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カフェ経営者が陥る大きな落とし穴「目標なき夢」:“一年間で半数の店が閉店する”シビアな世界に迫る

Naoya Shishido

2016/03/20(最終更新日:2016/03/20)


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by anieto2k
 お洒落なインテリアと品のいい音楽が流れる店内で、美味しい料理と薫り高いコーヒーに舌鼓を打つ癒しの空間。カフェといえば、誰もがそんなイメージを抱く場所かと思う。

 「いつかは自分のカフェを持ちたい」という夢を持っている人も、中にはいるだろう。しかしカフェの経営は、ゆったりとした空間とは相反してシビアな世界なのだ。念願のカフェをオープンさせるも、1年にも満たず挫折というのはごく当たり前のことなのである。

 そこで今回は、1年足らずで半数以上が潰れるというカフェ経営の実態その理由、さらにはカフェ経営成功の秘訣について解明していきたいと思う。

実はリスクが高い「カフェ経営」の実態

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by Taema
 カフェ経営といっても、その形式は大きく分けて2つある。1つは、ドトールやスターバックスのような大手コーヒーショップのフランチャイズとして経営する形式。もう1つは、カフェのコンセプトから経営方法まで、個人で決定する個人経営の形式。下記は、フランチャイズと個人経営のカフェについてのデータだ。尚、立地条件やお店の規模などで異なるので、あくまで1つの指標だと思ってほしい。

フランチャイズのカフェと個人経営のカフェ比較

フランチャイズのカフェ
初期費用:約700万円~800万円(加盟料、商品保証料、店の指針にあわせた内装費など)
特徴:商品の仕入れルートが確立、経営の研修などのサポート体制が充実。ロイヤルティー(特定の権利を利用する利用者が、権利を持つ者に支払う対価)を支払う義務

個人経営のカフェ
初期費用:1000万円以上(改装代金、敷金、保証金、内装費など)
特徴:カフェのコンセプト、内装、提供商品まで自由に決められる

 フランチャイズカフェの場合は、運営サポートが充実しており、お店のブランドがあるので、初心者経営者であってもある程度の集客は望める。一方で、個人経営のカフェの場合は一から自分の好きな内装や料理を計画したお店づくりができるが、その分費用や集客などのリスクが大きい。

 どちらにせよ、カフェ経営は初期費用がかかり、リスクの高いビジネスだといえる。せっかくカフェをオープンさせても、競争の激しいカフェ市場では予想以上の集客が見込めず、資金も手も尽きてわずか数ヶ月で泣く泣く店じまいというケースが多い。とりわけ個人経営のカフェは、経営・資金操りから集客など、全て自分でやらなければならないので頓挫しやすい。

カフェ経営失敗の理由「目標のない夢」

 先ほど話をしたように、多くのカフェ経営者はせっかく起業したカフェを潰してしまっている。なぜなのだろうか。その一番の要因は、目標を決めていないところにある。
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出典: Amazon.co.jp
 日本に初めてタリーズコーヒーを導入したタリーズコーヒージャパン代表取締役の松田公太氏は、「夢」と「目標」の違いについて次のように述べている。

「夢」と「目標」は全くの別物だと私は考えている。目標とは、具体的な計画に基づいて、自分の実生活の羅針盤として必要なもの。一方の夢とは、たとえ具体性が乏しいとしても、思い描くだけで心が満たされるものだと思う。(一部省略)
活力に溢れた人生を送るためには、人には「夢」と「目標」の両方が必要だ。

出典:『すべては一杯のコーヒーから』(新潮文庫)松田 公太
 カフェ経営に関しても同様のことが指摘できるのではないだろうか。「カフェを経営したい」というのは素敵な夢だが、それだけでは経営を成り立たせることは困難。大事なのは、カフェを存続させるための「目標」である。

 例えば、「半年後、店の売り上げを黒字化する」という目標を設定する。そしたら、その目標達成に向けて何の課程が必要か洗い出す。「競合店や客層の調査、社員教育の徹底」など、様々な課程が浮かび上がってくるだろう。こうした「夢」とは別の「目標」を持ち、さらに目標に向けた綿密な計画を実行していくことが、継続的なカフェ運営へと繋がっていくのだ。

 また念願だった「カフェをオープンさせたぞ」と浮かれている経営者には、次の松田氏の言葉を念頭に置いてほしい。

カフェオープン(起業)は手段であり、目的ではない。このことが理解できていない経営者が多いので、半数以上のカフェ経営者が失敗の道を辿ってしまうのだろう。

 正直なところ、カフェをオープンさせるだけなら、誰にでもできること。カフェを存続させるための経営をしっかりと練り、実行することが真の経営者である。」

カフェ経営成功への道

 先ほどはカフェ経営が失敗する一番の原因について言及したが、今後はどういったカフェが成功しているのか探ってみよう。以下は、カフェ経営成功の2つのポイントである。

カフェ経営成功のポイント①「イベント開催」

 カフェの客単価は、基本1000円くらいが相場。回転率の良いフランチャイズならまだしも、1人ひとりが長時間滞在する個人経営では、コーヒーだけを売る通常経営の収益に限界がある。 そんなときに重要となるのが、「イベントでの収益」である。
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出典:www.minori-cafe.com
 例えば「医療や病気に関心を持てる場」をコンセプトにした「みのりCafe」では、年間250回ものイベントをカフェ内で開催するという。イベント内容は、健康や医療に関連したイベントから合コンまで様々。こうしたイベント収益は、通常営業よりも安定した収益を得られるようだ。

カフェ経営成功のポイント②「ソーシャルメディアを介した知人ネットワーク」

 フランチャイズのカフェとは異なり、個人経営のカフェにはカフェの専属ファンがつきやすい。さらに常連客とスタッフ同士が仲良くなり、アットホームな空間が形成されるだろう。そういったアットホームな空間が売りの個人経営カフェでは、ソーシャルメディアを利用した宣伝方法が効果的だ。お店の状況やイベントの様子などをTwitterやFacebookページ・Instagramを利用し発信していく。そしてそれをコミュニティー内(常連のお客)の誰かが、また違う誰かに発信していくという流れだ。第三者の発信以上に、知人間の発信は大きな威力を持つのだ。


 今回は「カフェの経営」を中心にお話してきたが、何もカフェに特化した話ではなく、あらゆる分野に通じる経営学に違いない。

 さらにいえば、カフェ経営が失敗する理由の「目標のない夢」については、個人にもあてはめることのできる。誰しも大なり小なりの夢があると思う。しかし夢を継続的に実現するには、確固とした「目標」とそれまでの具体的な「計画」が必要なのだ。これらを意識的に取り入れることで、あなたの人生は有意義なものとなるはずだ。

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