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“本物の仕事”だけが生き残る。経営トップが初めて明かす「吉田カバン」のこだわり:『吉田基準』

蓮見彩

2015/10/30(最終更新日:2015/10/30)


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“本物の仕事”だけが生き残る。経営トップが初めて明かす「吉田カバン」のこだわり:『吉田基準』 1番目の画像
出典:global.rakuten.com
 「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」などのブランドで、幅広い世代のビジネスマンから愛用されている「吉田カバン」。高い機能性と耐久性、ファッション性を兼ね備えているのが人気の秘訣である。

 その販売価格は安いもので2、3万円と決して安価とは言えないが、なぜ吉田カバンは多くのビジネスマンを虜にしているのか。

 今回は、吉田カバンの現経営者・吉田輝幸氏が『吉田基準 価値を高め続ける吉田カバンの仕事術』の中で語った、吉田カバンが守り続けた理念と独自の経営について触れていきたい。

世界に誇る吉田カバンに受け継がれていくモットー「一針入魂」

“本物の仕事”だけが生き残る。経営トップが初めて明かす「吉田カバン」のこだわり:『吉田基準』 2番目の画像
出典:www.yoshidakaban.com
 吉田カバンの創業者・吉田吉蔵氏は、日本のカバン職人の素晴らしさを伝えようと思い吉田鞄製作所(現・株式会社吉田)を創業。「一針入魂」という言葉をモットーに、80年もの間、世界に良質な吉田カバンブランドのバッグを送り続けてきた。

 最近では、多くのアパレル企業が海外を拠点に商品を製造しているが、吉田カバンの製品は全て国内の職人が一から手がけた「メイドインジャパン」を貫いている。しかも全てが手作業だというのに、吉田カバンでは年間180万本ものカバンを製造し、常に増収増益を誇っているというのだから驚きである。

 ちなみに余談になるが、今年でちょうど80周年ということもあり、アディダスやポール・スミスなど数々の海外有名ブランドとコラボを開催している。まさに吉田カバンが世界的に愛され、人気を博している証拠だろう。

吉田カバンの基準は、「マニュアル化できない」ところ

 『吉田基準 価値を高め続ける吉田カバンの仕事術』のタイトルにもある「吉田基準」。この吉田基準とは一体何なのだろうか。

 各企業にとって、従業員が効率的に商品を作るために作業を「マニュアル化」するのは当然のことだと思う。しかし、吉田カバンは作業をマニュアル化しておらず、独自の「吉田基準」という価値判断に合わせて、職人たちが心を込めた商品を作っている。

 例えば、通常2重に縫えばすむ箇所を4重、5重と縫うことを求めるように、「吉田基準」では要求水準を高くもって、決して妥協はしない。「お客さまに買ってよかったと思われる、喜ばれるカバンをつくること」という創業者・吉田吉蔵氏の言葉にあるように、吉田カバンは常にお客に喜ばれる商品を、職人たちと一緒に作り上げるということに重点置いているようだ。

吉田カバンが守り続け理念と経営方法

 また、職人たちの一つひとつの手作業を大事にする吉田カバンには、創業以来貫き通してきた独自の経営方法がある。

広告費ゼロ

 吉田カバンは広告を一切出さない。広告にお金と時間をかけない分、商品の質やお客がその商品の良さを理解するための商品説明にこだわりを持っているらしい。

デザイナーに口を出さない

 現経営者である吉田輝幸氏は、デザイナーや職人たちへ口出しを一切しないそう。時には、展示会の直前になるまで商品の詳細を知らないということもあるというのだから驚きだが、それほどデザイナーや職人に信頼を抱いているという証拠なのだろう。

1円たりとも値引きをしない

 吉田カバンは、「1円たりとも値引きしない」方針をとっている。職人たちが労力を注ぎ作り上げた商品とブランドに、強い自信と誇りを持っている証拠である。吉田カバンの経営を見ていると、「高くても良いものは売れる」という言葉が浮かんでくる。


 アパレル企業の低価格競争が激化、海外を製造拠点に置いた経営戦略が主流となってる昨今、独自の商品とそこに携わる人たちを大事にする吉田カバンの理念と経営は、今もこれからも受け継がれ続けてほしいと願うばかりだ。


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