ファナックという企業がある。ご存じない方も多いかもしれないが、実は日本が誇る世界的優良企業で、工作機械用CNC装置で世界首位。2015年7月21日現在の企業価値(時価総額)は5兆円を超えており、日本の時価総額上位ランキングでも総合15位につけている。
ファナックはもともと、富士通の一部門だった。その頃から、創業者の稲葉清右衛門(いなば せいうえもん)氏が一貫して指揮を取ってきたが、部門発足後10年間は赤字続き。それでも富士通はこの事業を止めず、ファナックを大きく育て上げた。そのファナックが、結果的にはITバブル後の富士通を救ったのだ。
ファナックが「最強」たる2つの所以
経営コンサルタントで、エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社・代表取締役の大上二三雄は、ファナックは次の2点で特筆すべき企業だと述べている。(『10MTV』収録「外資系グローバル企業と日本企業の比較から読み解く日本企業の戦略(3)ファナックに学ぶ」)
アップル・グーグルに負けない「独自のビジネスモデル」
1つはビジネスモデルだ。ファナックは、アップルやグーグルに匹敵するようなビジネスモデルを自ら作り上げている。そのため利益率が非常に高く、また次から次へとイノベーションを起こす力がある。
なぜ、このような優れたビジネスモデルを構築できたかといえば、創業者・稲葉氏の力によるところが大きい。
稲葉氏は、何と1980年代から、現在“ビジネスモデル”と呼ばれる概念をいち早く理解し、実践していた。このような優れた経営者の下でファナックは変貌を遂げていったのだ。
「日本らしい」組織運営
もう1つの際立った特徴は、極めて日本的な経営を行っており、日本でしか存在し得ないような組織をつくっている点だ。
ファナックは、今も山梨県忍野村に大部分の施設を集中させ、社員全員が強い一体感を保ちながら働いている。日本独特の「企業=家族」という考え方を極限まで突き詰めながら、極めて合理的な経営をしている点が、ファナックの非常に特徴的な点である。
グローバル化ばかりが注目される昨今だが、日本にはこのような企業もある。今、日本企業がファナックから学ぶことは多いのではないだろうか。
(10MTV編集部)
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