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ホスピタリティのプロが教える接客のコツ『お客様の“気持ち”を読みとく仕事 コンシェルジュ』

Erika Muranaka

2018/09/02(最終更新日:2018/09/02)


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ホスピタリティのプロが教える接客のコツ『お客様の“気持ち”を読みとく仕事 コンシェルジュ』 1番目の画像
by Alan Light
 あなたは自分の接客に自信があるだろうか? 接客はやり方次第で客をいい気持ちにさせることもあれば、不快にさせることもある。接客のよし悪しはお店の売り上げに直結する

 接客が上手なお店は客に愛され繁盛していくが、接客が下手なお店は続かない。いかにサービス内容がよくても、サービスの仕方である接客が悪ければだめなのだ。それくらい接客は重要なものなのである。
 接客にはコツがある。それは人をいい気持ちにさせるコツでもある。あなたが接客業で仕事をするビジネスパーソンでなかったとしても、接客のコツはどんな場面にでも使える。接客のコツをつかむことができれば、それは営業先とのやり取りや同僚との恊働の場面、ビジネスにおけるあらゆるシーンに役立つだろう。
 接客のコツにはどんなものがあるのだろうか。プロフェッショナルなコンシェルジュとして有名な阿部佳さんの『ホスピタリティのプロを目指すあなたへお客様の“気持ち"を読みとく仕事 コンシェルジュ』の中から、その接客のコツを具体的にいくつか紹介しよう。

プロのコンシェルジュが実践する接客のコツ

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by marumeganechan

接客のコツ1 客の言葉だけでなく反応も確認する

 接客をしていると、客におすすめを聞かれることがある。そんな場面でのコツの1つだ。こちらがいくつかのおすすめ案を提示していく中で、客は言葉で返事をする。けれど言葉だけでのやり取りですまさないようにしよう。きちんと反応を確認するのが接客のコツだ。
 さりげなく表情の変化にも細心の注意を払おう。反応を確認する接客のコツのポイントは、言葉にならないサインも情報としてキャッチするために、常日頃から自分のアンテナの感度を高めておくことである。
 言葉以外の情報を得るために、以前にも利用していただいたことのある客であれば、記録やデータベースが存在するなら、それを確認しておくことも接客のコツになる。

接客のコツ2 客のミスをユーモアでフォロー

 接客をしていると、客がミスをする場面に出くわす。そのようなとき、客は慌てていたり、恥ずかしさを感じていたりする。接客のコツとしてはまず、このようなときは客に安心してもらうことが大事だ。こちらがウィットやユーモアのあるフォローをすることで、客は安心するだろう。
 例えば「部屋に鍵をおいたままロックをしてしまった」という客に「今日その用件で見えたお客様はあなただけではないですよ」とユーモアのある笑顔で対応する。この接客のコツのポイントは、客の気持ちをくみ取って寄り添うことだ。

 他にもクレジットが使えないなど、客が不快な思いをするかもしれないことについては、客が事務的に「このカードは使えません」と言われたらどんな気持ちがするだろうかと自分自身が客の気持ちに寄り添って、言葉遣いに配慮するのも接客のコツになる。

接客のコツ3 勝手な思い込みで接客をしない

 これは阿部さんが実際に接客していた中での失敗談から知ることのできる接客のコツだ。阿部さんがルート案内をする際、タクシーではなく電車のほうが安く渋滞の心配もないので、あらゆる客に電車の利用をすすめていたことがあった。ほとんどの客は安く行ける電車の提案を喜んだが、ある客が「私に金のことを言うのか」と烈火のごとく怒ったのだそうだ。

 この失敗から接客のコツとして、思い込みで接客をしてはいけないことを痛感できる。客それぞれにとってベストなサービスは、それぞれ異なっているのだ。
 この接客のコツのポイントは、良いサービスを勝手に創り上げるのではなく目の前の客に目いっぱい関心を向けることだ。客に対し全神経を集中させ、それぞれの客に満足のいくサービスをそれぞれ提供しなければならない。

接客のコツ4 客とイメージを共有する

 客が「富士山に行きたい」と言う場合、それは「富士登山」を指すのか「富士を風景として眺めること」を指すのかによって、提供する情報が大きく異なる。「富士山に行きたい」 と言われたとき、もしかしたら「眺めたい」なのかもしれないのに、 きちんと確認をせず「富士山の登山口への行き方を案内」してしまっては客をがっかりさせてしまう。
 接客のコツとして、言葉だけでなく、気持ちをくんでお客のもつイメージを共有することが大事なのだ。この接客のコツのポイントは、きちんとイメージが一致するまで客と会話を続け、客がどのようなイメージをもってるかを聞き出すことだ。

