老舗と聞いて、皆さんはどの年代に立てられた会社を想像するだろうか。恐らく、「江戸時代より続く~~」などということを浮かべる人がほとんどだろう。
今回紹介する企業は、なんと室町時代から続く“超”老舗企業だ。創業から450年あまりが経つ企業、その名も「西川産業」である。西川産業は1549年に創業した企業で、現在は寝具メーカーとして「ムアツふとん」などの数々のヒット商品を世に送り出している。
まるで重要文化財のような、ある意味で「古臭さ」すら感じてしまいそうな西川産業だが、内情は真逆の「新しさ」を感じさせる企業である。西川産業の代表取締役社長・西川八一行(にしかわやすゆき)により、西川産業は時代に合わせた企業のカタチを取り続けているのだ。今回は、2015年8月27日放送のテレビ東京『カンブリア宮殿』の放送回に合わせ、西川産業の新しさを感じさせる一面や、西川八一行の考える経営戦略をお伝えしよう。
100件を超える「グッドデザイン賞」受賞歴
グッドデザイン賞と言えば、デザインが優れた物に送られる賞として非常に有名だ。公式サイトによれば、そのデザインが社会を進歩させているか、すなわち社会の先端にいるかという判断基準で下されているという。グッドデザイン賞を受賞するということは、社会を引っ張っているということの証となるのだ。
そのグッドデザイン賞を、西川産業はなんと100件以上も受賞しているのだ。さらには、西川産業は「ベッド」や「ベッドカバー」など、その分野で初の受賞となるケースが非常に多い。実に7種類の分野において、西川産業の製品は初受賞を受けている。西川産業は当然ながらグッドデザイン賞より前からある会社だが、450年の間ずっと時代の先頭に立ち続けているのである。
iFデザイン賞も受賞:「エアー」
グッドデザイン賞は日本における最大のデザインコンクールである。しかし国際基準で観たときに、グッドデザイン賞を受賞したすべてのものが先進的であるかどうかはわからない。
世界的に有名なデザインコンクールとして、iFデザイン賞というものがある。ドイツ発祥のこのデザインコンクールは、現在でもデザインコンクールの頂点として、長きにわたって(これもやはり西川産業の長さには遠く及ばないが)君臨し続けている。
そのiFデザイン賞を、西川産業はある商品で受賞することが出来た。マットレスの「エアー」である。西川産業は、日本だけにとどまらず、世界の目線で見ても先進的な企業なのだ。
売り出し方にも工夫アリ
上の言葉はとてもイマドキ感にあふれているが、これも西川産業が発している言葉だ。いい意味で室町時代から続いている企業とはとても思えない、時代に対応したメッセージである。
西川産業は、売り方にも工夫を凝らしている。女性用のオーダーメイド枕をメインに取り扱ったショップ「ピローウィーカフェ」を2010年に開店させた。西川産業はイメージする老舗の商売方法とは、およそ真逆を行くような売り出し方を展開している。
西川八一行「アイデンティティは“寝具メーカー”ではない」
西川八一行は、西川産業のアイデンティティを“寝具メーカー”ではないと考えている。西川産業は“お客さまの、よりステキな明日を作ること”こそがアイデンティティなのだという。
寝具メーカーであることに間違いはないのだが、それはあくまで方法でしかない。西川産業が成し遂げたいのは、西川産業の寝具が広く流通した社会ことではなく、人々が毎日をステキに過ごしているという社会である。そのため、西川産業が今後、寝具以外の業界に進出する可能性は大いにあるのだとか。
西川八一行「ブランドが“短所”にもなる」
前述のとおり、室町時代から続いている企業だとは思えないようなサービスを展開している西川産業。このサービスを実現させている西川八一行は、これまで西川産業が築き上げてきたブランドが時に“短所”になると指摘している。
老舗のイメージというと、製作物に対するこだわりが強く、どことなく商品を「押し付けている」ような印象を持ちがちである。消費者のニーズなどどこ吹く風と言わんばかりに、自らの商品に絶対の自信を持った企業も中には存在している。
こういった状態に陥らないためにも、西川八一行は常に消費者の目線でいることを忘れない。その結果が先の「ピローウィーカフェ」などである。老舗だからこそ、自らの主観にハマり過ぎて倒産、というリスクを減らしたいのだ。
西川産業が常に新しくあり続けるのは、西川八一行をはじめとする歴代社長の努力の甲斐あってなのかも知れない。西川産業は創業から何年が経とうとも、常に時代の先端であり続けるのだ。
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