1769年8月15日。中世という戦乱の世に生まれ、一介の軍人から皇帝、そして世界を統べる人間にまで上り詰めた男。それがナポレオン・ボナパルト(仏:Napoléon Bonaparte)である。歴史の教科書に欠かせぬナポレオンの名。18世紀・19世紀という戦乱の時代を生きたナポレオンの人生は、21世紀を生きる我々とて学べる(学ぶべき)ところが大きい。
ナポレオンという人間を一言で形容するとすれば、それは“行動の人”というフレーズがぴったりなのではないだろうか。一介の軍人から皇帝へと上り詰めた人間・ナポレオンは、52年という年月・人生を、全速力で駆け抜けた人でもあった。
ここではそんなナポレオンの人生・人生哲学を紐解くべく、彼の遺した名言にスポットを当てていこうと思う。行動の人・ナポレオンとは、一体どのような人間だったのか。彼の行動力の根幹にあるものとは?
ナポレオンの名言・珠玉の5選
出典:wp.unil.ch名言#1
これがナポレオンの名言の中でも、最も有名なセリフではないだろうか。仏軍の砲兵士官からそのキャリアを始めたナポレオン。そんな一介の軍人に過ぎなかった彼が、仏国皇帝の地位まで上り詰めることは、どう考えても不可能に近いことだっただろう。しかし、ナポレオンの辞書には“不可能”という言葉がなかった。
確かに人間を規定するのは可能性よりも、不可能性かもしれない。「私はプロ野球選手にはなれない」「歌が下手だから、歌手にはなれない」といった不確実性は、確かに人間を規定するかもしれない(これは森見登美彦氏の『夜は短し 歩けよ乙女』からの受け売りだが)。だが、それではあまりに普通の人間だ。「大事を成す」人間とはナポレオンという男のように、可能性=夢に生きる人間なのかもしれない。
名言#2
これもナポレオンの遺した有名な名言だろう。高慢な人間は状況に甘んじ、敵を過小評価したり見誤ったりしがちなもの。これは会社でも同じで、ついつい競合他社の存在を軽んじたり、無視したりしてはいないだろうか。
19世紀初頭まで戦いの中で勝利に勝利を重ねてきたナポレオン・ボナパルトは、誰よりも臆病者だったのかもしれない。常に戦いのことを臆病に考え、ケースバイケースに合わせた策を何層にも張り巡らせておいたからこそ、ナポレオンという皇帝は誕生するに至ったのかもれない。惜しむらくは、そんなナポレオンも最期が権力に溺れ、高慢な皇帝と呼ばれるに至ったことか。
名言#3
“行動の人”であったナポレオン・ボナパルト。51年の人生を駆け抜けた、いや、もはや生き急いだといっても過言ではないほどに、誰よりも大事を成した人生を送ったナポレオン。彼の行動の裏に、根元にあるものを、端的に形容した名言といえばやはりこれだろう。
先ほど述べたように、ナポレオンはひとりの臆病者として戦争に勝利を続けた。考え抜いた上で行動する人間だったのかもしれない。しかし、それだけは足は動かない。前へと進む己の足を動かすには、思考だけではいけない。「機は熟した」という言葉があるように、人には「行動すべき時」というものがある。その時を逃すことなかれ。これもまた、ナポレオンの名言が我々に伝え得るところではないだろうか。
名言#4
人の上に立ち、人を導いてきたナポレオンの名言のひとつに、このようなものがある。「勝者とは常に世界がどういうものかでは無く、どう在るべきかについて語らなければならい」という漫画『BLEACH』の名言にもあるように、状況を作るのは私以外の「誰か」ではない。
大事を成す人間には、大事を成すためのヴィジョンと行動があるのかもしれない。それが「状況に甘えない」ということにも自ずと繋がってくる。己が成せることが状況を変えると「思える」ことは、若手ビジネスマンにとっても重要なのではないだろうか。
名言#5
筆者が個人的に最も気に入った吟遊詩人のような名言。時の皇帝であり、ヨーロッパを圧巻したナポレオン・ボナパルトの名。欲しいものは何でも手に入る状況だったということは想像に難くないが、そんなナポレオンといえど、あくまで私たちと同じ人間。神でもなければ、異星人でもない、私たちと変わらない。
ナポレオンもいずれは死ぬ身にあり、それは人生という時間の流れの終着点であり限界である。人生とは、時間との戦いなのだ。いずれ自分には何も成せない時間が、死がやってくることは確実だ。それは時間という流れの中で必ず起こる。ならば、時間こそが人生において最もプライスレスなものではないだろうか。ナポレオンという男がこれだけの偉業を成し遂げたのは、時間を最も有効に使ったからなのだ。
ビジネスマンにとって大事なものーーそれは“行動力”。確かに失敗しない・上司に気に入られる・会社に迎合するといったことも必要ではあるかもしれない。しかし、それではあまりに他力本願だし、なにより面白くないとは思わないだろうか? 若輩者ながら、本質的な仕事の在り方とは、あくまで“自分の人生そのもの”だと思えてならない。
生まれては死んでいく。これは真理であり、必然であり、避けられないもの。重要なのは、その短い人生の中で「どうやって生きるか」ーーこの一点に集約されるのではないだろうか。
遺された名言からも分かるように、ナポレオンは自分の人生を生きた、51年という時間を必死に駆け抜けた。いつ死ぬかも知れぬ戦争の中で。「大事を成す」ということに必要なのは、やはり行動し続ける人生そのものなのかもしれない。
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