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リッツ・カールトン元日本支社長が明かす「仕事の感性」の磨き方:仕事で結果を出せる『一流の想像力』

Mikako Sekine

2015/12/16(最終更新日:2015/12/16)


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リッツ・カールトン元日本支社長が明かす「仕事の感性」の磨き方:仕事で結果を出せる『一流の想像力』 1番目の画像
出典:www.j-wave.co.jp
  いつの世も、仕事で努力しているしているのに結果の出ない人がいる。うまくいかない現状を分析し、考察してなんとか現状を打破しようとするものの、やはり仕事はうまくいかない。なぜ、彼らの仕事はうまくいかないのだろうか。一体、何が足りないのだろうか。

 本書『一流の想像力』の著者 高野登氏は、仕事がうまくいかない彼らに足りないものは「想像力」だと主張している。「想像する」ことは、自分の常識を一旦取り払うことであるため、なかなかにハードなのだ。 

 本書は、想像力が生んだ信じられないような実話の数々が紹介されている。著者は、以前の記事「わずか20年で世界を代表するホテルへ。リッツ・カールトンが追求する『サービスを超える瞬間』」でも紹介した、リッツ・カールトンの元日本支社長の高野登氏だ。

 今回は、著者が働いていたリッツ・カールトンで、「想像力」を働かせて問題解決したお話やスタッフの工夫を本書からかいつまんで紹介したい。きっと、先のことを考えて常に行動するきっかけとなるはずだ。

仕事の結果は“想像力”で長期的に出す

リッツ・カールトン元日本支社長が明かす「仕事の感性」の磨き方:仕事で結果を出せる『一流の想像力』 2番目の画像
by Bruce Guenter
 ある日、リッツ・カールトンに「来月、このホテルのスイートを予約しており、プロポーズをしたいと考えている」という男性が現れた。彼は、ホテルのルームサービスを、ワゴンで1回で運んで終わりではなく、スープやサラダ、肉……とレストランのように別々に持ってきて欲しいと頼んだのだ。実はこの要求、簡単なことではない。ホテルの忙しい時間帯に、スタッフ用のエレベーターを1台確保しなければならないからだ。

 さらに、ハートの氷細工(アイスカービング)を作って、指輪をそのアイスカービングの中に埋めて、最後のデザートを食べている時に、ちょうどよく氷が溶け、指輪が出てくる仕組みに欲しいと男性客は頼んできた。

 こんなにも無理な要求の仕事を受けるのは、リッツ・カールトンらしいといえばリッツ・カールトンらしい。アイスカービング代はもちろん男性客に請求するものの、うまく氷が溶けて指輪が出てくるような氷細工を作るには、何回か実験が必要だ。

 何回か実験することは、はっきり言ってホテルにとってコストでしかない。しかし、このリッツ・カールトンでプロポーズが成功したら、この男性客は他のホテルで結婚式を挙げるだろうか? 答えは否である。リッツ・カールトンで挙式をし、記念日のたびに必ず来てくれるようになるのだ。

 手間暇を少しかけるだけで、結果的に彼らは将来にわたってお客様として足を運んでくれる。このことをスタッフは想像できたからこそ、無理な要求も素早く笑顔で受けたのだ。

想像力を刺激する準備を怠るな

 先ほど紹介した「プロポーズ大作戦」の他にも、リッツ・カールトンにはたくさんの素晴らしいエピソードがある。もちろん、すべての要望に応えられるわけではない。しかし、代案という形で仕事の“結果”を出している。

 客の依頼に迅速かつ最善を尽くした対応ができるのは、なぜだろうか? それは、想像力を刺激する準備が常日頃できているからである。彼らは、常日頃から客を喜ばせる「作戦」という名の「仕事の結果」を出していて、その作戦と結果を世界中のリッツ・カールトンに共有しているのだ。

 共有された作戦は、徐々にスタッフの中にアイデアとして蓄積されていく。アイデアとして蓄積されているからこそ、要望に完璧に応えられない場合でも、代案が出せるのだ。このように、他のチームのアイデアを自分たちのチームでも共有することで、いざという時に助けになるのだ。

“言葉”で想像力の翼を広げる

 リッツ・カールトンは、作戦とその結果のみを共有しているわけではない。彼らは、「言葉」や「ことわざ」もシェアしている。言葉の気づきをシェアすることで、それぞれの価値観を垣間見ることができるからだ。お互いに刺激を受け、その結果お互いを理解し合うことができる。

 読書や映画、人との会話で胸に響く言葉と出会ったとき、一人で味わうのではなく、スタッフ同士でシェアして味わうのだ。そして、その言葉についてディスカッションしてみると尚良いと著者は主張する。

 これは感性の筋トレにもなるが、言葉の様々な解釈の仕方を想像する「想像力」を鍛えるにはもってこいの方法なのだ。


 今回は、リッツ・カールトンで実際にあったお話を1つしか紹介できなかったが、1つのお話だけでも、様々な気づきがあることがわかって頂けただろうか。ビジネスにおいて、顧客のニーズをしっかりと把握すること(ニーズに気づくこと)はとても重要になってくる。リッツ・カールトンはその体現者と言えるだろう。

 本書にはリッツ・カールトンに関しての話以外にもこのように気づきのきっかけになるような実話がたくさん紹介されている。読み物としても、仕事へのモチベーションを上げる自己啓発本としても優秀な本書をぜひ手にとって欲しい。

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