ビジネスでは、コミュニケーション能力が重要であるのは言うまでもない。ビジネスシーンには、取引先や上司、部下など様々な人間が存在し、良い仕事をしたいと考えているなら、彼らとのコミュニケーションは不可欠だろう。
誰とでも打ち解け、場を盛り上げる。そうした雑談力が欲しいと思ったことはないだろうか? 他人と仲良く話すというのは簡単そうに見えて、案外難しいものである。
今回は、そのように雑談力に悩みを抱えるあなたに『いつ、誰が相手でも必ず盛り上がる銀座の雑談手帳』という一冊を紹介する。著者は、銀座のクラブのママとして10年以上も活躍し、様々なお客さんを相手にしてきた雑談のプロであり、そこで培ったノウハウを本にしたのが、この一冊である。
初対面で距離を縮める雑談術とは?
どのような場合でも初対面で打ち解けることができるというのは、大きな強みになる。しかし、赤の他人と即座に仲良くなるというのは、もちろん難しい。そこで、重要なのが雑談力である。著者は、銀座のクラブで多くのビジネスマンを相手してきた経験から、初対面で有効な雑談術を次のように紹介している。
相手の名前を必ず口にする
「君の話は面白い」と「○○さんの話は面白い」と言われるのでは、どちらの方が親近感を得られるだろうか? もちろん後者である。また相手の名前を口に出しながら話すことで覚えやすくなり、次回会ったときに咄嗟に相手の名前を思い出すことができる。どんな人でも名前を覚えていて呼んでくれるというのは嬉しいことであり、信頼感にも繋がるのだ。
その人の服装の話をする
服装は、その人柄や個性を表すものである。そのため、良い部分を見つけて褒めることで、相手の気分を良くすることが容易になるのである。しかし「ビジネスであれば互いにスーツだから褒められないのではないか」と思う人もいるだろう。では、どこを見れば良いのか。男性であれば、カバンやネクタイ、時計、カフスなど。女性であれば、アクセサリーやネイルなど。必ずどこかに、その人の個性が表れている部分があると著者は述べている。
初対面では、相手に気分を良くしてもらうことが重要なのである。ただし、服装を褒めるにしても名前を呼ぶにしても、過度に行うのはかえって不審感を生んでしまうため、思い出した時に行うぐらいでちょうどいいだろう。
雑談が途切れてしまったら?
どんなに上手く雑談していても、時間が経つにつれて途切れがちになってしまう。雑談のネタが無限にあるわけではないから、途切れてしまうのはしょうがないのである。しかし「話慣れていない人ほど、会話が途切れると不安になり、どうにかして会話を続けようとしがちである」とこの銀座のママは述べ、そうすべきではないと教える。むしろこの途切れを上手く味方につけることが出来れば、相手との仲を深めることが出来るのである。この途切れを上手く使う雑談術は次の通りである。
沈黙を受け入れる
長い雑談の後に来る沈黙は「この人と長くしゃべっているな」と相手に感じさせ、「この人は話しやすい人」だと思わせる時間になる。また沈黙は、再び雑談で盛り上がるための小休止でもある。沈黙になっても広く構えていることが重要なのだ。
次の雑談を考える
会話は数打てば当たるものではあるが、人によっては気分を悪くするような話題というのもある。したがって、何でもかんでも話し続けようとしてしまうと思わぬ地雷を踏む可能性があるのだ。それを回避するために、この沈黙を使って「相手がどんな話をしていたか」を思い返し、次にどのような雑談ネタを出すかを考える時間にする。
沈黙を快く受け入れ活用することで、また雑談を盛り上げることが可能になる。しかし、沈黙を長くしすぎると空気が重くなり、雑談を再開するのが難しくなる。そのため、沈黙は適度なタイミングを見計らって破る必要もあるのだ。
雑談を切り上げるには?
ここまでで銀座のママが教える一流の雑談術を見てきたが、雑談をずっと続けるわけにもいかないのがビジネスマンである。社交の場であれば、様々な人に挨拶する必要があり、一人ひとりに長く時間をかけることは難しい。また後に予定が入っていれば、雑談を切り上げる必要が出てくる。しかし、相手との雑談を切り上げるのはとても難しく、まして相手が気前よく話している場合であればなおさら難しい。そこで、この銀座のママは、上手な雑談の切り上げ方を次のように紹介している。
余韻を残す
他にも挨拶する必要がある人がいる場合には、余韻を残すのが有効的である。具体的には、「もう少し話していたいのですが、◯◯さんにも挨拶しておきたいので、挨拶が済んだらまた話しましょう」と言い、相手に名残惜しさを伝えるのである。こう言われれば相手も悪い気はせず、「どうぞ挨拶してきてください」となりやすいのだ。
予定を伝える
次に何か予定が入っている場合には、予定を先に伝えておくのが有効である。具体的には、「◯時から会議があるので、時間は短いですが、少しだけでもお話しさせていただけますか」と言うのである。これには、「途中で切り上げますがよろしいですか」という了承と、「短い時間でもあなたと話したい」という気持ちが含まれており、時間になれば「すみませんが、時間が来てしまいましたので……」と切り上げやすくなる。
雑談の切り上げ方がきちんとしていると「今回は少ししか話せなかったから、次回はもう少し話してみたい」と相手に思ってもらいやすくなる。そうすれば、次の雑談にも繋がるのである。
雑談は始まりから終わりに至るまで、様々なところにポイントがあり、その一つ一つが、雑談をより長く楽しく続けていくためのものである。ぜひこの本を読んで、雑談のプロを目指してほしい。
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