最近、アニメやドラマ、映画などでもよく題材となる「サイコパス」。サイコパスとは、反社会性人格障害や精神病質などと呼ばれている極めて特殊な人格を持つ人々のことを指す言葉であり、一般的なイメージとしても人とは思えないような冷酷で残忍な性格の持ち主というものが先行しているかもしれない。
しかしこのサイコパスは、高性能なスポーツカーのような利点と欠点を持ち備えた諸刃の剣なのだ。時として凶悪な犯罪事件の首謀者になることもあるが、その性格を上手く活かせば、仕事の場で本領発揮できると言う。
今回は、心理学者のケヴィン・ダットン氏の著書『サイコパス 秘められた能力』と彼が出演したNHK番組「心と脳の白熱教室」の中から、仕事で活かせるサイコパス的性格をご紹介しよう。併せて、サイコパスの多い仕事や少ない仕事も掲載してあるので、自分の仕事はどうなのか気になる人はチェックしてみるといい。
サイコパスが多い仕事ランキング1位はCEO(経営者)
ケヴィン・ダットン氏は、サイコパス的性格は仕事の中で活かせると語る。さらに、独自の調査で「サイコパスの多い仕事」と「サイコパスの少ない仕事」を分析・発表している。下記は、その結果をまとめたものである。
サイコパスの多い仕事ランキング
1位 企業のCEO
2位 弁護士
3位 テレビ・ラジオ報道関係
4位 セールス
5位 外科医
サイコパスの少ない仕事ランキング
1位 介護師
2位 看護師
3位 セラピスト
4位 技術者
5位 美容師
驚くべきは、「サイコパスが多い仕事」No.1は「企業のCEO」。CEOと言えば、会社内のチームを誘導するリーダー的存在であり、サイコパスとは一見かけ離れている性格のようだが、蓋を開けてみたらサイコパス的性格に該当する人間が多いという結果に。また総じて、一般的にあこがれる企業が多いというのも特徴である。
逆に「サイコパスの少ない仕事」は、介護士や看護師など福祉の分野に勤める人が多い。こちらは頷ける結果かと思える。
サイコパスの性格的特徴は仕事に活かせる
ケヴィン・ダットン氏はサイコパスの性格・行動様式について、次のように特徴をまとめている。
①非情さ
②カリスマ性
③一点集中力
④精神の強靭さ
⑤恐怖心の欠如
⑥口が達者
⑦行動力
⑧冷静さ
これら8つのサイコパスの特徴は、先ほど「サイコパスの多い職業」の1位にランクインした「CEO」に要求される資質とも言える。
例えば、緊急事態が発生した場合にCEOは、冷静に対処する力と逆境にめげない強靭な精神を持ち合わせていなければならない。また①の非常さについても、企業のトップを務めるCEOは、重要な議題に対して感情に流されないで判断をくださなければならないだろう。
こういった違った側面からサイコパスを見てみると、サイコパスへのマイナスな認識が大きく変わるはずだ。
皆がサイコパスの性格的資質を持つ
凶悪と優秀な2面性を持つサイコパスだが、これらのサイコパス的性格の資質は、誰しもが大なり小なり有していると考えられる。決して「サイコパスになれ」と推奨しているわけではないが、サイコパス的性格の資質のいくつかは仕事の中に役立てるということを頭の片隅に入れておくとよい。
また今ではサイコパス研究が進み、経頭蓋磁気刺激法と言われる医療的方法で、一時的サイコパスになることが可能らしい。著者のケヴィン・ダットン氏自身もこの方法に挑戦し、一時的なサイコパス状態(恐怖心の欠如・冷静さなど)に陥ったらしい。サイコパス研究も奥深く、脳科学的に性格を変えられるとは恐ろしくもあり、同時に興味深い。
今まで冷静で非情な人を見ると、「あの人サイコパスだ」とネガティブな意味で言葉を用いていた部分があったかと思うが、異なる局面からスポットをあてると、サイコパスは「冷静沈着に仕事ができる、判断力がある」といった優秀な面を持ち合わせていることが理解できる。また現在のサイコパス研究は、サイコパスの性格と仕事の結びつきなど、奥にいけばいくほど、深みがあって身近な内容だと気づくはず。少しでも気になった人は、ケヴィン・ダットン氏の本を手に取ってみてほしい。
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