接客のコツ5 客の本当の望みを探り当てる

 ある外国人客が、部屋に設置されている障子を気に入り、買って帰りたいとコンシェルジュに依頼した。しかし、その客は障子の利用法を知らないかもしれない。

 帰国後にどうやって使ったらいいか、お客が途方に暮れてしまうことは避けるべきだと考えたコンシェルジュは、障子は独立した構造ではなく「スライド式のドアのようなもの」であることを告げ、障子ではなくそれに似た衝立てをすすめた。

 ここに接客のコツがある。客の本当の望みは「障子を使いたい」ではなく「飾りたい」だったのだ。この接客のコツのポイントは、依頼をいったんは受け止めつつも、客が本当は何がしたいのかを考え、質問を投げかけることで真意を探ることにある。

接客のコツ6 「できない」を代案で「できる」にする

 例えば「富嶽三十六景」の中の一枚と同じ景色が見たいと言われて、「そんな景色はありません」と言ってしまっては元も子もなくなる。昔と今とで景色が大きく異なることを伝えつつも、「現代であればここで、こういう眺め方ができます」などポジティブな表現で「今できること」に置き換え、提案することが大事だ。

 できないことを依頼されたときの接客のコツは、すぐに「できません」 と答えるのではなく「どんなことならできるのか」を考えることだ。

接客のコツ7 客におすすめを聞かれたときの答え方

 接客において、客におすすめを聞かれたときのコツである。自分が気に入っている店ではなくその客が気に入りそうな店を提案することを心掛けよう。「あなたが好きなところを教えてほしい」と言われても、真に受けてしまうのはNGだ。その裏には「私が気に入りそうなところはどこですか」という真意が隠されているのだ。

 この接客のコツのポイントは、例えば「昨日は何を食べたか」などを聞きいて、客の気持ちを想像してベストの答えを探し出すことである。

接客のコツ8 確認は徹底的にする

 接客をしていると、スマートな接客に意識がいってしまい、確認する手間や、客に対する質問がおざなりになってしまうことがある。しかしちょっとした確認漏れが間違いを生み、大きなトラブルになってしまうことがある。何か違和感を感じたときには、その理由を伝えてきちんと確認するのが接客のコツだ。

 この接客のコツのポイントは、少しでも接客中に噛み合ないというような違和感を覚えたら、「大丈夫だろう」ですまさずに「本当にいいのか」と考えて対応することだ。

接客のコツ9 サービスはチームプレーでのぞむ

 接客のコツとして、サービスは自分だけでなく、チーム全体でするものという意識が大切だ。今日あったサービスが次の日になければ、客の不快感につながる。チームとして均質なサービスをする必要があるのだ。

 この接客のコツのポイントは、自分が接客中でなくてもさりげなく他のスタッフのフォローをしたり、引き継ぎをする際には要点を押さえ、理由や根拠をわかりやすく伝えたりすることである。


 『ホスピタリティのプロを目指すあなたへお客様の“気持ち"を読みとく仕事 コンシェルジュ』からいくつか具体的な接客のコツを紹介した。ここで紹介した接客のコツはコンシェルジュとしての接客のコツだが、接客業をする人にだけでなく、人と仕事をするビジネスパーソンにも当てはまることがたくさんある。
 客やスタッフとゴールを共有し、全てのネットワークを総動員してサービスを提供すること。無理難題であろうと「できません」と拒絶するのではなく、どこまで実現できるか挑戦すること。どんなコンディションであろうと、均質かつ高度な対応をすること。要望を上回る満足を提供すること。これはコンシェルジュだけに限ったことではなく、すべてのビジネスパーソンに求められることなのではないだろうか。

 現状から脱皮し、ワンランク上のビジネスパーソンを目指すあなたに『ホスピタリティのプロを目指すあなたへお客様の“気持ち"を読みとく仕事 コンシェルジュ 』の一読をおすすめする。

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 日本のビジネスにおいて、ホスピタリティはサービス・接客業以外の職種でも根底にある精神であるため、ホスピタリティを心得ているビジネスマンはどの職場でも重宝される。

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