ここ数年とあるイベントが人気を博している。それが「B-1グランプリ」だ。B-1グランプリとは、2006年から開催され、2015年10月に新潟の十和田で記念すべき10回目の開催を迎えたまちおこしイベントのことである。2015年には2日間で33万人以上の来場者数を記録した、食の一大イベントだ。
多くの人は、B-1グランプリをB級グルメを取り扱ったグルメイベントだと思っているだろう。しかしこのB-1グランプリ、実はB級グルメを取り扱ったイベントではないのだという。今回は、そんな謎の多いB-1グランプリの本当の姿をお伝えするとともに、B-1グランプリが社会に与えているインパクトを紹介していこう。
B-1グランプリの“B”は「BRAND」の“B”
by ume-y 先にもお伝えしたように、B-1グランプリはB級グルメを取り扱ったイベントのことではない。では、B-1グランプリの“B”とはいったい何なのか。
それは「BRAND」の“B”である。B-1グランプリとは、ご当地グルメのブランドを世に広めていくための「まちおこしイベント」なのである。B級グルメの聖地のように誤解されがちだが、イベントの本旨はグルメではなくまちおこしにあるのだ。
昔は「B級ご当地グルメ」の“B”だった
B-1グランプリがなぜここまで「B級グルメ」のイベントだと誤解を受けてしまっているのか。それは、B-1グランプリ自体もともとは「B級グルメ」に語感の近い言葉、「B級ご当地グルメ」を用いていたからである。しかし、これはあくまでも「ご当地」に重きを置いた表現であり、B-1グランプリの開催趣旨は「まちおこし活動」に他ならなかった。
B-1グランプリが有名になるとともに、様々なメディアがB-1グランプリの“B”は「B級グルメ」の“B”という紹介をするようになってしまった。そのため、B-1グランプリのことを「B級グルメを扱ったグルメイベント」だと誤解する人が多くなってしまったのである。
B-1グランプリの目指す「まちおこし」とは
出典:www.kubokeiju.com B-1グランプリが「まちおこしイベント」として機能しているということを、にわかには信じられないという人は多いだろう。たった2日間だけ地方の食を紹介して地方が再生するわけがない、と。
しかし、B-1グランプリは少なからず地方に対してインパクトを与えることに成功している。それは単純に、主催者の愛Bリーグが述べているだけにとどまらず、数字としてハッキリと表れている。
B-1グランプリ第1回大会から第7回大会まで上位に君臨し続けた「八戸せんべい汁」は、地元へ563億円もの経済波及効果をもたらしたのだという。まさに、B-1グランプリを通じた「まちおこし」の究極体とも言えるだろう。
B-1グランプリで表彰されるのは「商品」ではなく「団体」
B-1グランプリで有名になっていった商品たちに共通する悩みとして、「模倣品の出現」が挙げられる。地方再生が目的ではない、単なる自社の営利目的の品々たちだ。
こうした模倣品が蔓延しないよう、B-1グランプリでは表彰を「商品」ではなく「団体」に行っている。こうすることで、たとえ模倣品が作られても「ブランド」を守ることができるのだ。事実、「富士宮焼きそば」という名称はグランプリの受賞団体によって商標登録がなされており、その団体のみが使用を許されている。したがって、模倣品が存在しても、それに「富士宮焼きそば」というブランドを用いることはできない。こういったB-1グランプリの努力が、地方の再生という成果となって表れているのだ。
冒頭でも述べたようにB-1グランプリは、一見するとただのB級グルメイベントだと誤解する人は多い。しかし実際はそうではなく、地方の再生に大きく貢献した、社会に大きな恩恵をもたらしているイベントであることを覚えておいてほしい。
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