待ちに待ったボーナスが振り込まれ、意気揚々と金額を確認すると「あれ、なんだか思ったより少ないような……」なんて経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。
実は、ボーナス(賞与)からは控除が差し引かれているのです。
本記事ではボーナスの控除として差し引かれる税金、ボーナスの手取り計算方法を解説します。
- 「控除」とは、給与やボーナスから、保険や税金などの金額が差し引かれること
- 控除の対象になるもの
- 控除額の計算方法
ボーナスの額面と手取り額が異なる理由は「控除」
ボーナスの額面の金額と、実際に振り込まれる金額が異なるのは「控除」が原因です。
まずは、「控除」とはどういうものなのか、詳細について確認していきましょう。
ボーナスは月々の給料と同じ「給与所得」のため控除される
実際に振り込まれているボーナスを確認して、思ったより少ないと感じるのは勘違いではありません。
月々の給料と同様に、ボーナスにも税金がかかっているため、税金分が差し引かれてしまっているのです。
実は、ボーナスのような賞与は月々の給料と同じ扱いで、税務上では「給与所得」に区分されます。
ボーナスの額面にもよりますが、税金で7〜8万円差し引かれていることはザラにあること。額面の金額で使いみちを計算していた人にとっては、大きな誤算となってしまいます。
「控除」とは所得の額面から保険、税金などを差し引くこと
このように給与やボーナスから、保険や税金などの金額が差し引かれることを「控除」といいます。
控除される前の金額のことを「額面」、そして自分の口座に振り込まれる控除された後の金額のことを「手取り」とよびます。
控除の存在を知らないと、金額の差に驚いてしまいますよね。社会人として、ボーナスにも月々の給料同様に税金がかかり、控除の対象となることは知っておく必要があります。
- 額面:基本給+残業代、交通費、各種手当の合計額。税金や保険料は天引きされていない
- 手取り:額面から税金(所得税など)や保険料が天引きされた後の金額
ボーナスで控除の対象になるものは?
では、ボーナスで控除の対象となる項目は何があるのでしょうか。大切なボーナスから、何が差し引かれているのかを把握しておきましょう。
ボーナス額面から約15%が控除される
ボーナスから控除される保険料、そしてそれぞれの保険のボーナスに対する割合は予め決まっています。それぞれの項目をあわせると、ボーナスから約15%ほどが税金で控除されることに。
15%という数字だけ見るとそんなに高くないように思えるかもしれませんが、仮にボーナスを50万円とした場合、税金で控除される金額は7万5千円にもなります。つまり、50万円のボ-ナスが、手取りは42万円ちょっとになってしまうということ。
控除された分のお金があれば旅行や高級料理店で食事することもできますよね。実際の金額でみると、控除された金額がかなり大きいものだと実感できるでしょう。
50万円全額の利用方法を検討していた人にとっては、大きな誤算となりかねません。ボーナスの使いみちを考えるときには、控除された金額で考えるようにしておきましょう。
【控除の対象】ボーナスから天引きされる控除項目
ボーナスの額面から、控除によって税金や保険などの金額が差し引かれてしまうことは理解できたでしょう。
では、具体的に控除の対象となるのはどのようなものなのか、以下の一覧で確認してみましょう。
- 健康保険料:賞与総額×9.87%(各都道府県で異なる。本記事では東京都の保険料を参考)
- 厚生年金保険:賞与総額×18.3%
- 雇用保険料:ボーナス額面×0.3%
- 介護保険料(※満40歳以上):ボーナス額面×1.79%
- 所得税:前月の給与、前月の社会保険料、扶養親族の数などの基準によって計算
ボーナスでは住民税の天引きがないことがポイントです。
ボーナスの手取り額・控除される金額の計算方法
先ほど、ボーナスの控除額は大まかに15%とお伝えしました。「ボーナスの使いみちを計算するためにも、正確な手取り額を知りたい!」という方もいらっしゃるでしょう。以下からは少し細かい計算方法を紹介していきます。
ボーナスで控除される金額の大部分を占める、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)の計算方法を詳しくチェックしていきましょう。
健康保険料・厚生年金保険料
まずは、健康保険料と厚生年金保険料の計算方法を確認しましょう。
健康保険料と厚生年金保険料は、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てて、その値に保険料率をかけて計算します。
ボーナスの額面が20万3000円の場合、厚生年金保険料の計算式は「20万円×9.87%÷2」となり、控除される金額は9,870円となります。保険料の半額は企業が負担してくれるため、計算する際、最後で2で割るようにしましょう。
これらの保険料は、税金を収める地域によっても多少違いがあるので、ご自身の地域の割合を確認してみましょう。
- 健康保険料:労働者負担額=賞与総額(1,000円未満切り捨て)×9.87%÷2
- 厚生年金保険料:労働者負担額=賞与総額(1,000円未満切り捨て)×18.3%÷2
雇用保険料
次に、雇用保険料の計算について確認しましょう。
雇用保険料は賞与の総額からの切り捨てはせずに、そのままの値を用いるためよりシンプルに計算できます。
一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業によって保険料率が変わるので、ご自身のケースを確認しておきましょう。一般事業の労働者の場合は0.3%です。
- 雇用保険料=賞与総額×3/1000
ボーナスの控除額を計算するときの注意点:保険料率は都道府県で異なる
肝心の保険料率ですが、これは全国の各都道府県によって異なります。
東京の場合は健康保険料9.87%、厚生年金が18.3%。雇用保険の保険率については一般の業種の場合、労働者負担額は0.3%となっています。
東京都の一般企業勤務、独身。ボーナス総額が20万円の場合、社会保険料の控除額は以下のように算出できます。
- ①健康保険料労働者負担額:20万円×9.87%÷2=9,870円
- ②厚生年金保険料:20万円×18.3%÷2=18,300
- ③雇用保険料:20万円×0.3%=600
- 社会保険料の控除額:①+②+③=28,800
算出した額から考えると、社会保険料として控除金額の割合は約14.4%(東京都の場合)ということになります。
年収=ボーナス(年間賞与)+月々の給料の合計金額
最後に、社会人の基礎知識として「年収」という言葉の意味を確認しておきましょう。
所得税法により、所得は10種類に分類され、ボーナスは税務上で「給与所得」に分類されます。
そのため、給与所得額の総額である年収は「月々の給与+年2回のボーナス」の合計金額となります。
「年収の金額にボーナスの額を足してもいいの?」と思われるかもしれませんが、年収にはボーナスの金額も含むことを覚えておきましょう。
ボーナスの金額が少ないと思ったら控除額を計算してみよう
- ボーナスは給与所得のため保険料や税金が控除される
- 控除される項目をすべて合わせると15%程度になる
本記事ではボーナスの控除に関して紹介しました。「ボーナスが思ったより少ない!」なんて慌てないように、きちんと控除の知識を頭に入れておきましょう。
控除される金額は、都道府県によっても異なります。ご自身の控除額を正しく把握しておくと安心です。
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