格差社会が問題視される日本。昨今では、一歩間違えば誰もが転落してしまう「滑り台社会」の罠がささやかれ、気が気ではない。
どうせイチヌケるなら、上に突出したいもの。「アパマンショップ」創業者の一人、株式会社三光ソフランホールディングス代表取締役社長・高橋誠一氏は、学生時代から「社長」以外は眼中になく、「億万長者になる」と決めていたという。つまり、高橋誠一氏にとってはビリオネアになることが目的で、そのための方法が社長と言える。
稼いで使って、また稼ぐ
ここまであっけらかんと明快な人物に、天は味方するのではないか。その努力の軌跡をたどる前に、ユニークな金銭感覚を聞いてみよう。高橋誠一氏がイメージする億万長者とは、金塊や札束に囲まれた人ではない。「使っても使っても使い切れないぐらいのお金が入ってくる」。それが、定義なのだ。稼いで使って、また稼ぐ。そうやってお金で世の中を活性化させる意識が若い頃からあったのだ。
そんな高橋誠一氏も、振り出しは家業の米穀店勤務。しかし、スーツ姿の同期と比べ、いかにも冴えないと感じた高橋誠一氏は、5年目に不動産業に転身する。理由は、「扱う商品の額が最高だから、不動産がいちばん儲かる」と、これまた明快だ。たしかにベンツやポルシェがいくら高級だと言っても、家一軒の値段にははるかに及ばない。
念願の転身、銀行ローンとの出会い
28歳で宅建取引主任者の資格を取得し、翌年開業。最初は近隣の不動産業者を訪れ、仕事を請け負って手数料を稼ぎつつ、一から勉強を始める。業界の用語や慣習を知らないための失敗もあれば、お客さまの住宅ローン手続きを代行し、「銀行ローンって、どういうの?」と質問して、銀行員を驚かせたこともあった。それがきっかけで銀行員とは仲良くなれたのだから、「聞くは一時の恥」なのだ。
不動産=悪徳イメージのすり込み
誠実一路の高橋誠一氏が何より警戒したのは、「悪徳不動産業者にだまされる」ことだ。自分自身も不動産業なのに、同業者はウソをつくと決めつけ、一つの疑問について三人の裏が取れるまで信用しなかったところが、まさに面目躍如たるところ。一通り業務を覚えて設立した自社には「高橋米穀不動産部三光不動産株式会社」と名付ける。「お米屋さんなら信頼される」と踏んでのことだが、米屋に家を探しに来る人は一人もいない。
そこから高橋誠一氏の不動産業者行脚が本格的に始まった。大宮市内に500ある不動産業者を一カ月に一度ずつ訪ね、物件を求めるのだ。最初は相手にしてくれない相手も、3、4カ月すると「おまえ、よく来るね」。半年から一年続けるうちに「本当にすごい」といくつかの物件を回してくれるようになる。一つひとつの物件を丁寧に考え、次へつないでいった。
名前で負けても、足で稼ぐ!
毎日不動産業者を回っているうちに、気がつけば大手デベロッパーが開発した団地で、子会社と真っ向勝負ができるまでになっていた。その時はガリ版で「売家募集」のチラシをつくり、一軒ずつポスティングすることで、取り扱い高を逆転する。一年半の間続けたポスティング、足で稼いだ勝利だった。
この後、高橋誠一氏の会社は建て売り住宅の販売へと移行する。こうして、億万長者への道が拓けたのだった。
(10MTV編集部)
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