仕事でミスが多いとき、どう対応しているだろうか。落ち込んだり悩んだりしつつ、結果的にはしっかりしようなどと気合を入れてみるだけの人が殆どだろう。しかし仕事のミスというのは、そんな精神論で簡単に減るものではない。
仕事のミスを未然に予防し、再発を食い止めることができれば、私たちは今よりもっと質の高い仕事ができる筈だ。そこでおすすめなのが、本書『なぜかミスをしない人の思考法』である。本書では、ミスの多い原因とその防ぎ方を科学的なメカニズムを用いて解説している。
仕事で多いミスは、大きく分けて2つある。1つは個人レベルのミス、もう1つは組織レベルのミスである。それでは、それぞれの場合に対するミスへの改善策を紹介しよう。
個人レベルでの、ミスが多いメカニズム
出典:www.aol.com仕事でミスの多い3悪人
どうして仕事でミスが多いのか、その原因は主に3つある。
ミスの3悪人!
- 無知…ミスを防ぐためのルールや対策があるのを知らない
- 無視…面倒くさがって仕事の基本ルールを無視する
- 過信…自分に限って仕事でミスしないと思い込む
著者が42人のエンジニアを集めて、自分が仕事でミスした時の心理を分析させたところ、無知が35%、無視は9%、過信は17%だった。つまり半数以上のミスが、この3つに分類されるのである。実際に自分の経験を考えてみると、仕事のミスがこれに当てはまる人も多いのではないだろうか。
どうすれば3悪人にならずに、仕事ができるのか
ミスをしない人は、ミスを人のせいにしたり、誰かのミスを他人事だと思わないことが多い。人がミスをしたとき、『自分はああならないようにしよう』と考えることができれば、他人のミスを知識化し教訓化することができるからだ。また、仕事でミスが起きた時、それを自分の責任だと考えれば、人は必死になって策を練ろうとするだろう。人や環境のせいにすれば、ワンテンポ対策が遅れてしまうのだ。責任感を強く持つことでミスは最小限で済むのである。
組織レベルの仕事のミスを、早い段階で食い止める方法
出典:www.everydayinterviewtips.com 失敗学で有名な法則に「ハインリッヒの法則」というものがある。1つの重大災害の裏には29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏にはヒヤリとしたり、ハッとした300件の体験があるというものだ。つまりどのミスにも、必ず予兆があるということである。そこでこの法則から、以下の対策を取ることができる。
STEP1:異常の予兆をすぐ報告する習慣をつけよう
毎日の仕事の中で「どうもおかしい」という報告があれば、異常を皆で突き止めたり、解決策を講じたりできる。良い情報よりも、悪い情報こそ報告の重要性は高いのだ。そこで、異常があればすぐ上司に報告する、というシステムを作ることが大切だ。
また、この時上司が報告された異常やミスについて部下を叱ってしまうと、このシステムは上手く機能しないことが多い。上司の立場にある人は、ミスの報告がスムーズにいくように気を配ることが大切だ。
STEP2:甘い見積もりを排除しよう
今度はきっとミスしない、誰かがしてくれるだろう、もう少しすればよくなるかもしれない。そんな「根拠のない期待」は、徹底的に排除するべきだ。しかし、これが意外に難しい。それまで費やした時間やコスト、そしてプライドなどが邪魔をして、ミスを認められない場合がある。このせいでミスの予兆が隠されてしまうことも多い。
仕事で大きなミスを防止するには、ある程度の犠牲を覚悟してでも、対策を講じる必要がある。勇気をもってミスを認め、引き際を心得ることが重要なのだ。
仕事でのミスはやる気がある、なしの精神論ではない。もっと根本的な対策が必要だ。ミスは隠したいものだろうが、隠せばもっと大きい問題になってしまう。早い段階で勇気を出し、徹底した改善に努めることがミスの多い人には重要となってくる。
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