仕事の合間や友達との待ち合わせ時間にフラッと寄ってしまうカフェ。最近ではカフェのお洒落な雰囲気と煎れ立てのコーヒーが大好きで、趣味はカフェ巡りと書いてしまうカフェオタクも出現するほど、カフェは大きな人気を集めている。
そんなカフェ需要の高まりにより近年カフェ市場は拡大を続け、コンビニ、ファミレス、ファーストフードの参入により、カフェ市場の競争は激化している。是非とも、カフェ市場で生き残るための戦略を知りたいところ。
そこで今回は、10月16日に47都道府県で唯一店舗がなかった島根進出を果たし、全国制覇を遂げたばかりの今最も急成長しているカフェと評されるコーヒーカフェ「ドトールの経営戦略」に注目してみた。このドトール、実は本当のコーヒー好きを虜にするカフェであったのだ。
カフェの王様“スタバ”と拮抗するカフェ「ドトール」
ドトールコーヒーグループの2015年2月期の売り上げは、757億円(ホールディングスの連結決算ではなく、
飲料事業及びカフェ事業のみ
)を超えている。これはコーヒーカフェ市場で、スターバックス コーヒー ジャパンに続く売上高である。そしてドトールの営業利益は、平成25年から堅調に伸びており、今後も伸びていく見通しだ。 また店舗数に関しては、国内総店舗数1102店舗と、国内のコーヒーカフェ市場ナンバー1の地位を誇っている。台湾やシンガポールなどの海外への出店も増えており、今後は海外進出に力を入れていく見通し。
次々と新しいコーヒーカフェ事業社が参入していく中で、総じてドトールの経営状況は好調だと言える。
ドトールの経営戦略ー独自ブランドの拡大化ー
では、最近ドトールが急成長を遂げている要因は何だろうか。その要因の1つが、独自ブランドの拡大化である。
街を歩いていると、顧客層や店のコンセプトが異なった様々なカフェが軒を連ねているはずだ。例えば、コーヒーだけでなく軽食もとりたいと思えば「コメダ珈琲」に足を運ぶだろう。友達と気軽にお洒落なカフェに行きたいと思えば「スターバックス」を選ぶかもしれない。
ドトールコーヒーグループは、特定層をターゲットにした1つのブランドだけにこだわるのではなく、各自のターゲットとコンセプトを持つ複数のカフェブランドを保有している。ドトールグループを代表したカフェである「ドトール」は、スタンダード商品であれば200円ほどで買えるような低い値段設定をしており、大衆向けとなっている。一方、高い客単価層を狙うためにドトールグループが打ち出したのが、カフェブランド「エクセルシオールカフェ」である。また2011年には、フードに力を入れたカフェブランド「星乃珈琲店」もオープンさせている。
このように、独自のコーヒーカフェブランドを複数保有することで全顧客層を包囲するのが、ドトールグループ独自の経営戦略なのだ。1つのブランドに力を入れている他コーヒーカフェチェーン店と比較すると、大胆で面白い経営戦略のように思える。
ドトールブランドを形作った独自の経営戦略
ドトール特有の経営戦略は前述してきたが、実はドトールはこれまでも自社のブランドを構築するために、独自の経営戦略を展開してきた。そこで最後に、上阪徹の著書『なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?』中から、ドトールブランドを構築するまでの“コーヒー好きを虜にさせた”経営戦略をご紹介していきたい。
1杯150円の店作り
今でこそ有名なドトールだが、創業当時は「倒産」の文字がちらついていたらしい。そんな危機的状況を打破したのが、「1杯150円」の店作りだ。
ドトールコーヒーの創業者・鳥羽博道氏は、ヨーロッパにある焙煎工場やコーヒーショップに行ったときに「安い値段で、さっとコーヒーを飲んで会社に向かえる」ことに感動し、自社に取り入れることを決意。さらにその価格を実現するために、優れたコーヒー機の導入するなどの創意工夫を凝らした。最終的に実現した「コーヒー1杯150円」というドトールの低価格提供は、当時の「コーヒー1杯300円」が常識だった日本に大きな衝撃を与えた。
「ダサい」からの脱却
お洒落なカフェが増えていく中で、ドトールが次に直面した問題が「ドトール=ダサい」というイメージの定着だ。ドトールは喫煙スペース(分煙)が設けていたために、多くの人がそのようなネガティブなイメージを持ってしまったのかもしれない。そこで、鳥羽氏は店のネガティブイメージを一蹴するために、「白ドトール」戦略を実施した。店内のインテリアから食器まで、白を基調とした装飾を施し、店のお洒落度とクリーンさをアップすることに努めたのだ。
最近は、コーヒーカフェ人気に注目した大手コンビニエンスストアがこぞってセルフコーヒーサービスを導入するなどして、コーヒーカフェ業界にも新たな逆風が吹き始めた。しかしそんな逆風にも負けず、「顧客の満足度上げよう、新しいサービスを取り入れよう」と奮起しているコーヒーカフェ・ドトールから今後も目が離せない。
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