との戦い。モノが自分の周りにあればあるほど、それだけ自分のミスも増えてしまう。もしあなたが今職場にいるならば、自分のいるデスクを見回してみよう。今のあなたの仕事に必要ないものが、どれだけあるだろうか。
もし多いようであれば、必要なものと不必要なものを分けて整理整頓をしよう。整理整頓をしていくうち、必要なものか、必要じゃないのかわからないものが出てきてしまうだろう。そんなときには、「整理基準」を設けるといい。整理基準があれば、必要なものは明確になる。逆に、不必要なものは、心おきなく破棄できる。
この「整理基準」は、人それぞれ違うが、オフィス業務において必要なものかどうかを判断するには、情報の有効期限で考えてみるのが良い。今あなたが使っている資料は、今必要なものだ。それ以外は、机やパソコンのデスクトップから撤去しよう。どうしても一定期間保守しておかなければならない資料があるならば、邪魔にならないところへ置いておこう。
このように、必要最低限のものだけを自分の周りに置くことで、集中力アップにつながるし、勘違いから起こるミスの対策もできる。
仕事のミスへの処方箋#2 最新ファイルを明確に
パソコンのフォルダには、たくさんのファイルが入れられる。たくさんのファイルが入れられるからこそ、フォルダの中身がごっちゃになってしまっていないだろうか。それではフォルダの意味がない。似たような名前のファイルでフォルダが溢れて、わけがわからなくなってしまう可能性もある。ミス対策する人の敵は、似たものが複数ある環境だと著者は主張する。似た名前だが、古い方のファイルに修正を加えてしまって、問題になるケースは珍しくない。
ミスの対策には、1フォルダに1ファイルの原則を採用しよう。まず、仕事に必要なファイルと同じ名前のフォルダを作成する。例えば、見積書ファイルを入れるなら、「見積書フォルダ」だ。「見積書フォルダ」に見積書ファイルを保存し、そのファイルを日付順に並び替える。最新の見積書ファイル以外は全て不要だ。不要な見積書ファイルは、旧見積書フォルダを作成して入れておくか、破棄してしまおう。
仕事のミスへの処方箋#3 ファイルの縦置きを徹底
by Dvortygirl 資料を少しの間置いておこうと思って机に置きっぱなしにしていると、悲惨なことが起きる。資料をどんどん重ねて置いてしまい、地層のようになってしまうのだ。こんな風になってしまうと、目的の資料を取るには、上から順番に重い資料をどかさなければいけない。探している際に資料を混ぜてしまい、さらに探すことが困難になってしまうという可能性もあるだろう。
取り出すときの混乱に拍車をかけるこの「地層」。非常に厄介で、仕事の効率も悪くなること間違いない。だからこそ、資料やファイルは縦置きにしておこう。自立して縦置きができない資料は、キャビネットに入れてでも縦置きにしよう。机の上には横向きに置かれている資料はナシにするのだ。これで、ミスもストレスもなくなる。
机が散らかっていると、自分の仕事にもやる気が起きない。資料で敷き詰められた机の狭いスペースを活用しても、窮屈で快適に仕事ができないのは確かである。加えてミスを自分が連発してしまえば、一気にストレスがたまってしまうだろう。少しでも自分が気持ち良く仕事ができるように、オフィスの机周りや、パソコンのファイルをスッキリさせてみよう。
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