漫画『島耕作シリーズ』を知らないビジネスマンも少なかろう。“ビジネス界の松岡修造”という呼称は筆者が勝手に名付けたものだが、島耕作の名言を見ていると(実際は本作の作者である弘兼憲史氏の言葉なのだが)、不思議と松岡修造を連想してしまう。それほどまでに島耕作の名言は「アツい」のだ。
島耕作の名言たちは『島耕作シリーズ』を読んでいなかろうと、ビジネスマンなら胸を打たれる名言ばかりであろう。今回はそんな島耕作の数ある名言の中から、筆者が厳選した名言集をご覧頂きたい。そこから読み取れるのは、島耕作というビジネスマンの仕事術だ。
島耕作の仕事術:未来の可能性ばかりに囚われるな。
島耕作の仕事術の根幹にあるのは、物事の行く末に固執し過ぎないという理念だ。恋愛における「奥手」を想像してみると早いのだが、「フられる」とか「他の人が好きなんだ」なんて決めつけてしまうことは、島耕作の理念に反する(何も、島耕作が奥手ではない言いたいのではない)。
つまり先読みしすぎてしまって、アクションを起こせなくなってしまうことを、物事の行く末に固執しすぎてしまう人間というのだ。可能性という言葉の方が正しいかもしれないが、可能性に躊躇するばかりでは一向に前には進めない。平社員から社長まで上り詰めた島耕作の仕事術には、こういった躊躇がないのだ。
そして、そんな島耕作のような信条を通すために必要なもの。それが島耕作の持つ自分という強いアイデンティティなのだ。
以前ご紹介した白州次郎もココ・シャネルも、自分というアイデンティティだけはぶれない人間だった。自分を持つということは意外と難しいことであり、特に日本人特有の集団社会的気質は、なかなかに個性を持つことを許さない。しかし、信条・個性を持って仕事をする人間ほど、人の目にかっこよく映る人間はいないだろう。
島耕作の仕事術:まず行動する人間であれ。
表題でも載せた名言だが、これもまた島耕作の仕事術を表している名言だろう。島耕作という男が躊躇のないビジネスマンであることはご理解頂けただろうが、急なアクシデントやトラブルに対してはどのような仕事術で対応していたのだろうか。
そう、彼は急なトラブル下においても、躊躇することのない人間だった(漫画のキャラクターに過去形をあてがうのも可笑しいが)。どんなケースでも、まずアクション(行動)を起こすのだ。
これは、最初にご紹介した仕事術にも共通してくるだろうが、失敗の可能性に囚われずに、まずは行動すること。その先で問題は解決すればいい。というよりも、問題などは行動の先にも生まれてくるものではないだろうか。
だとすれば、行動する前に汲々と議論を重ね、時間を費やすのはそもそも得策とは思えない。トラブルなんぞは、ビジネスの現場においては日常茶飯事。起こりうる可能性を卓上で潰していったところで、可能性がゼロになることはないだろう。ならば行動を起こすのが先だ、島耕作の名言はそう伝えている。
島耕作の仕事術:誰よりも働き、誰よりも仕事を好きになれ
毎日の業務に忙殺されているビジネスマンにとって意外と難しいこと。それは仕事を好きになることだ。どれだけの人が自分の仕事を愛しているだろうか。どれだけの人が自社製品を愛せているだろうか。その点、島耕作は仕事を愛するビジネスマンだ。
ごく普通なサラリーマンである島耕作にとって、仕事を愛することは難しいことだっただろう。単純に自分の好きなことを仕事にしているわけではないのだ。そこで、彼は仕事を自分の好きな仕事にアレンジしたのだ。
しかしそれと同時に、好きなことをやるからには、それ相応に仕事をこなさなければならない。誰よりも働き、その分誰よりも仕事を愛していた島耕作。仕事において一切の妥協を許さなかった彼は、それゆえに出世街道を邁進していったのかもしれない。島耕作の名言には、私たちをそう思わせる不思議な力がある。
筆者が島耕作をビジネス界の松岡修造と名付けた意味、少しはお分かりいただけたと思う。暑苦しいほどの言葉の数々だが、それらは同時に、島耕作という人間が持つ仕事への情熱も意味している。
未来への可能性に囚われず、まずは行動する。仕事を愛し、そして誰よりも働く男・島耕作。彼の名言は、ビジネスマンにこそ突き刺さる名言ではなかっただろうか。
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