「マーケティングの神様」「近代マーケティングの父」と呼ばれる経営学者・Philip Kotler(フィリップ・コトラー)。1931年という世界恐慌真っ只中のアメリカで生まれたフィリップ・コトラーは、まるでその世界恐慌が反面教師となったかのように、経済学に大別される経営学のプロフェッショナルとなった。
そんなフィリップ・コトラーは近代経済におけるマーケティングについて、数ある名言の中でこのように述べている。
うむ。「まるで教科書のような回答だな」「当たり前すぎるだろ……」と思われた方も少なくないだろう。そう、フィリップ・コトラーは「マーケティング教科書の神様」とも呼ばれているのだ。彼の名言は当たり前すぎることを述べている場合が多い。
だが、そんな「当たり前」な問題こそ企業が重視すべき問題だと、フィリップ・コトラーは念を押す。つまり、当たり前すぎて問題視されない本質的な問いこそ、マーケティングを見直す際に考えなければならないものだと。
今回はそんなフィリップ・コトラーという人物の名言から、「マーケティングの在り方」を再認識してもらいたい。
マーケティングの神様「フィリップ・コトラー」
出典:ja.wikipedia.org まずは、フィリップ・コトラーという人物の紹介を簡単に。フィリップ・コトラーは1931年、アメリカのイリノイ州シカゴ市出身のアメリカ人で、今はもう84歳となっている。シカゴ大学で経済学の修士号を、マサチューセッツ工科大学で経済学の博士号を取得した後、ノースウェスタン大学で教鞭をとることになる。
以来、経営学の道を極め、マーケティングに関する数多くの本を執筆。それらは「マーケティングの教科書」とも呼ばれ、学術的な分析・検証に基づく現代メーケティング理論を構築。かくして、近代マーケティングの第一人者とも呼ばれるようになった。
マーケティングの最終的なゴールに関して、「顧客に愛される会社(ブランド)になること」としているフィリップ・コトラー。これも至極当たり前に思われるが、ではそのゴールへ辿り着くには一体どのような手順(プロセス)を踏むべきなのだろうか。フィリップ・コトラーの名言から紐解いていこう。
再確認したい「マーケティングの在り方」
そもそもマーケティングとは、会社・企業にとってどのような意味を持つのだろうか。フィリップ・コトラーはマーケティングを只の事業上の活動とは見ていない。マーケティングとは事業活動であると同時に、企業全体の根幹を成す指針(ポリシー)なのだという。
社訓といったものはどんな小さな会社にもあることだろう。我がU-NOTEにも社訓があり、「思考することを妥協しない」「天井を自分で決めない」などがある。メディアコンセプトはご存知のように(?)、「仕事を楽しく、毎日をかっこ良く。」というものだ。
特に「仕事を楽しく、毎日をかっこ良く。」というメディアコンセプトは、読者である皆様に対するU-NOTEという一種のブランドを端的に表す言葉であるだけでなく、U-NOTEで働く皆が共有している言葉になっている。U-NOTEに属する全ての人間が、ご愛読者であるビジネスマンの皆様に「仕事を楽しく、毎日をかっこ良く。」して欲しいという気持ちを持ちながら仕事をしている(U-NOTEの宣伝みたいになってしまったが)。
メディア・ポリシーも立派なマーケティング手法のひとつだろう。それはたしかに直接的に利益へと結びつくものではないかもしれない。しかし、そこに所属している人間(社員)にとっての指針となってくるのだ。マーケティングという事業上の施策は、それと同時に企業全体を導くものでもあるのだ。
其の壱「ターゲットの明確化」
マーケティングにおいて再確認すべき事柄、其の壱。それはターゲットを明確にすることだ。U-NOTEにとってのターゲットはビジネスマンの皆様だ。それはU-NOTEという会社全体においての行動の根幹にあり、マーケティング上の施策における大前提でもある。
つまり、「ビジネスマンの皆様がどんな情報を欲しているか」というニーズに対して常にアンテナを張り、提供していくことが求められている。これはどの会社にとっても同じことが言えるだろう。「大義を見失うな」だ。ビジネスの根幹を見失ってはいけない。当たり前なことだが、マーケティングにとっての大前提でもあるのだ。
其の弐「アイディアこそ、最も重要な資産」
「ボツになる」という言い方がしばしばされるが、それに対してフィリップ・コトナーは、「記録しておくべきだ」と述べている。それは他の人の思考を刺戟する種になるかもしれないからだ。時に、ひとりでは思いつかないようなことも、誰かのアイディアを見ていると、ポッと何かが浮かんでくることもある。
また、そんなアイディアに関して、フィリップ・コトナーはこのようにも述べている。「創造とイノベーション」という行為は、企業が継続的な繁栄を続けるのに欠かせないことだという。「無知とは知識がないことではなく、疑問が持てないこと」というソクラテスの言葉が語るように、人は常に思考しているべきなのだ。それがアイディアの創造に繋がってくる。
其の参「競争相手を理解しようとする姿勢」
自社製品(サービス)が向かうターゲットを確認することと同時に、自分がどのカテゴリに分類されているか、という点を再確認することも、マーケティングにおける重要な要素だとフィリップ・コトナーは語る。
自社が位置している領域を明確化することは、それと同時に競争相手(競合他社)を認識することに繋がるからだ。その先で、自社製品に付加すべき特徴、もとい差別化すべきポイントが見えて来るのだ。
フィリップ・コトラーによれば、日本の企業は競争意識に欠けているという。他社の存在よりも、自社の製品やサービスのコストダウンなどに注視してしまっていて、肝心なマーケティング政策ができていないというのだ。
其の肆「根本的な問題こそ、マーケティング上の最大の難問」
結びにはなるが、これらの注視すべき諸問題は、すべてこの名言にまとめられる。つまり、「如何に当たり前に思われる問題に対して真摯に向き合えるか」という点が、マーケティングを考えていく上で最も重要だということだ。
自社のターゲットやそのニーズ、事業はどうあるべきなのか、またそもそも自分の会社はどんな事業なのか。そんな当たり前な問いかけこそ、マーケティング手法で見直すべき点なのだ。たしかに教科書のような物言いだ。しかし、そういった根本的な部分にこそ、マーケティングにおける成功のヒントが転がっているのだ。
「教科書」とも目されるフィリップ・コトラーの言葉の数々。マーケティングはひとつの企業戦略であると同時に、会社を導く指針・ポリシーでもある。そんなマーケティングが根本からズレてしまっていては、会社は経営面だけでなく、人材的な面から見てもガタが生じてくることだろう。もう一度、これらの「教科書」を見直してみて欲しい。何かが見えてくるはずだ。
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