「写真と魂」。これらはよく引き合いに出される言葉であるが、たしかに写真からは神聖にも似たある種の魂を感じることがある。それは写真という存在が、この世界で一度しかない「“今”を移す鏡」であることに由来するのかもしれない。
そんな写真を撮り、人々の感情を揺さぶる写真家。そのひとりに、南アフリカを拠点に活動する新進気鋭の写真家であるアンディレ・ブカがいる。彼の切り取る写真は「街の認識を変える」のだ。
そして、株式会社パルコが運営するクラウドファンディング・サービス「BOOSTER(ブースター)」内では、そんなアンディレ・ブカの東京招致を目指したプロジェクト『“アンディレ・ブカ”招致プロジェクト by Studio-X Tokyo』が始まった。
アンディレと南アフリカ・ヨハネスブルク
出典:www.booster-parco.com 南アフリカというと2010年のワールド・カップが記憶に新しいが、当時も騒がれたように、その治安の悪さは日本人の想像を遥かに超えている。民間医療の整備も不十分で、国民の5人に1人はHIV感染者、平均寿命も60歳を下回っている。
アンディレはそんな南アフリカの首都・ヨハネスブルクで育ち、生まれ故郷であるヨハネスブルクの町並みを写真に収めてきた。
とは言え、彼の切り取る写真は決して南アフリカの暴力や貧困を映し出す鏡ではない。彼は違う視点から街を見つめ、その街、ヨハネスブルクという街に対する人々の認識を変えようとシャッターを切るのだ。
街の認識を変える写真家「アンディレ・ブカ」
出典:www.booster-parco.com あなたは東京という街に対してどのような感情・イメージを描いているだろうか。東京に住んでいる人の中には、東京という街が「汚い(多義的な意味で)」街だと感じている人も多いことと思う。
自分の暮らす街に対して、ネガティブな印象を抱きがちになるのは致し方ないことかもしれない。恋愛と同じ。一緒にいればいるほど、その人の汚い部分が見えてきてしまう。それは街に関しても同じことが言えるだろう。
しかし、アンディレは違う。彼は故郷である南アフリカ・ヨハネスブルクを愛し、それゆえに、そこで生きる人々の生き生きとした日常を前向きに写真に映し出すことができる。実直なまでの素直な故郷への愛が、彼の写真に“魂”を与えているのだ。
東京を愛せる街へ。
(写真:アンディレ・ブカ氏)
本プロジェクトの主催者である「Studio-X Tokyo」の代表、及び有限会社アーキコンプレックス代表を務める廣瀬大祐氏は、アンディレの東京招致によって、現代日本の抱える諸問題が解決に向かうことを願っている。
彼のいうところの「目に見えない問題」とは、現代日本の抱える深刻な課題である自殺死や孤独死を指している。彼が述べる通り、東京は一見して平和で治安は良いが、その根底には視認できないネガティブな現状があるのではないだろうか。
アンディレの映し出す東京の写真は、東京の街並みをポジティブに切り取る。そんな写真が私たちの心の再認識を促し、東京を美しいものへと思えるようになるのではないだろうか。廣瀬はそんな思いをこのプロジェクトに込めている。
たかが写真。されど写真。芸術は常に人の認識を変えるために存在してきた。それは音楽だろうと絵画だろうと写真だろうと同じこと。
アンディレの切り取る写真が“東京”という街の美しさを再認識させてくれるものであるのは、彼の切り取ってきたヨハネスブルクの写真が証明している。アンディレの写真は、人がなかなか気付くことのできなくなってしまった純粋な東京の美しさを教えてくれるだろう。
「東京の美しさをより多くの人に知って欲しい」という想いから始まった本プロジェクト。ぜひとも皆様のご協力をお願いしたい、そしてあなた自身にとっても、東京の美しさを見つめ直す機会になって欲しい。
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