外資系のコンサルティング会社といえば、どのような会社が思いつくだろう? アクセンチュア、A.T.カーニー、ボストンコンサルティング……など枚挙にいとまがない。ところで、マッキンゼー・アンド・カンパニーというコンサルティングファームはご存知だろうか。
マッキンゼー・アンド・カンパニーは1923年に創業された、戦略コンサルティング会社である。クライアントは、大手企業から国家の機関にまで及ぶ。マッキンゼーを退社した「卒業生」は、世界各地で国を指導する立場に就いたり、会社を立ち上げたりなどしている。
本書『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』では、マッキンゼーのニューヨーク支社に勤務していた著者が、世界最高峰の仕事術を紹介している。ここでは、その中でも「マッキンゼー式」の問題解決術を紹介したい。
マッキンゼー式問題解決術の出発点
マッキンゼー式の問題解決術の要素は3つある、と著者は語る。その要素とは一体どのようなものなのだろうか。今回は3つのうち、2つの要素に触れてみよう。
問題解決は「事実」に基づくものである
問題解決において、「事実」は基礎となるものである。マッキンゼーに入社したばかりの新人コンサルタントは、まず事実を収集して分析することが存在理由となるのだ。
事実は信頼性の溝に橋をかける役割をしてくれる。事実の裏付けがあるからこそ、新しく入った社員が問題を指摘したとしても、「信用」してもらえるのだ。
問題解決に必要不可欠なのは“MECE(ミーシー)”
マッキンゼーで使われる用語に“MECE(ミーシー)”と呼ばれるものがある。“Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive”の略で、「互いに重ならず、全てを網羅する」という意味だ。マッキンゼーでは、社内メモからプレゼンテーションまで全ての文書がMECEでなければならない。つまり「モレなくダブりなく」仕事をしなければならないのだ。
MECEを意識すれば、解決しようとしている問題を構成する「個別の問題点」を全て洗い出すことができ、その問題点のそれぞれがお互い独立して重ならないようにすることで、最大限の明晰さと完璧さをもって思考を構造化できるのだ。
構造化できれば、あとはこちらのものである。「個別の問題点」をそれぞれじっくり考えさえすればいいのだ。
マッキンッゼー式、問題へアプローチする第一歩
「ビジネス問題の解決は、医療のようだ」と著者は主張する。
医者に行く際に、「鼻と喉が悪いので風邪を引いたようです」と自己診断をして病院を訪れる患者と、「うちのこの部門の調子が悪いんです。拡大可能性の評価をしてください。」というクライアントは似ている。
素人の自己診断とは当てにならないもので、鼻と喉が悪いから「風邪」であると早急に判断してしまう。本当は、もっと深刻な病を患っている可能性もあるのだ。前述の通り、クライアントも同じである。結局、この部門は「拡大可能性」などなく、「閉鎖もしくは売却」が妥当であるという結論に達した。
このように、まず問題を与えられた後、「本当にこの問題は解決すべき問題であるのか」を考えることから始めるのが、マッキンッゼー式の問題へアプローチする第一歩となる。
問題解決への道の「切り開き方」
様々な企業の問題解決を行ってきたマッキンゼーであるが、やみくもに解決策を提案してきたわけではない。マッキンゼーはきちんと法則に従って問題解決をしている。そこで、問題解決へ向けての努力の指針となる法則を幾つか紹介したい。
猛烈に働くな
猛烈に働くなと言われると、では手を抜けばいいのか?と思ってしまうが、そうではない。「猛烈に働くな」ということは、「賢く働け」ということである。猛烈に働く人は目の前の仕事だけに目が向きがちで、優先順位をつけられない。賢く働くには仕事に優先順位をつけ、それに従って仕事をこなすこと。猛烈に働くことは時に、時間と労力の無駄になるのだから。
30秒でプレゼンをしろ
マッキンゼーは、自分の出した意見(解決策)をクライアント(顧客でも同僚でも良い)へ30秒でプレゼンすることを勧めている。なぜならば、正確に30秒でプレゼンできるということは、自分のしていることを知り尽くし、狂いなく把握しているという証明になるからだ。そしてその意見に説得力があれば、なおさら自身の信用も高まっていく。
残念ながらここでは全てのマッキンゼー式仕事術を紹介するに至らなかったが、本書『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』は、ビジネス問題の考え方から上手なインタビューの仕方まで、様々なメソッドが披露されている。
コンサルティング会社に勤めていなくても、日頃から実践できるような仕事術がたくさん紹介されているので、ぜひこの本を手にとって自分の仕事術を磨いていこう。
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