あなたには「優秀であろうとする誇り」があるだろうか? 常に自分自身にプレッシャーをかけ続けているだろうか?
本書『外資系エリートが実践する 「すぐ成長する」仕事術』の著者、川井隆史氏は、政府系金融機関に勤めたのち、「アーサー・アンダーセン」「日本コカ・コーラ」「GE」などを経て、自身で会社を創業した人物である。
外資系企業に勤めていた時代、「英語も話せずあせってばかりの落第生」だったと語る著者は、一体どのように成長していったのだろうか? 本書では、著者が外資系企業で培った仕事術や仕事に対する心構えを50の心構えに分けて紹介している。
今回は、50もの心構えの中から、著者が外資系企業3社で学んだ「すぐ成長する人」に共通する心構えの3つを紹介したい。
心構えその1:すぐに働け
「すぐに働け」ということは、がむしゃらに働くことではない。ある4つのステップをきちんと踏めているかどうかが鍵なのだ。ここではそのステップのうちの2つを紹介したい。
頭を使いながらも、とにかく自分から手をつける
これは、まず仕事の一部分だけでもやってみることをいう。この際、ただ言われたことをこなすのではなく、自分の頭で考えているかどうかが重要だ。自分の頭で考えずに、前例に従って仕事をこなすだけでは、前回からの変更点や環境自体の変化などを無視していることになる。もし手をつけてみて、不明な点があれば、ポイントを絞ってまとめておこう。
上司からフィードバックをもらい、途中で「よい質問」をする
著者曰く、できる上司ほど、せっかちが多い。そのため、進捗状態を見せて安心させる必要がある。時間に余裕を持って仕事をし、上司から指摘を受けた点を直す時間を作ろう。
指摘された際、または意見を上司に仰いだ際にあなたが上司にする質問は、上司があなたのポテンシャルが端的にわかる箇所でもある。しかし、ただ疑問を並べるだけでは幼稚だ。
例えば、「調べた結果このように考えているが、この方向性で合っているのか」「こういうことを調べたいのだが、あの部署に聞いたほうがいいのか」などという質問は、前述の通り、「自分の頭で考えて」から質問している疑問であるため、評価されやすい。
心構えその2:期限は死んでも守れ
by jeff_golden 著者がアーサー・アンダーセンにいた時代、時間の見積もりは厳守するというルールがあった。「自分の仕事が何時間で終わるか見積もり、絶対にその時間内で終わらせる」ことが文化として根付いていたのだ。彼らは「自分たちが優秀だからこそ、努力しなければならない」と信じている。だかこそ、自分のミスや段取りの悪さなどで時間がかかるのは、アーサー・アンダーセンで働く者のプライドが許さない。
自分の見積もった時間に対して、厳しい姿勢を持つことで、見積もり通りに仕事を行うように自分自身を鍛えることができる。
心構えその3:言われたことだけやるな
著者はアーサー・アンダーセンから、コカ・コーラに転職した。しかし、転職してみたものの、あまり仕事がないことに気づいた。不安になったため、他の同僚の仕事場を訪ねてみると、同僚は上司にどんどん仕事を提案していっている。
著者は、社内の仕事とはいえ、上司を顧客として仕事をすればいいのだということに気づいた。どの会社でも、顧客の要求には新たな提案を加えるなど、付加価値を与えようとするだろう。ただ顧客に頼まれて仕事をするだけでは、何も生まれない。同じように、上司から言われたことをただやっているのは、ただの請負作業である。
大切なのは、自分で新しいことを提案して、それを元に上司の支援をもらい、最終報告もそれなりに自分の成果をアピールすることだ。どんどん提案することで、周りの人もサポートしてくれることが多くなると著者は主張している。
ただ何も考えず、目の前にあることをがむしゃらに頑張っていても、仕事ではあまり意味がない。頭を使いながら、自分の自分の見積った時間や計画通りに仕事をこなすことで初めて“エリート”の働き方に近づけるのだ。
今回は、本書の根幹となる3つの心構えを紹介した。本書は成功秘話だけでなく、著者自身の失敗や後悔なども述べられており、それに対しての試行錯誤が丁寧に書かれているところが魅力的だ。これからの日本企業にも必要なエッセンスをぜひ本書で感じ取ってほしい。
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