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かちわり氷の売上は1日120万円!経済効果は351億円! 球場の内外で動く「夏の甲子園ビジネス」

Yasutaka Nagataki

2017/10/26(最終更新日:2017/10/26)


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かちわり氷の売上は1日120万円!経済効果は351億円! 球場の内外で動く「夏の甲子園ビジネス」 1番目の画像

 夏の一大イベント、夏の甲子園。2018年には第100回を迎える全国高校野球選手権は、数多くのドラマを生んできた。

 しかし、甲子園はドラマを生むだけの存在ではない。実は甲子園がもたらす経済効果は、実に351億円近いのだ。

 今回は甲子園に関するビジネスについて、いくつか紹介していこう。

8日開幕する高校野球夏の甲子園大会の経済波及効果が総額約351億円に上るとの試算を、関西大の宮本勝浩名誉教授が7日までにまとめた。

出典:夏の甲子園、経済効果は351億円 関大名誉教授が試算 - 産経WEST

夏の甲子園ビジネス①:意外と安い「甲子園の入場券」

 甲子園の入場には、もちろんある程度のお金がかかる。しかし、実は入場券はそこまで高くない値段設定がなされているのだ。

 甲子園で行われる高校野球は、1日単位で入場券が販売されているのだが、自由席の中で一番高価な中央特別席でも2,000円で済んでしまう。

プロ野球なら2,000円。高校野球なら「無料」

 プロ野球の阪神戦であれば、外野指定席で観ようとすると1試合2,000円かかってしまう。

 しかし、高校野球の場合は外野は自由席となり“全席”無料になるまさに「破格」の価格設定なのだ。

 このような非常にリーズナブルな値段設定ながらも、日本高等学校野球連盟の2016年度決算報告書によると、入場料収益で7億2千万円もの数字を叩き出していると報告されていた。

 甲子園の高い集客率には、良心的な入場料の価格設定が関わっているともいえるのだ。

夏の甲子園ビジネス②:夏の甲子園の風物詩「かちわり氷」

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 夏の甲子園球場内に入場して一番最初に思うこと——「とにかく暑い」。炎天下であることもそうだが、何より「人の熱気」が凄まじいのだ。

 人と日差しの熱気に包まれた甲子園だからこそ、名物になったともいえる存在が「かちわり氷」だ。

 六甲の天然水を用いた氷水をビニール袋に入れただけ、というなんともシンプルな商品である。球場では200円で売られているが、原価はおそらく5円としないだろう。

甲子園でかちわり氷を販売するのは「地元のお店」

 そんな“超”高利益率を誇っているかちわり氷だが、実は販売元は梶本商店という地元のお店である。

 多くの学生アルバイトを雇って、1日に6000個近いかちわり氷を売ることもあるのだとか。

 一見するとただの氷水だが、120万円以上の売り上げを1日で叩き出すかちわり氷。その経済効果はバカにはできない。

甲子園球場近くの家ではペットボトル飲料を売ることも……

 面白いことに、甲子園球場の近くに民家を構える人々の中には、軒先で商売を始める人もいる

 自前の氷水で冷やしたペットボトル飲料を、自販機より少し安い値段で売っている光景を目にすることがあるのだ。もはやお祭りの出店である。

 このような小さな商売も含め、甲子園の周りには多くのビジネスが広がっている。もし行く機会があれば、甲子園球場の周りを見渡してみるといいだろう。

夏の甲子園ビジネス③:JR九州×旅行会社=甲子園応援ツアー

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 JR九州やJR東海では、甲子園の観戦チケットと交通チケットなどをセットにしたツアーを提供している。

 このツアーを甲子園出場校に対して宣伝し、JRの利用者拡大をするのが狙いだ。

地方の甲子園代表校にとってのネックポイントは「応援」

 地方の甲子園代表校にとって、大きなネックとなっているのが「応援の確保」である。

 甲子園球場のある兵庫から地方代表校の位置が遠くなるほど、応援の参加率が低くなってしまうのは必然。

 それを担保するべく、学校はこの企画を受け入れているのだ。

春夏限定の甲子園応援ツアーは「Win-Win-Win」のビジネス!

 JR側には利用者が増えるメリット、旅行会社にはツアー集客そのものが増えるメリット、そして甲子園出場校には応援が増えるというメリットが存在する。

 ある意味、この甲子園応援ツアーは「Win-Win-Win」のビジネスなのだ。


 実は、甲子園に出場する選手たちの送迎費用の一部は、日本高等学校野球連盟が補助している。

 高校球児たちの甲子園にかける“想い”をお金に変換する一方で、そのお金によって高校球児たちは支えられているのだ。

 感動を与えるだけでなく、しっかりと経済にも貢献している高校野球。来年の第100回記念大会は球児たちの熱狂はもちろん、経済効果も大いに期待できそうだ。


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