アニメが日本の文化であることを認めない人も多かろう。だがしかし、「クールジャパン」や「ジャパニメーション」と呼ばれるほどに、アニメが日本というイメージを形作る文化であることもまた揺るがざる事実。1963年の『鉄腕アトム』に始まり、宮崎駿に代表されるジブリアニメから『機動戦士ガンダム』、『新世紀エヴァンゲリオン』まで。日本のアニメは世界のポップカルチャーを代表する文化のひとつなのだ。
日本のアニメと海外のアニメの大きな違い。それはストーリー性にあり、セリフのインパクトにある。ストーリーという物語の中で必然的に生まれる言葉の数々は、ストーリーという重層感を得ることで、見る者の心に響く名言へと昇華する。
アニメの中で生まれた名言は、誰の心をも穿つ鋼の鉄槌。たしかにそれらは物語の中でこそ、本来の意味を発揮する。そこで今回はそれらの物語も絡めながら、名言の数々をご紹介していこう。言葉でしか表現できないのが少し残念だが、ぜひ見て行って欲しい。
「人生」の名言 from. アニメーション
名言#1 by. 安西監督『スラムダンク』
バスケ界の王道アニメ、いやスポーツアニメの王道と言っても過言ではないだろう井上雄彦原作の『スラムダンク』。当アニメの名言を訊かれれば、おそらく大半の人がこの名言を引用するのではないだろうか。
湘北高校バスケ部を率いる安西監督が、試合終了まで残り時間11分41秒、22点差で負けている状況で、チームに向けて放った言葉。勝利を掴むためには、何を持ってもまず「諦めないこと」。諦めたら、勝利の可能性も全て消えてしまうのだ、という安西監督の思いが篭った名言。
名言#2 近藤勲『銀魂』
侍アニメの王道『銀魂』。コメディー色が強いと思われがちな当アニメだが、その実、人の生き方に対する名言も数多い。これもそんなコメディーシーンから生まれたセリフのひとつ。
志村お妙に恋をする新撰組局長・近藤勲。念願のお妙との野球観戦デートは、天からの怒りを買い、まったく順調にいかない。空から槍が降ってきたり、チケットを無くしたりといった調子。おまけに最後は野球ボール大の隕石がお妙の頭上に落下しようとしている。そこに現れた近藤勲が口にした名言だ。「天道」とはそれすなわち「運命」。人生は己の腕で切り開くという、侍道を感じさせる名言だ。
名言#3 ナルト『NARUTO -ナルト-』
by cocamert ジャパニメーションの中にあっても、一際その存在感を放つ王道アニメ『うずまきナルト』からの名言。漫画原作の累計発行部数は2億冊を突破するなど、日本アニメーション界きっての王道アニメだ。
これはナルトにとっての永遠のライバル・サスケ、その兄であるイタチとの戦闘シーン。サスケは復讐に駆られ、木の葉の里を裏切った抜け忍。それでもサスケを信じて助けに行くか、その覚悟はあるかとイタチに問われたナルトが発した名言。自分の言葉に責任をもつ、というよりは、自分の信じた道は曲げないという想いのように感じる。
名言#4 坂田銀時『銀魂』
続いてはアニメ『銀魂』きっての名言と謳われる主人公・坂田銀時の名言。攘夷戦争時代、四方を天人(=敵)に囲まれ、絶体絶命の危機。その際、同志である桂小太郎は、武士らしく死ぬこと、すなわち自害をしようと銀時に問いかける。その際に銀時が発した名言。最期までがむしゃらになってでも、泥まみれになってでも戦い抜くこと=生き抜くことの大切さを感じさせる名言だ。
名言#5 碇ゲンドウ『新世紀エヴァンゲリオン』
by Michael Allan Johnpoll 日本アニメの新たな地平を切り開いた作品『新世紀エヴァンゲリオン』。当アニメの中で描かれる不条理な世界は、国内外問わず世界中の大人たちの共感を呼んだ。そんなエヴァンゲリオンの主人公・碇シンジに向けて、父である碇ゲンドウが言った一言。エヴァンゲリオンに乗ることを拒むシンジ。逃げ出したくなったらいつでも逃げ出すシンジのそんな姿勢に対する、父なりのセリフだったのかもしれない。
