HOMEビジネス 成城石井を率いる男・原 昭彦「お客様の期待に応えたい」:高いのに選ばれる、成城石井の経営戦略

成城石井を率いる男・原 昭彦「お客様の期待に応えたい」:高いのに選ばれる、成城石井の経営戦略

大倉怜士

2015/11/22(最終更新日:2015/11/22)


このエントリーをはてなブックマークに追加

成城石井を率いる男・原 昭彦「お客様の期待に応えたい」:高いのに選ばれる、成城石井の経営戦略 1番目の画像
出典:kencorp.metroblogs.jp
 ワンランク上の主婦たちが集うスーパーマーケット・成城石井。同スーパーは輸入食料品を数多く取り扱っており、ワインからチーズまで世界中の逸品を購入することができる上、近年は価格帯も見直され、比較的低価格でそれらの商品を購入できるようになってきている。

 そんなスーパーマーケット成城石井を率いるのが、現在の社長である原 昭彦氏(以下、敬称略)だ。営業マン出身の原 昭彦が、成城石井の社長に就任してからはや5年あまり。成城石井は不況を乗り越え、今もなお成長の中にある。

 そんな成長の裏にあるのは、同社の社長・原昭彦がポリシーとして掲げる「お客様第一の経営戦略」だ。当たり前のように思える「お客様第一」という理念。しかし、それを会社単位で徹底するのは意外と難しいものだ。

 今回は11月26日(木)にテレビ東京で放送される『カンブリア宮殿』での原昭彦特集に合わせ、原昭彦という人物から成城石井の成長戦略までを見ていこう。原昭彦は一体どのような人物で、どれほどにお客様を思っているのだろうか。

成城石井を率いる男・原 昭彦「お客様の期待に応えたい」

成城石井を率いる男・原 昭彦「お客様の期待に応えたい」:高いのに選ばれる、成城石井の経営戦略 2番目の画像
出典:www.seijoishii.co.jp
・生年月日:1967年9月23日
・出身地:東京都
・最終学歴:駒澤大学経営学部卒業

 原昭彦が成城石井に入社したのは、1990年のこと。成城石井がチェーン展開を始めてまもなくのことだった。そう、実は原昭彦という男、一介のサラリーマンから社長まで上り詰めた人物だったのだ。まさしくサラリーマンの偶像とも呼べる原昭彦。彼が社長となったのは2010年・42歳のときのことだ。

 以来、5年間に渡って同社の社長を続けてきた原昭彦。事業基盤の構築に大きく貢献してきたことで、社員からは成城石井の救世主とも呼ばれているという。そんな原昭彦が持つポリシー。それが「お客様第一主義」というものである。

お客様の期待にお応えしたい。

出典:社長あいさつ | スーパーマーケット成城石井

 成城石井ほどの大企業ともなれば、会社の社長も実績のある人間を連想してしまいがちだが、正直言って原昭彦にそこまでの知名度はないし、ましてや実績は皆無に近かった(特に、社長就任当時は)。

 しかし、そんなサラリーマン社長だからこそ第一線・現場を知っている。他社からやってくる凄腕社長にはたしかに経営のノウハウこそあれ、彼らはその会社を知らない。現場を知らない。

 原昭彦は成城石井一筋の仕事人だった。それは今も昔も変わらないことだ。そんな原昭彦だからこそ、成し得たことがあったのではないだろうか。お客様の生の声を大事にすることの「本当の意味での」必要性を理解していた原昭彦がいたからこそこそ、今の成城石井の成長はある。彼の言葉・ポリシーからは、そんな思い・原昭彦という人間性が強く感ぜられた。

高級スーパー「成城石井」と社長「原昭彦」

成城石井を率いる男・原 昭彦「お客様の期待に応えたい」:高いのに選ばれる、成城石井の経営戦略 3番目の画像
by tokyofoodcast

「安心・安全・健康」という透明性

安心・安全・健康というキーワードが重要になっています。成城石井の品ぞろえがそのニーズに合っていることも支持されています

出典:成城石井社長原昭彦さん - NIKKEI MESSE 街づくり・流通ルネサンス
 成城石井がワンランク上の奥様に選べれるスーパーな訳。その理由に関して原昭彦は「安心・安全・健康」という言葉を用いている。

 食品に対する人々のニーズは、「ただ食べられるもの」から「安心して食べられるものへとシフトしてきている。食料不足問題もありはするものの、基本的に我々は食料に困ることはない。お金さえあれば基本的に。その中で人々が自然と求めるようになるのもの。それはやはりお金じゃない、ブランドに対する透明性なのだと原昭彦は語っている。

成城石井は高級スーパーに分類されることもありますが、実は私たち自身、成城石井を高級スーパーとは考えていません。食品のおいしさや品質にこだわる人たちから、「成城石井のものなら間違いない」「成城石井のものなら安心だ」と言っていただけるような存在であることを目指す、日本で一番こだわりを持ったスーパーマーケットであると考えています。

出典:成城石井

 「成城石井なら安全だ」と人々に認知させること。これは経営戦略であり、一種のブランディングでもある。成城石井というスーパー=安心という図式を人々の、主婦の頭の中にしっかり刻み付けること。これが収益の安定、そしてさらなる市場の拡大に繋がっているのは間違いないだろう。

ワンランク上というブランドを貫く。

価格競争をやっていては、量を多く売る者が勝つだけ。われわれは製品の差別化につながる付加価値を見いだし、お客さまに伝えることを重視している。

出典:【十勝へのメッセージ-企業トップに聞く-】成城石井 原昭彦社長|WEB ...
 「高いのに選ばれる」というのが、今の成城石井を表すのに最も適切な言葉かもしれない(実際はそれほど「高い」わけでもないのだが)。現代の小売業界は「安いものを多く売る」という方向に流れてしまっている。

 「高ければ売れない」という強迫観念に押されて、値段をどんどん下げる。それに臆病になった競合他社もまた値段を下げていく。供給量が十分な現代の小売市場はデフレ化する一方なのだ。

 しかし、それでは他社との差異が消えてしまう。ひとつのスーパーブランドとしての価値を損なってしまう、とは思わないだろうか? それでは元も子もなくなってしまう。だからこそ、成城石井は自分のブランドというものを大切にしたのだ。どのスーパーとも違う、成城石井というスーパー。

 これが上記の「安全・安心・健康」という人々のニーズと相まって、今の成城石井を形作っているのだ。


 成城石井の社長・原 昭彦という人物が如何に「お客様第一」な経営者であるか、そしてそれらを如何に会社に、店舗に浸透させているか。この記事をお読みになった貴方なら、この答えが分かっていることと思う。

 成城石井というスーパーは空間からして、従来のスーパーとは異なっている。ワンランク上の買い物、ワンランク上の食材があなたを待っている場所ーーそれが成城石井なのだ。

hatenaはてブ


この記事の関連キーワード