サッカーの本場である欧州は、サッカーというスポーツに対する盛り上がりが、日本のそれとは全くもって異なる。それは無論、サッカーチームが生み出す収入にも比例してくる。上の写真が示すように、サッカー選手一人ひとりにもこれだけの観衆と注目が集まるのだ。
それにひきかえ、日本はプロ野球や体操競技などが注目されるばかりで、国内プロサッカーリーグであるJリーグはなかなか国民的な注目を集められないでいる。サッカー日本代表に対する注目とJリーグへの注目では、大きな差異があるというのもまた実情だ。
月並みなことを述べさせてもらうとすれば、スポーツの与える経済効果というものは決して無視してよいものではない。欧州サッカーリーグに属するサッカークラブたちの収入は、日本のJリーグの問題点を考える上でも重要な手本となってくるのだ。
欧州サッカークラブの収入は桁違い?
米・フォーブス誌が行った番付「世界最高額のサッカーチームランキング2015」を参照すれば、自ずと欧州サッカーリーグ・サッカーチームの盛り上がりを感じていただけることと思う。欧州のサッカークラブは、「収入」という点からしてJリーグのサッカークラブと大きく異なっているのだ。
レアルマドリードとバルセロナの収入は合計1,650億円越え!
by El Coleccionista de Instantes 当ランキングで収入部門の第1位を獲得したレアル・マドリード(Real Madrid)。スペイン国内リーグであるリーガ・エスパニョーラの1部リーグ「プリメーラ・ディビシオン」に属するレアル・マドリードは、国内リーグで32回、欧州の国際大会であるUEFAチャンピオンズリーグでも4回の優勝実績を持つサッカー界でも随一のトップクラブ。
当サッカークラブの2014-15シーズンにおける収入は、7億4,600万ドル(約900億円)となっており、同リーグで収入ランキング第4位のバルセロナ(Barcelona)の収入6億5,700万ドル(約750億円)と合わせると、約1,650億円にものぼる。
レアル・マドリードとバルセロナの収入には、サッカークラブとしての実績が大きく影響している。2014-15年シーズンは国内リーグをバルセロナが、UEFAチャンピオンズリーグをレアル・マドリードが獲得している。
まさに欧州最高のリーグとなっているスペインのリーガ・エスパニョーラ。これではスペイン人たちもこれに注目せずにいられないだろう?
サッカー王国「イングランド」「ドイツ」もやっぱり人気!
by Norio.NAKAYAMA バルセロナを収入ランキングで抜き、第2位につけたのがイングランドのサッカーリーグであるプレミアリーグに属するマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)だ。その収入は7億300万ドル(約870億円)となっており、これにはサッカークラブ史上最高額といわれるスポンサー契約料が強く影響している。老舗の人気サッカークラブとして安定した収入を得ている。
そして、収入ランキングの第3位に輝いたクラブチームが、ドイツ・ブンデスリーガに属するバイエルン・ミュンヘン(Bayern München)で、収入額はバルセロナを僅かに凌ぐ6億6,000万ドル(800億円)となっている。当クラブチームは、同リーグで最多の23回の優勝実績を誇り、2014-15年シーズンではリーグ3連覇を達成している。ドイツを代表するクラブチームとして、ドイツ国内からも熱狂的な人気を博しているのだ。
ランキング20位のガラタサライでも収入は175億円!
by Ronnie Macdonald 上のクラブチームたちは、どれもサッカー界の大御所的クラブチーム故にご存知の方も多いとは思うが、トルコリーグ所属のガラタサライ(Galatasaray)というチームをご存知の方は少ないだろう。このチーム、実はトルコリーグで史上最多の19回の優勝経験があるチームなのだ。
とはいえ、トルコリーグが世界的に知名度の低いリーグであることは確かだ。しかしそんなトルコリーグのトップチームでも、その収入は2億2,000万ドル(約175億円)で、収入ランキングの20位にランクインしている。
世界的な知名度は決して高くないサッカーチームでも、その収入は優に100億円を超えてくる。それが欧州サッカーの規模なのだといえるだろう。
「月とスッポン」な欧州リーグとJリーグ
Jリーグの収入はというと……。
これらのJリーグの収入は、たしかに「広告だけ」の収入だ。欧州リーグの収入は広告以外にも、放映料や入場料も含んでいる。しかし、欧州リーグの収入のスケールはJリーグとは大きく乖離してしまっているのは否めないだろう。
欧州リーグにあって、Jリーグにないものとは?
このように明らかな差が見受けられる欧州リーグとJリーグ。欧州リーグにあってJリーグにないものとは、一体なんなのだろうか。これらの問題を解決しない限り、Jリーグはいつまでたっても現状を脱せない上、日本のサッカー業界も底上げされていかないだろう。
“放映料”と“スポンサー料”がカギ
近年の欧州サッカーでは、“放映権料”が高騰しているという。確実な視聴率を取れるリーグ戦の放送から注目株となる国際マッチの放送まで、テレビ業界同士の競争による放送料の吊り上げが見受けられる。放映料というものはチームが安定した収入を獲得するひとつの手段で、たとえ実績の悪いシーズンになったとしても、放映料で巻き返せるようになるのだ。
またスポンサー料というものは、チームにとっての収入の大半を支えるものだ。欧州の各スポンサーは、チームの放送メディアとの連携を考慮しつつ、スポンサー料金を決めているという。つまり試合がテレビで放送されているチームほど、高額なスポンサー料を獲得できるわけだ。
この両者、そしてそれらの連動関係が、Jリーグでは明らかに欠如しているといっても過言ではないだろう。テレビで(特に地上波で)Jリーグの試合がやってるのを見ることが、いったい月に何度あるだろうか? メディアに露出しないようなチームのスポンサーなど、誰が好んでなりたがるだろうか? これらは非常に密接な関係にあり、この両者を如何に改善していくかが、Jリーグの未来を考える上で最も重要な問題ではないだろうか。
欧州リーグのサッカー選手たちは無論、その年収だって桁違いになってくる。地元出身のスタープレイヤーに憧れて、プロサッカー選手になってしまったという話もざらにある。
日本という国が“真のサッカー強国”の仲間入りをするには、国内リーグの充実が必要不可欠であり、そのためには“テレビ”と“スポンサー”から支援、そして地元のチームを応援する国民一人ひとりの気持ちが求められている。ぜひ、週末は試しに地元のサッカーチームを応援しに行ってみてはどうだろうか。
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