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コストリーダーシップ戦略で見る“王者の儲け術”:ユニクロ、マクドナルド……日本企業における実践例

Erika Muranaka

2018/09/02(最終更新日:2018/09/02)


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出典:www.flickr.com

 ビジネスでよく耳にする「コストリーダーシップ戦略」。大まかな意味しか知らない人も多いのではないだろうか。また、言葉の意味を知っていても、実際にビジネスでどう利用されているか把握している人は少ないのではないだろうか。

 この記事では、「コストリーダーシップ戦略」の意味と、コストリーダーシップ戦略によって成功を収めている日本企業の実践例を7つ紹介する。

コストリーダーシップ戦略の概要

コストリーダーシップ戦略とは

 コストリーダーシップ戦略とは、アメリカの経済学者、マイケル・ポーターが提唱した競争戦略のうちの1つ。

 企業が他社と競争するにあたって、コストを下げる、価格が安いことを利点として集客することで、競合他社に勝とうとする戦略のことである。

マイケル・ポーターの競争戦略:3つの基本戦略

 マイケル・ポーターは3つの基本戦略として、コストリーダーシップ戦略の他に、差別化戦略集中戦略を提唱している。

 差別化戦略は、他社にはない特徴や差異を生み出すことで、他社に勝とうとする戦略である。

 集中戦略は、特定の地域や特定の消費者など、特定のセグメントに戦うフィールドを集中する戦略である。その上で、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略を進めていく戦略となっている。

企業における競争戦略

 実際に企業がとっている戦略は、コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略と明確に色分けができるわけではない。

 複雑な現代の経済社会においては、企業の競争戦略はそれぞれ複合的な色合いをもっている。

 しかしそれでも、企業によってどの戦略の色合いが強く出ているか、それぞれに特徴がある。

 今回は、コストリーダーシップ戦略の具体的な実践方法を知るために、それぞれコストリーダーシップ戦略の色合いを強くもつ日本企業の実例を紹介していこう。

コストリーダーシップ戦略:日本企業の実例7選

コストリーダーシップ戦略:実例1 ユニクロ

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 ユニクロは、コストリーダーシップ戦略を強い競争戦略を持つ例として挙げられる。

 ユニクロの強みは、価格を安く抑えながらも、品質の良いところだ。高品質のものが安く買えるという点が多くの人に支持されている最たる所以。

 ユニクロの高品質・低価格というコストリーダーシップ戦略を実現しているのは、SPA(
speciality store retailer of private label apparel
)という仕組みによるものだ。

 SPAとは、企画から製造、販売までを一手に行う形である。中間マージンなどの余分なコストをカットし、製品に転嫁することができる。これにより、品質の良いものを低価格で販売できるのである。

コストリーダーシップ戦略:実例2 ニトリ

 ニトリの競争戦略もユニクロと同じく、SPAによって低価格を実現させ、コストリーダーシップ戦略の色合いが強く出ている。

 元々はアパレル業界から始まったSPAモデルだが、徐々に他の業界においても展開されるようになっていった。

 日本の家具・ホームファッション業界で、先駆けてSPAを導入したのは、何を隠そうこのニトリなのである。

コストリーダーシップ戦略:実例3 日本マクドナルド

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by mxmstryo
 マクドナルドは、コストリーダーシップ戦略の色合いが強く出ている企業の代表といってもいいだろう。

 過去には、コストリーダーシップ戦略に走りすぎ、それに他社が追随して値下げ戦争が起きる事態となったこともある。その結果、値下げによる客単価の低下を背景に業績は悪化した。

 こうした経験から、現在はコストリーダーシップ戦略のみに注力するのではなく、競争力のある商品開発やシステム開発にも力を入れるなど、様々な戦略を複合させる方向になっている。

 それでも、コストリーダーシップ戦略を重視しているのに変わりはなく、低価格商品を充実させている。

 マクドナルドがコストリーダーシップ戦略を実現させている仕組みの1つに、優れた物流システムが挙げられる。

 例えば、1つのハンバーガーを作るまでの工程にもあらゆる効率化・省力化の工夫がなされている。それによって、品質を保ちながらも、コストを抑えているのである。

 また、コストリーダーシップ戦略をとり続けるためにも、そのシステムを常に改善していく試みが行われているのだ。マクドナルドの強みは、常に改善されていく優れたシステムにあるといえる。

コストリーダーシップ戦略:実例4 サイゼリヤ

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 サイゼリヤもまたマクドナルドと同じく、徹底した効率化とシステム化によって他社よりも低い価格で商品することを実現している。

 そのため、サイゼリアの競争戦略もまた、コストリーダーシップ戦略の色合いが強く出ていると言える。

 サイゼリヤもコストリーダーシップ戦略をとり続けるために、他社にない管理システムへの徹底ぶりで、流通の効率化・システム化を進化させていこうとしているようだ。

コストリーダーシップ戦略:実例5 エイチ・アイ・エス

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 エイチ・アイ・エスの競争戦略もコストリーダーシップ戦略の色合いがあり、海外向け航空券が高価だった中で、格安海外航空券の販売を行うことで業界に対して衝撃を与えた

 今となっては、エイチ・アイ・エスよりも低価格で航空券を販売している競合他社もあるが、エイチ・アイ・エスは低価格ブランドを確立したことによって、コストリーダーシップ戦略を取り続けることができている。

コストリーダーシップ戦略:実例6 ヤマダ電機

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 ヤマダ電機の競争戦略は、まさにコストリーダーシップ戦略といえるだろう。

 コストリーダーシップ戦略は、低価格を実現していくことから、基本的には経営資源の強い業界におけるマーケットリーダーに有効な戦略となっている。

 家電量販店業界の構造は、ヤマダ電機にとって有利だ。家電量販店においては、商品の性質上商品の差別化が難しく、戦略としてはコストリーダーシップ戦略を選ばなければ難しい状況なのである。

 そして、業界のリーダー的存在であるヤマダ電機がコストリーダーシップ戦略をとり、他もコストリーダーシップ戦略をとった場合、経営資源の強いヤマダ電機は非常に有利なのである。

 経済競争においては、規模の経済に勝るマーケットリーダーがコストリーダーシップ戦略で、チャレンジャー的立場の競争相手を押さえ込むケースも多いのだ。

コストリーダーシップ戦略:実例7 すき家

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by Yuya Tamai
 業界トップのヤマダ電機がコストリーダーシップ戦略をとっている実例を上述したが、ここで、牛丼販売業界における異例を紹介したい。

 牛丼販売業界トップの吉野家がとっている戦略は、品質重視・サービス重視の低価格にとらわれない差別化戦略がメインである。

 そして、牛丼販売業界においてコストリーダーシップ戦略の色合いが強いのが「すき家」である。

 すき家は、コストリーダーシップ戦略による徹底した低コスト化、少人数オペレーションによる店舗運営により競争優位に立った

 ただし、近年の競争激化する外食業界全体の値上げに伴い、品質重視の差別化戦略も取り入れつつある。

 以上、競争戦略として、コストリーダーシップ戦略の色合いが強く出ている日本企業の実例を紹介した。 マイケル・ポーターの提唱した3つの基本戦略の1つ、コストリーダーシップ戦略に対する理解を深めてもらうことができれば幸いである。

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