『人』の名言 from. アニメーション
名言#6 カミナ『天元突破グレンラガン』
冒険アニメーションとして国内外問わず高い評価を受けている『天元突破グレンラガン』。子供向けのアニメと勘違いされがちだが、筆者は大人にこそ見てもらいたいアニメだと思っている。
その劇中で、主人公であるシモンに向けて、その兄貴分であるカミナが発する名言がこれだ。当アニメの第1話で「お前が信じる俺を信じろ」と言っていたカミナ。そのカミナが8話で死の直前に発する名言。自分が死ぬことを予期していたかのように、シモンに自分を信じることを説いたカミナ。自分を信じることの大切さを感じさせる名言だ。
名言#7 ルルーシュ『コードギアス〜反逆のルルーシュ〜』
これは『コードギアス〜反逆のルルーシュ〜』から、運命に翻弄される主人公ルルーシュ・ランページュが第1話で放った名言。ルルーシュは相手の目を見ることで、相手を従わせることができる少年。自分に拳銃を向ける敵兵隊に向けて、「どうした? 撃たないのか? 相手は学生だぞ? それとも気づいたか?」というセリフに続けて言ったセリフだ。自分が撃たれる覚悟がある人間だけが、人を撃てるのだと。結局その兵隊たちは、ルルーシュの目の力で、自らに拳銃を向けることになるのだからーー。
名言#8 愛染惣右介『BLEACH』
日本のアニメシーンを代表するアニメ『BLEACH』。その劇中、幼馴染みである少女・雛森を殺され、復讐心に駆られる10番隊隊長・日番谷十四郎に向けて、裏切り者である愛染惣右介が言い放ったセリフ。雛森は愛染惣右介の副官(秘書のようなもの)であり,愛染に憧れを抱いていた。そんな憧れという感情は、人を盲目にする。理解しようと努めることではなく、それから最も遠い感情なのだと愛染は説いた。
『仕事』の名言 from. アニメーション
名言#9 シャア・アズナブル『機動戦士ガンダム』
by Debris2008 1980年代から現代まで、アニメシリーズ物として長い歴史を辿ってきた『機動戦士ガンダム』。その中でも、やはり「ファースト」と呼ばれる最初のガンダムシリーズは、素晴らしいの一言に尽きるだろう。
当アニメの主人公であるアムロ・レイとそのライバルであるシャア・アズナブル。アニメキャラとしての知名度も抜群なシャア・アズナブルが、キーキャラクターであるララァ・スンと、テレビで放送されていたアムロの戦闘シーンを見ながら発した名言がこちら。実践=仕事、と置き換えてみてはどうだろうか。全部が全部、格好のいいものではないだろう。それが当たり前なのだ。成功するのはほんの一握りなのだ。
名言#10 胤栄『バガボンド』
結びに、アニメ化されてはいないが『バガボンド』からの名言をひとつ。全く主役でもなんでもないキャラクター・胤栄が、主人公である宮本武蔵に向かって放った名言。海を仕事に変えてみてほしい。仕事の大きさはそこにいるときはわからない。だから、岸に辿り着けない(成功しない・終わりがない)かもしれないと思ってしまうのは当たり前のことなのだ。その中で、如何にがむしゃらになって泳げるか。それが成功者と失敗者を分かつのではないだろうか。
以上がアニメの名言10選だったが、あなたの心を穿つような名言たちをご紹介できただろうか。物事の本質を掴むには、こういった名言をヒントとし、その上で考える必要性がある。人生を上手く生き抜くヒントは、こういった言葉の中にも転がっているのだ。
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