世界最高峰のルックスとキャラクターを備えた女性たち、もといモデルたちに、皆様はどのような印象を抱いているだろうか。「生まれ持ったルックスに縋(すが)る女性」という印象を抱いてはいないだろうか。確かにそれは致し方ないことではある。彼女たちは恵まれた状態でこの世に生を授かり、それを武器にしていることは間違いない。
ただし、彼女たちを何の努力もしていない無能者集団なんて捉えてしまうのはいささかお門違い。モデルたちも仕事をするビジネスパーソンと同じ。日々の過酷な仕事、それと、「認められるモデルであり続けなければ」というプレッシャーをその小さな背中に背負っている職業なのだ。
今回は、経済誌・フォーブスの「世界で最も稼ぐモデル2015」という番付から、世界トップクラスのモデル11人の年収を紹介。そして、そんなトップクラスのモデルたちの大半が通る登竜門「ヴィクトリアズ・シークレット」についてご紹介していこう。そこから見えるもの、それはモデルという職業の裏に隠された厳しい現実だった。
モデル年収ランキング:上位11人の年収は?
第1位 ジゼル・ブリチェン(ブラジル・35歳):年収約53億円
by jingdianmeinv まずは、年収にして約53億円を稼ぎ、年収ランキングのダントツ1位となったモデル・Gisele Bundchen(ジゼル・ブリチェン)をご紹介することにしよう。ブラジル出身の彼女は、フォーブスによるモデル年収ランキングの2014年度版でも1位となっており、モデル界でも随一の高給取りモデルになっている。
自身の名前を冠したブランドの売り上げも好調で、世界で20を超える諸国のブランド広告にも顔を出している世界的なモデルだ。
第2位 カーラ・デルヴァーニュ(イギリス・23歳):年収約11億円
by Eva Rinaldi Celebrity and Live Music Photographer モデルだけでなく、女優としても活躍するCara Delevingne(カーラ・デルヴァーニュ)の年収は、1位の53億円からグッと下がって約11億円となった。とはいえ、若干23歳でありながら、10億を超える年収を稼ぐのはいくらトップモデルとはいえど容易なことではない。
現在のInstagram(インスタグラム)のフォロワー数はなんと2100万人、Twitter(ツイッター)は400万人と、SNSの世界でもトップクラスの知名度と影響力を誇る当モデル。これからますますの活躍が期待されるイギリス出身の新鋭モデル。
第2位 アドリアナ・リマ(ブラジル・34歳):年収約11億円
by Kalumba2009 年収にして約11億円を稼ぎ、年収ランキングの同率2位となったベテランモデル(ベテランといっても、34歳なのだが)・Adriana Lima(アドリアナ・リマ)。当モデルは後ほどご紹介するヴィクトリアズ・シークレットの特別広告塔である『エンジェル』の一員として有名。
21世紀のセックス・シンボルのひとりとも目される彼女は、世界中の女性たちのアイドル(偶像)的な存在だ。ちなみに、彼女は黒人、西インド人、それから日本人の混血と主張しており、日本人(女性?)としてはなんとも誉れ高いことではないだろうか?
