相田みつをは、20世紀の日本人詩人として最も知名度が高い人物といっても差し支えないだろう。平易な詩でありながら、相田みつを独特の書体は、そこに一種のオリジナリティを彼なりのエッセンスとして加えている。
「人生のヒントをくれる詩」とも称される相田みつをの名言。相田みつをという人間のバックグラウンドを知らずとも、彼の残した名言を知るだけで、人生の見え方は変わってくる。それが相田みつをの名言の魅力。
今回はそんな相田みつをの数ある名言の中から、仕事をするビジネスマンのハートを打ち抜くような名言を厳選してみた。それらの名言から見えてきたもの。それが“挫けない仕事術”なのだ。
未来に頼らず、「今」を生きる。
出世や昇給など、未来への光明に目が眩んで仕事がうまく行かないなんて経験はないだろうか。何かをしようとしても、自分の中の自分が「上手くいくはずない」なんて、未来の可能性に囚われてしまったことはないだろうか。
未来への切望や可能性を捨てきれないのは仕方のないことだ。それが人間というものの性であり、よく言えばハングリー精神というものにもつながる。だが、未来ばかりに囚われて、「今」から逃げていてはいけない。
相田みつをは「今」というものに関する名言を数多く残している。それらの名言で相田みつをが伝えたかったのは、今が今であることではない。今というものに対して、人間の認識が欠落しているということを伝えたかったのではないだろうか。
人間はお金や過去など、自分が上手くイメージできない希少なものを重要視してしまいがちだ。それに対して、「今」というものはどうだろうか。そう、あまりに不確定だが、同時に限りなく潤沢なものなのだ。
潤沢なものに意識を傾けることは、実は難しい。日本人と水のようなものだ。日本には綺麗な水が溢れている。だから、蛇口の水を出しっ放しにする。そのモノの限界を感じられないと、それを重要視することは難しい。
だが、今というものは、人間にとって本当に潤沢なのだろうか。相田みつをの名言が伝えうることはもうお判りいただけただろう。彼は今というものを人間が上手く注視できていないのに、それを無下にしてしまっていることを分かっていた。だからこそ、こうして名言として残っているのだ。
未来への建設的な計画図を描いておくことを悪いといっているわけではない。ただ、目の前に、「今」そこにある仕事から目を逸らしてしまうことは、仕事人として失格ではないだろうか。目の前の今の積み重ねが未来になる。それは仕事もおなじこと。相田みつをの名言からはそう思えてくる。
人間は完璧じゃない。
とはいえ、今という瞬間を大事にし過ぎることは、それはそれで「ゆとり」が無くなってしまう。どれだけ今の仕事に打ち込んでも、失敗することはあるし、それで上司に叱られることも沢山あるだろう。
そんな挫けそうなとき、最も役に立つのは先人の言葉・名言かもしれない。「所詮にんげん」相田みつをのこの考え方は、投げやりになっていいということではない。どれだけ真摯に向き合っても、思い通りにいかないこともある。だってそれは、私たちが人間だから。
失敗することは、人間だからこそ。そう捉える相田みつをの考え方は、仕事、そしてその結果をポジティブに切り替えてくれる。一種の諦めのようにも感じられるが、相田みつをはそう考えることで作家として生きていたのかもしれない。
作家に短命が多いというのは本当で、ヘミングウェイは自殺、伊藤計畫は34歳で亡くなった。それにひきかえ、相田みつをは64歳まで生きた。彼のポジティブな視点変えは、人生をうまく生き、そして仕事で挫けないために役立ってくる。
仕事も人生。迷い続けるもの。
「迷う」ということを恥じる人もいるが、これは相田みつをの名言に反する上、若輩者ながら筆者も相田に同感する。
人生をどのように捉えるかという哲学的な問いかけではないが、人生を直線コースだと思ってはいけない。そんなこと分かっているとは思うが、これは意外と「心が」そう思えない節がある。
人生は迷路であり、迷うこと=人生なのだ。選択の連続の上に人生はあり、相田みつをの名言からもそんな考え方を感じる。絶対的正解がでるのは、数学の世界だけ。解いても解けない問題が人生という迷路の連続であり、そのジレンマを選択していくことこそ、人生なのではないだろうか。
今を生きること・失敗すること・迷うこと。これらの全てが人の人生にとって欠かせないものだと相田みつをの名言は語る。そして、仕事も人生なのだから、これらは必然と付き物になってくる。
挫けない仕事術とは、仕事に対して如何に向き合うかを再認識することだとも言えるかもしれない。相田みつをの名言は普段わたしたちが気づくことのできないモノの重要性を教えてくれるのだ。
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