今、中国の若者がこぞって使用していると言われるスマートフォンを販売する「シャオミ(Xiaomi)」。人気の理由は、Appleの「iPhone」に負けず劣らずの高スペックと原価ギリギリな破格価格での商品提供だ。
日本にはまだ馴染みがないので、初めて「シャオミ」を耳にしたという人もいるかもしれないが、創業わずか5年で売り上げ5兆円超えを果たした異例中の異例企業なので、これを機に覚えておくといい。
今回は、『シャオミ 爆買を生む戦略』の中から、短期間で急成長を続け、今や世界中から注目されるようになった「シャオミ」の一風変わった経営戦略をお伝えしたい。
シャオミの理念と経営戦略
出典:pplware.sapo.ptシャオミの経営理念
シャオミの経営理念とも言えるのが、「ユーザー参加」。一昔前であれば、ユーザーは単に商品を購入するだけの存在だったかもしれないが、インターネットが発達し、人や場所を問わずインタラクティブなやり取りが可能になった今、シャオミはユーザーと企業が一緒に商品を作り上げると経営を目指すしている。
シャオミの経営戦略「3と3の法則」
さらにユーザーの参加意識を高めるに、シャオミでは3つの戦略と3つの戦術から成る、通称「3と3の法則」を展開しているようだ。
まず3つの戦略とは、1つに優秀な商品に労力を注ぎ込む「ずば抜けた製品」と、ユーザーにメリットを与えて信頼を醸成する「ファンの獲得」、そして社員・ユーザーが一丸となり商品のPRを行う「独自メディアの構築」を指す。
一方で、3つの戦術とは、商品開発からブランド構築、販売までの一連のプロセスをユーザーに開放する「ハブの開放」、ユーザーが参加したくなるような「インタラクティブな企画」、そしてシャオミのコアなファンにファン層を広げてもらう「口コミによる話題拡散」である。
ユーザーが参加できる、シャオミならではの戦略
先ほど紹介した、シャオミの面白い経営戦略「3と3の法則」だが、その中でも「インタラクティブな企画」と「口コミによる話題拡散」について詳しくご紹介する。
「インタラクティブな企画」
販売面において、シャオミはユーザー参加を促すような企画を打ち出している。
例えば、シャオミのサイトで事前予約をしたユーザーだけが、販売日より早くに商品を購入できる特典をつけており、ユーザーが予約を完了するとウェイボー(ミニブログス)に予約完了という告知と商品の写真がユーザー内で共有できるようになる。シャオミのファンにとって、自分たちが手に入れた商品を真っ先に自慢し合うというのは、一種のイベント行事であり、サイト内で大きな盛り上がりを見せている。
このように、一方的な予約・購入という作業ではなく、ユーザーが参加し、そこから楽しみを感じる「インタラクティブなイベント」があるからこそ、シャオミは多くの人から支持を受けているのだろう。
「口コミによる話題拡散」
多くの企業は、まず自社のブランド構築のために、大勢のユーザーを獲得できる大々的なPRが効果的と考えている。しかしながら、シャオミのブランド構築をする上での戦略は、他企業とは一線を画している。シャオミの戦略は、自社のロイヤリティを高めてから、一部の固定ファンにPRしてもらうという方法だ。大々的なPRをした結果で掴めたユーザーの中には、商品知識や愛情が少ない人が多いというのが理由である。
シャオミにとって大事なユーザーは、誰よりも自社商品に理解があり、商品を愛してくれるユーザーなのである。だからこそ、たとえ時間がかかったとしても、信頼できるコアなファンからの口コミによって、新しいユーザーを誘導してもらう方法がふさわしいと考えているのだろう。
今回は、シャオミが取り入れている経営戦略「3と3の法則」の一部分しかご紹介できなかったが、本書『シャオミ 爆買いを生む戦略』の中では、事細かに説明がなされている。「シャオミの経営戦略は面白い」と感じた人は、是非とも手に取ってほしい。
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