第4位 ドウチェン・クロース(オランダ・30歳):年収約9億円
by fervent-adepte-de-la-mode 続いて、年収ランキング第3位となったのは、2014年末をもってヴィクトリアズ・シークレットの『エンジェル』を引退したオランダ人モデル・Doutzen Kroes(ドウチェン・クロース)だ。オランダ人モデルとして最も高給取りである彼女は、モデル界でもオファー料がとりわけ高額とされる香水ブランドの広告に数多く登場しているモデルのひとり。
第5位 ナタリア・ヴォディアノヴァ(ロシア・33歳):年収約8億5000万円
by nokato 年収約8億5000億円で、年収ランキングの第5位に躍り出たモデル・Natalia Vodianova(ナタリア・ヴォディアノヴァ)は、今は懐かしきソビエト連邦(現:ロシア連邦)の生まれ。
15歳の頃に地元のフリーマーケットで果物売りをしていたところ、モデルのスカウトを受け、世界のトップモデルまで上り詰めたというシンデレラ・ストーリーの持ち主でもある。貧しい子供時代を送ってきたため、児童福祉活動にも積極的に参加しているという、ルックスだけでなく心も美しいモデルのひとりでもある。
第6位 ミランダ・カー(オーストラリア・32歳):年収約6億5000万円
by Eva Rinaldi Celebrity and Live Music Photographer Miranda Kerr(ミランダ・カー)という女性の名を知らぬ者も少なかろう。2013年に世界トップクラスの人気俳優であり、夫であるオーランド・ブルームとの離婚を発表し、世界中を驚嘆の渦に巻き込んだ彼女の年収は約6億5000万円となった。
先程から度々登場している『エンジェル』としての活動が有名。インスタグラムのフォロワー数は700万、ツイッターは400万、Facebook(フェイスブック)のファン数は750万と、SNS上でも高い知名度を誇っているモデルのひとりだ。
第6位 ジョアン・スモールズ(プエルトリコ・27歳):年収約6億5000万円
出典:www.tailleetpoids.com 年収約6億5000万円で、年収ランキングの第6位となったモデルがJoan Smalls(ジョアン・スモールズ)というプエルトリコ出身の女性モデルだ。Calvin Klein(カルバン・クライン)やH&Mの広告塔として活躍している彼女は、ラテン系女性として世界で初めて世界的化粧品メーカー、エスティー・ローダーと契約を結んだカリスマモデルとして有名。
第8位 ララ・ストーン(オランダ・31歳):年収約6億円
by wvfonseca 特徴的な前歯と、178cmという高身長でありながら24cmの靴を履けるというとても小さな足を持つオランダ人モデル・Lara Stone(ララ・ストーン)。その年収は約6億円で、年収ランキングの同率8位に位置している。ステラマッカートニーとトムフォードという世界屈指のブランドが展開する香水のイメージモデルを務めている。
第8位 アレッサンドラ・アンブロジオ(ブラジル・34歳):年収約6億円
by ElHormiguero ヴィクトリアズ・シークレットでの活動で世界的にも有名なモデル・Alessandra Ambrosio(アレッサンドラ・アンブロジオ)。34歳のベテランモデルである傍ら、2児の母でもある彼女は、自身の水着ブランドからも安定した収益を上げているという。
第8位 Candice Swanepoel(キャンディス・スワンポール):年収約6億円
by 2TOP: Wallpapers, Fashion, music, モデル界きっての理想的なプロポーションを武器に、年収約6億円を稼ぐモデル・Candice Swanepoel(キャンディス・スワンポール)。南アフリカ出身という稀なモデルで、当モデルもフリーマーケットでのスカウトからキャリアを始めた。
ファッションブランドの広告モデルから、『VOGUE(ヴォーグ)』や『ELLE(エル)』などの雑誌まで、モデルとして多岐に渡る活動で、年収は約6億円となっている。
第8位 Karlie Kloss(カーリー・クロス):年収約6億円
by thinhalvin1996hp 『エンジェル』のメンバーを今年始めに引退したアメリカ出身のモデル・Karlie Kloss(カーリー・クロス)。彼女は年収ランキング上位11名の中で、(意外にも)唯一のアメリカ人モデルとなった。モデルとしてのキャリアはまだまだ浅い23歳という新鋭モデルのひとりだが、ロレアル パリ(L'Oreal Paris)やJoe Fresh、kate spade(ケイト・スペード)などとの広告契約により多額の収入を得ている。
ちなみに当モデルはモデルである一方、ニューヨーク大学に通う大学生でもある。女性に対する理想像を絵に書いたような女性が同じ大学にいると考えるだけで、ニューヨーク大学に進学したくなる(声をかける勇気は筆者にはないが)。
以上が世界トップクラスのモデル11名の年収ランキングのご紹介だったが、目の肥やしになっただろうか、ではなく、彼女たちの年収の高給さについてはお分かり頂けたことと思う。
とはいえ、イントロダクションでも述べたように、彼女たちのこの高額な年収は何も生まれ持った美貌だけに起因しているわけではない。モデルにはモデルなりの厳しく、ストイックな美に対する追求が求められているのだ。
ここからはそんなモデルという職業の現実に迫るべく、世界トップクラスのモデルだけに許された「Victoria's Secret(ヴィクトリアズ・シークレット)」という存在について、軽くだがご紹介していこう。
「ヴィクトリアズ・シークレット」で見るモデル業界の過酷な現実
出典:www.farandulista.comヴィクトリアズ・シークレットとは?
