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読書術の成功者が勧める、4つのアウトプット。速読よりも“深読”を――『読んだら忘れない読書術』

A.Sekine

2016/03/03(最終更新日:2016/03/03)


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読書術の成功者が勧める、4つのアウトプット。速読よりも“深読”を――『読んだら忘れない読書術』 1番目の画像
出典:robinreads.com

 1年前にたった一度読んだ本の内容を、今この場で一から説明できるという人がいたらどうだろう?

 そもそも、1週間前に読んだ本の内容すら、一体どのくらい他人に説明できるだろうか? もちろん相手はその本を読んでおらず、その分野に対する予備知識も持ち合わせていないとしたら。

 忙しい合間を縫って読んだのに、たった1週間で忘れてしまう。そんなことでは、その本はあなたにとって無価値なものになってしまう。

 今回は精神科医の傍ら執筆業もこなす樺沢紫苑氏の著書『読んだら忘れない読書術』から、価値ある読書にするための読書術を、一部抜粋してご紹介する。

本は人生に大切なものをすべて与えてくれる

 名の知れた成功者に読書家が多いのは、成功を目指す人なら誰しもご存じのことだろう。しかしながら、“日本人の50パーセント以上は、月に1冊も本を読まない”という研究データがあるのはご存知だろうか。本を読む量を2冊、3冊と増やしていけば、あっという間に、読書量だけで日本の上位数パーセントに仲間入りできてしまう。

 あまりにも本を読んでいない日本人に対し、樺沢氏は冒頭から、読書があなたにもたらす価値を徹底的に説いている。読書術は、本を読む人のためにある。本を読むことによって得られるものを明確に把握することで、なによりも読書へのモチベーションが増すのだ。

 樺沢氏いわく、読書量を増やしていけば、日本人の上位数パーセントに入るだけでなく、自己を何倍にも成長させていくことができるのだそうだ。

 読書術を説く前に、読書がいかなる価値を持つのかを再確認したい。

本があなたにもたらすもの

①知識:ネット検索は「デパ地下の試食」でしかない

 情報と知識の違いを、あなたは説明できるだろうか。樺沢氏いわく、“1年で古くなってしまうのが情報、10年たっても古くならないのが知識”なのだ。

 ネット検索で得られるものは、デパ地下の試食のように断片的な情報でしかない。

実践可能、応用可能で行動につながり、10年たっても風化することのない「結晶化された知識」を得られるのが「本」

出典:樺沢紫苑(2015)『読んだら忘れない読書術』サンマーク出版 p.24

本を読むことで、あなたは濃縮され結晶化された知識を手に入れることができるのだ。

②仕事力:料理の鉄人理論

 どうして「できる奴」と呼ばれる人は、「明日までに資料をまとめてくれないか?」なんて上司の急な依頼に、即座に対応できるのだろうか。それは頭の中に、“キッチンスタジアム”があるからだと樺沢氏は言う。

 自分の仕事に関する大量の知識・情報が既にわかりやすく整理され陳列されている......「できる奴」の頭の中は、まさに仕事のキッチンスタジアムになっているのだ。

 依頼されてから資料を集めだしたのでは間に合わない。鉄人は、調理開始前からすべての食材をスタジアムに用意しているものだ。そのスタジアムを構築させてくれるのが本であり、普段の読書習慣であるという訳だ。そこに生きてくるのが、本書の読書術なのである。

③健康:ストレスが緩和し、頭が良くなる

 不安とストレスの大部分を解消する、最も簡単な方法は、実は「解決方法がわかる(=コントロール可能)」だと脳が把握することなのだそうだ。

 何か悩みや心配事があれば、まず本を読むといい。繰り返すが、本には他人の結晶化された知識が存分に詰まっているのだ。本を読めば、必ず何かしらの解決方法がわかるはず。なんとかなる!と脳が把握しただけで、あなたのストレス値は大幅に減少することだろう。

 また、本を読むことで「思考力」や「集中力」、「情報処理能力」がアップすることは数多くの研究によって証明済みである。つまり読書は、あなたの脳を鍛え上げる優れた行為なのだ。

 本書には記憶するための読書術に加えて、あなたのための本を選ぶ技術についても記載されている。本を選ぶところから、読書術が始まっていると言っても過言ではない。

価値ある読書のための、4つのアウトプット

 読書において重要なのは、読んだ本の内容があなたにとって価値あるものであることと、あなたが得た知識を実際に応用することだ。応用するためにはまず、読んだ内容をきちんと理解した上で、記憶していなければならない。
 
 そのための最大のポイントが、読書後の4つのアウトプットにある。読書は知識を得るためのものだ。限られた時間でより多くの知識を脳に蓄えるために、本書の読書術は存在している。

 以下がそのアウトプットに関する4点である。

・本を読みながらメモをとったり、気になった部分にラインを引く
・本の内容を人に説明する、勧める
・本の感想や気付き、名言などをSNS等でシェアする
・ブログやSNS等に、書評やレビューを書く

 アウトプットを生かす読書術のコツは、このうちの3つを1週間以内に実践することだ。人間の脳は、「何度も利用された情報」を重要と判断するからである。短期記憶を確実に定着させるために、1週間という期限を守ることが重要なのだ。

 また同様に、脳は「心が動いた出来事」に関しても深く記憶するようにできている。読書術としては、自分の心が動くような価値ある本を選んで、心の動きをメモに残すことが非常に重要となってくる。

 この二つのコツこそ、速読よりも内容を頭と心に留めておく“深読”を、樺沢氏が進める所以である。


 いかがだろう。少しばかり、本を読みたくなってきたであろうか? 本書は脳科学的、精神医学的な了見を加えて、日本人に対して読書への道を開く入門書のようなものだ。“忘れないための”本の選び方や購入方法まで、徹底的な見地が記載されている。

 読書術に対して全くの素人である方からすれば、目から鱗が落ちるような読書術が満載である。また、読書好きな方からすれば、自分の読書術を抜本的にブラッシュアップしてくれる、そんな一冊になっている。

 価値ある読書のため、引いては自身の人生のため、この本を読むために1時間ほど費やしたとて、決して無駄にはならないだろう。



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