少し前までは、何か調べたいことがあれば図書館へ行ったり、専門家に質問しに行ったりしていた。しかし、インターネットや電子機器の発達により、今では手元で何でも調べられてしまう。
携帯電話やパソコンの普及によって、この四半世紀の間に世界は劇的に変化してきた。そしてその情報化の渦のなかで、中心にあり続けるものがいる。それが、グーグルだ。これほどまでに世界に大きな影響を与えた企業は、かつてあっただろうか。
今回紹介するのは、グーグルの創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・プリンが語った言葉から、彼らの仕事への向き合い方やグーグル成功の秘密を読み解く『Google Boys グーグルをつくった男たちが「10年後」を教えてくれる:ラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリンの言葉から私たちは何を活かせるのか』という一冊である。
世界を変える仕事をする
世界を変える方法を一行で説明するとしたら? この質問に対し、ラリー・ペイジは「とてつもなくエキサイティングなことを、常に必死でやること」と答える。創業者をはじめ、グーグルの社員は自分にとってのモチベーションの源を大事にしている。そのためグーグルでは「20%ルール」を導入している。
「20%ルール」とは、自分の本業とは別に、就業時間の20%を自分の好きな研究に費やしてもよいというものである。すぐにはビジネスにはならないようなことであっても自由にやらせ、常に何かに打ち込む姿勢を持たせるのが目的である。情熱を持つことが良い仕事を生み出すと、ラリー・ペイジは考えているのだ。
自由な取り組みを推進しているだけあって、突拍子もない商品やサービスが多い。今では当たり前だが、キーワードを入力して画像を検索できる「画像検索」や世界各地を実際に見ることのできる「グーグル・アース」など、規格外のサービスが存在するのがグーグルだ。普通の企業では「無理だ」と一蹴されるような提案であっても、「とりあえずやってみろ」というのがグーグルであり、それがグーグルがイノベーションを生み続けられる理由なのである。
難しい時代でも進化を続ける理由
前項でmグーグルの自由な社風がイノベーションを生み出す原動力になっていることを述べたが、フットワークの軽さやチャレンジ力もグーグルの特徴である。ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、グーグルの社員に対し「すぐ始める。そして改善を続けること」を徹底させている。まさに前項で述べた「とりあえずやってみろ」である。
ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、グーグル創業から軌道に乗るまでの市場競争の中で、ぐずぐずして事業を始めないでいると他社に先を越されてしまうということを痛感していた。そのため、とりあえず始めてみるということを社員に教えているのだ。実際にやってみることで、見えてくる課題は多く、そこから方向修正や改善を進めていく方が早く成功に繋がりやすいのだ。
最初から完成形を目指すのではなく、できるところから少しずつ始めていくのがグーグルの仕事スタイルである。ビジネスの変化が速いシリコンバレーという土地だからこそ生まれた、成功のための法則である。
まず「情熱」を見る
グーグルが求める人材について、セルゲイ・ブリンは次のように語る。
「採用するとき確かめておきたいのは、その人がこの会社で働きたいと思っていて、その人がものづくりを愛していて、金が第一の目的ではないということ。とはいえ、価値のあるものを生み出してくれたら、当然それに報いたいと思う」
セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジは、共に働く人には自分たちと近い価値観と情熱を持っていてほしいと考えている。グループのなかに価値観が合わない人がいると、想いや認識がずれて意思疎通が難しくなってしまうからだ。そのため、グーグルの採用面接はかなりの時間がかけて行われている。
最終面接では、エアポート・テストと呼ばれる試験が行われる。それは「飛行機が欠航になって、空港でひと晩一緒に過ごさなければならない。そのとき、夜通し語り明かせる人かどうか」を判断するというものだ。こうした採用システムによって、社員一人ひとりが自由に仕事や研究を行いながらも、全体として同じ目標に向かっていくことを可能にしているのである。
ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの仕事から見えてくるのは、徹底した仕事の作り方である。彼らのように情熱を燃やして仕事をする姿勢を持ってば、今後の仕事は面白くなるはずだ。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう