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「なぜ」を繰り返し問う民族“ユダヤ人”。ユダヤ教の教えに基づく『ユダヤ式Why思考法』とは?

Mikako Sekine

2015/10/20(最終更新日:2015/10/20)


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「なぜ」を繰り返し問う民族“ユダヤ人”。ユダヤ教の教えに基づく『ユダヤ式Why思考法』とは? 1番目の画像
by CollegeDegrees360
 FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグや、Googleの創業者であるラリー・ペイジは、ユダヤ教の家系出身であることはご存知だろうか? その他にもDellの創立者のマイケル・デル、Microsoftの元CEOスティーブ・バルマーなど、世界で活躍する人物にはユダヤ人の血を引く者が多い。

 ユダヤ人は、他の人種より特別な能力をもって生まれたのであろうか? 答えは否である。本書『ユダヤ式Why思考法』は、ヘブライ聖書とその注釈論点集であるタルムードについての口頭試験(ヘブライ語が基本)を突破した著者が、日本人でも出来るユダヤ式の「思考トレーニング」を紹介する。

ユダヤ人は「なぜ?」から物語は始まる

 日本人は基本的に、周りと一緒であることに安心感を得る人種である。さらに「同じこと」に価値を見出すため、突拍子もない意見を提案したり、疑問をぶつけるという機会が極めて少ない。これは個人単位で世界に挑まなければならない現代社会で、最も由々しき問題である。グローバルな土俵で自分が勝ち続けていくには、意見を弛まずぶつけることが重要だ。

 他人に意見できない日本人とは逆で、ユダヤ教の教えで最も重要な教義は「質問」することである。「質問」することとはつまり、現状の何かしらに疑問を抱いたり、同意できないことに対して疑問を投げかけることである。

 ユダヤ人はユダヤ教の教えに従って「なぜ?」を繰り返すことが身についている。良い意味で協調性のある穏やかな日本人は、周りの事象に「なぜ?」を抱きにくい。積極的に質問し意見をぶつけることは、思考の枠を外すカギになると覚えておこう。

思考停止は敵だ!

 思考を停止させることほど、恐ろしいことはない。特に組織に所属する人間にとって、組織の硬直化や停滞を招く思考停止は敵である。硬直化や停滞が長く続けば、その組織は滅びるに決まっている。

 「水はなぜ透明なのか?」という疑問に、「そういうものであるから」と回答することほど、愚かなことはない。これこそが思考停止である。では、この思考停止を脱するには、どうすればよいのだろうか。

 まずは、ユダヤ人のように自分の置かれている環境すべてを議論の対象にしてみることである。自分を取り巻く事柄とは、自分の国と他国の関係、常識、世論、権威者の発言などがそうである。普通の人が疑いもしないようなことこそ、議論する価値がある。多数派と少数派にはっきりと分かれているからだ。意見が二つに割れる議論はより白熱しやすく、自分の思考も働きやすくなる。

ユダヤ人は取捨選択をしない

 ユダヤ人は常に迫害され続け、一箇所に留まるという歴史が少なかったためか、短期利益を徹底的に追求する。例えば、イスラエルにはスタートアップ企業が多い。ユダヤ人は自分達の「知的生産力」を生かして、一番頭を使うスタートアップだけに集中する。ユダヤ人が得意な企画立案、経営戦略を考えるのだ。その後は、事業の拡大が得意なアメリカ人に企業を任せるというスタイルを採用していることが多い。このようにユダヤ人は、新しいビジネスモデルを作った後にすぐ捨ててしまうのだ。

 日本人が抱きがちな選択肢は、「捨てる」「捨てない」の二つ。一方ユダヤ人は、「今すぐ捨てる」か「残して今すぐは捨てない」など時間軸を考慮した選択肢を持つ。さらに後者の選択肢は、「残す」か「永久に捨てる」と再び二分される。「まず失わなければ、何も得られない」と教えるユダヤ教において、選別は実に重要なものなのである。


 ユダヤ人は、ユダヤ教の教えと自分の頭だけを頼りに生き抜いてきた。日本人にはイメージしにくい世界であることは間違いないが、ユダヤ教の教えを少し見習って自分の思考力を高めたいものである。


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