あなたは先の人生を思い描くとき、何を軸にして想像しているだろうか。そう問いかけられたとき、自信をもって「僕にはこういう信念があって、それを軸にしてます!」というような答えが返ってくる人は少ない。信念がある人を見て、カッコいいなと思う半面で、人生行き当たりバッタリだから自分には関係ないやとも思ってしまう。
しかし、これから自分の人生を歩んでいくうえで、軸を持っている方がはるかに有意義であるということは明らかだ。自分の意思決定がブレることなく、人生を顧みたときに一貫した選択をし続けることができる。
よく使うのが「座右の銘」である。座右の銘を持っておくと、それに基づいた判断を下せるようになり、人生に“箔”がつく。今回は、座右の銘がなぜ人生に役に立つのか、そして有名人が実際に心に留めている座右の銘について紹介していく。
座右の銘、何のためにあるの?
座右の銘はもともと何のために存在しているのだろうか。それは、自分が決断に迷ったときの参考にするため、自分がどうしようもなく落ち込んだ時の励ましにするためなど、人によって様々である。
座右の銘を英訳すると“Motto”、すなわちモットーである。いわば、日常生活を送るうえで大事にしたい規範や道徳のようなものだと考えてしまって構わない。自らに規範を設け、それに従って生きるだけで、人生の中にひとつ、大きな軸が出来上がるのだ。
座右の銘は1つじゃなくていい!
座右の銘を複数持つことは、自分の意思がぶれている人のように思われがちである。しかし、各界の有名人を見ていると、中には座右の銘がいくつかあるというような人もいる。例えば言わずと知れたアップル社の創業者スティーブ・ジョブズの座右の銘といえば「Stay Hungry, Stay Foolish」が有名だが、実は「毎日、今日が最後の日と思え」という座右の銘も持っていた。
無理に座右の銘を1つにしぼろうとすると、かえってそれにとらわれすぎてしまう恐れがある。あえて座右の銘を2つにすることで、自分の人生の軸を多角的にとらえることができるようになる。しかし、あまり量を増やしすぎても、結局座右の銘としての効果の度合いが薄れてしまうだけなので注意が必要だ。
有名人が実際に使っている座右の銘たち
ここからは、実際に有名人が心に留めている座右の銘について紹介していく。自分の目指している人物が人生の軸にしている座右の銘があれば、その座右の銘を拝借して、自分の意思決定に反映させるとよいだろう。
松坂大輔の座右の銘「目標がその日その日を支配する」
by slgckgc メジャーリーガーというスポーツ選手全体の中でもかなり高い場所に立った投手、松坂大輔。彼の座右の銘は「目標がその日その日を支配する」というものだ。意味は文字通り、1日の過ごし方というのが、目標の有無によって大きく違うということ。さらにいうと、目標をどこまで高く設定するかで、1日の組み立て方に変化が現れてくるのだという。
似たような座右の銘を掲げている人に、ワタミ株式会社の社長・渡辺美樹の「夢に日付を」というものがある。これは、夢を持ったときにそれが成し遂げられる日付も一緒に書いておくべきだという意味を持つ。こうすることで、夢に対して具体的な期限が設けられ、「目標」として具体的なアクションに落とし込むことができる、というものだ。夢や目標をたてたとしても、それを達成するという意思のもとでたてなければ意味がない。そんなことを、この2人は座右の銘として心に刻んでいるのではないだろうか。
ダイエー創業者・中内㓛の座右の銘「ネアカ、のびのび、へこたれず」
出典: Amazon.co.jp 言わずと知れたスーパーマーケットの最大手「ダイエー」。その創業者・中内㓛の座右の銘は「ネアカ、のびのび、へこたれず」というものであった。この座右の銘には、底抜けに明るく、どこでも物怖じすることなく、たくましく生きろというメッセージが込められている。経営者にとって必要なマインドを実によく体現した、経営者にぴったりの座右の銘なのではないだろうか。
中内㓛が設立した流通経済大学の校歌にも、この一節は用いられている。彼の座右の銘を日常的に浴びてきた流通経済大学生は、中内㓛の意思を継ぎながらも、明るく、のびのびと、へこたれることなく勉学に励んでいる。
藤子不二雄Ⓐの座右の銘「明日にのばせることを今日するな」
今度は、少しかわった座右の銘を紹介する。藤子不二雄Ⓐの座右の銘「明日にのばせることを今日するな」である。先ほどのスティーブ・ジョブズの「毎日、今日が最後の日と思え」とは逆をいくような内容だ。
この座右の銘、裏を返すと「今日は今日しかできないことをするべきだ」という意味になる。今日しかできない貴重な体験があれば、それを進んでおこなう方がいいということを説いている。それを「明日にのばせることを今日するな」という形で表現するあたり、藤子不二雄Ⓐ独特の“屈折感”がある座右の銘となっている。
自分の座右の銘が決められない人に……
座右の銘を決めるためには、まず「いかにも」な名言を見つけなければならない。そして、その言葉の背景を理解して自分の行動規範として落とし込む必要がある。自分で言葉を作ってそれを座右の銘にする人もいるが、それができていたのなら既に苦労していないだろう。
もしそういった言葉に巡り会えていないのであれば、名言集や伝記など、一人の人にスポットライトを当てた書籍をチェックしてみるといい。また、『座右の銘―意義ある人生のために』などといった、ありとあらゆる人の名言を集めた書籍も読んでみると参考になる。これらの書籍は、書かれている言葉にどういった意味があって、それをどう落とし込むと活かしやすいのかが書かれているため、読んでいるだけで非常に勉強になる。座右の銘が欲しいと思っていてもそうでなくても、「誰かのありがたい言葉」として読む価値は十分にある。
座右の銘を持っていると、それだけで1日の過ごし方が大きく変わる。日々の選択に悩んだときに、自分の中にある“軸”がはっきりする。今から座右の銘を持って、自分の人生を有意義に生きられる「カッコいい」オトコになろう。
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