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「アジアの広告史を変えた」天才広告マン・福田敏也が証明する“企画の力”:『なんクリ』

中村麻人

2016/03/17(最終更新日:2016/03/17)


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「アジアの広告史を変えた」天才広告マン・福田敏也が証明する“企画の力”:『なんクリ』 1番目の画像
出典:www.flickr.com
 本書『なんとなく企画クリエイティブの仕事をしたいと思っている人のなんとなくをなんとなくじゃなくする本 なんクリ』の執筆者は、武蔵野芸術大学で講師を勤める福田敏也氏だ。最近、福田氏は「なんとなく企画の仕事をやりたい」という学生の声をよく耳にしているという。

 だが「企画」という仕事は、領域が広く国家試験などない。だから、何を勉強したらいいかわからないし、実態がわかりずらい。そのことが、若者を「なんとなく」と言わせていると福田は指摘している。本書を読めば、「企画」という仕事に対する「なんとなく」を「なんとなくじゃなく」することが出来る。

 この記事の読者の「企画」に対する漠然とした認識が解消されるべく、アジアで初めてカンヌ広告祭金賞を受賞した福田氏の意見をいくつか紹介したい。

企画の時代がやってきた

「アジアの広告史を変えた」天才広告マン・福田敏也が証明する“企画の力”:『なんクリ』 2番目の画像
出典:www.jobssection.com
 未来の日本を支えていく上で、企画は必要不可欠である。なぜなら、コンピューターによって様々な職がなくなっていくからだ。福田氏によるとイノベーションは、「機械がやっておきますから領域」を日々広げ、人間の労働機会をどんどん奪っていく。この先コンピューターに奪われる職種は、確実に増えていくのである。そして、それを止めることは難しい。

 だが同時に、コンピューターが苦手な仕事の価値が高まっていくのも事実である。その時に合った時代の雰囲気を取り入れ、時代によってあり方を変える企画の仕事は、合理化の流れの中でより重要になっていくのだ。

旭山動物園による証明

「アジアの広告史を変えた」天才広告マン・福田敏也が証明する“企画の力”:『なんクリ』 3番目の画像
出典:wilowalls.wordpress.com
 旭山動物園の復活は、企画の力が今の時代にいかに重要であったかをあらためて実感させるものであったと福田氏は主張している。入場者数の落ち込んだ地方の動物園が、そのコンセプトから見直しをはかり、新たな展示コンセプトを軸に復活を果たした。年間入場者数では、一時は入場者数全国1位の上野動物園に肉薄するほどの急成長を果たし、見事に復活したのだ。そのオリジナリティにおいては、もはや上野動物園をも凌ぐ、日本を代表する存在になったともいえる。

 企画マン視点で旭山動物園の活動を分解すると、もっともユニークなポイントは、「動物園の価値とは何か?」という基本に立ち返ったプランニングであると福田氏は指摘している。この旭山動物園のプランニングにおいては、本質的に何を見せるかが一番のポイントであった。そして議論の末にたどり着いたのが、今の旭山動物園の姿だ。生きた姿をただ目撃させるのではなく、その動物の暮らす様子を見せ、「生態」や「行動」を見せるための展示をする。旭山動物園は、棲んでいたであろう動物たちの生態が映し出される施設をオリジナルに作り出すことに成功し復活を遂げた。

 旭山動物園の「オランウータン舎」では、オランウータンの特徴である地上に降りることなく木から木へと移動しながら暮らす様子を見ることが出来る。このオランウータン舎は、木から木へとオランウータンが渡る姿を来園者にいかに目撃させるかを考えた結果できたものだ。ただ高いところにたたずむオランウータンを目撃する動物園から、長い手足を器用に操って高所から高所へ渡る「行動」を目撃することができる動物園へ、企画の力で変化したのだ。

企画力はどんな仕事でも試される

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出典:simplifywork.blogs.xerox.com
 福田氏は、10年後には今「企画職」として特別扱いされているものも、もっと普通のものになっていると示唆する。どの職種にも共通して企画力は問われる時代になる。すでに一般企業の中には、営業企画、流通企画など、それぞれの業務ごとの企画機能を持つケースは増えている。そしてその流れは、どんどん加速していくのだ。

 その企画スキルを身につけるためのトレーニング、磨くためのトレーニング、視点や考え方を豊かにするトレーニングなどを定期的に受ける努力と自己投資は重要になっていく。


 「企画」には、どういう力があるのかがこの記事を読んで理解できたと思う。本書では企画力の上げ方、企画という仕事との向き合い方など様々なメソッドに満ちている。企画力の重要性に改めて気づいたあなたには、本書を読んで一流の企画マンになる参考にしてほしい。

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