まずは、「ヴィクトリアズ・シークレット」に関する予備知識を少し。ヴィクトリアズ・シークレットは米国発のファッションブランドで、婦人服や香水、特に下着ブランドとして有名で、女性なら一度は憧れる世界トップクラスのレディースブランド。2013年の年商は約6400億円で、実は売上世界第4位のアパレルチェーン企業「リミテッド・ブランズ」社の傘下ブランドなのだ。
今回の年収ランキングは上位21名までを明かしているのだが、実はその21名の内、16名がヴィクトリアズ・シークレットの現役モデル・経験者となっている。そして、そんなヴィクトリアズ・シークレットに所属するモデルの中でも、指折りの人気モデルが所属するのが『エンジェル』というモデル集団なのだ。
そんなヴィクトリアズ・シークレットは、モデル業界で最も高額なギャラが動く場所にもなっている。ヴィクトリアズ・シークレットで活躍すること、それはまさしくトップモデルとしての登竜門である一方、そこには厳しいモデル業の隠された現実があるのだ。
ターゲットは男性ではない、女性。
先述のように、ヴィクトリアズ・シークレットというブランドはレディース向けのアパレルブランドなので、そのターゲットは必然的に女性ということになる。このことに関して、ヴィクトリアズ・シークレットのマーケティング部長エド・ラゼック氏はこのように述べている。
生まれ持った美貌を武器に男性相手に勝負するのは、世界トップクラスのモデルにとって何も難しいことはない。女性を相手に、どれだけの注目と支持を集められるか、これがヴィクトリアズ・シークレットの舞台では求められているのだ。
私たちが思い描くようなファッション・ショーとヴィクトリアズ・シークレットという舞台は、あらゆる点で乖離している。ファッションを強調するのではなく、そのファッションを身に纏うことでハッピー・ポジティブになっている自分というものを表現しなければならないのだ。
アスリートと変わらない、日々のトレーニング
そして、そんなヴィクトリアズ・シークレットの舞台に立ち続けるには、アスリート並みのトレーニングが欠かせない、とラゼック氏は語る。
アスリートが常に自分にとって最高の状態を求められるのと同じく、モデルも常に完璧なプロポーションを維持し続けることが求められているのだ。それはしっかりとした食事管理にあり、持続的な日々のトレーニングにある。
世界では、1日に40万人近くの新しい命が生まれている。何も美しい美貌を持って生まれることは、それほど稀なことではなく、そんな世界では誰が本当に美しいかなど、さしたる問題ではない。彼女たちは常に新しいモデルの登場というプレッシャーを背負っている。
それゆえに、トップクラスのモデルたちはそんな新鋭に対して、自分が唯一無二のモデルであることを表現し、人々(特に女性達)に求められ続けなくてはならない。そのためには、日々のトレーニングで自分を磨き続けていかなればならないのだ。
モデルという職業は人目にさらされる分、それ相応のプレッシャーも感じている。彼女たちが持っているのは、生まれ持ったルックスだけではない。プロ・モデルとしての自覚とプライド、そして努力なのだ。
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