自分の暮らす街や地元に行きつけのお店がある、という人は多いだろう。個人経営の小さなお店で、正直どうやりくりしているのかよくわからないが、小さなお店だからこそ楽だったりもする。そんな憩いの場である飲食店を経営していくなかで、要でもあるのが「仕入れ作業」だ。実は首都圏にある小さな飲食店の多くは、ある会社から食品を仕入れている。
その会社こそ「株式会社プレコフーズ」だ。プレコフーズは、首都圏を中心に15,000軒以上の飲食店に食材の提供を行っている総合食品卸売企業である。今や首都圏の小さな飲食店にとって、プレコフーズは必要不可欠な存在だ。
1955年に肉の卸売「鳥利商店」として創業してから、今や年商100億を誇る企業にまで、プレコフーズはなぜ成長を遂げることが出来たのか。今回は、プレコフーズ・髙波 幸夫(たかなみ ゆきお)社長が登場する2015年7月16日放送のテレビ東京『カンブリア宮殿』に合わせて、プレコフーズ独自のビジネスの仕組みについて紹介しよう。
「ささみ3本」でも配送を行う丁寧さ
地元の憩いの場となるような小さな飲食店は、あまり大口な仕入れを行えないというのが実情だ。しかし人件費や配送コストの面を鑑みると、卸売業者としては小口取引の相手はあまり相手にしたくないものである。
プレコフーズはその裏をかき、主要顧客を小さな飲食店に絞った。1,000円以上の注文は全て、基本的に無料で配送を行っている。「ささみ3本だけ」というような小口取引だからといって、邪険にされないことが小さな飲食店にとって非常にありがたいのだ。そのため、プレコフーズは小さな飲食店の多くを顧客として迎え入れることに成功した。
加えて、食品の命とも言える「鮮度」を守るために、プレコフーズが所持する合計180台もの配送車両を動かして、5つの営業所から毎日の配送を行っている。車内は全て4℃以内に保たれており、飲食店まで鮮度を保ち、「安全」に食品が配送されている。
これらの取り組みによって、プレコフーズ二代目社長・髙波幸夫は「外食アワード2014」を受賞した。小さな飲食店に対し、目を向けるというプレコフーズの取り組みが評価されたのだ。
串打ち、ひき肉・チャーシュー作り……要望に合わせた加工代行
店の大小にかかわらず、食材の加工・配合に関してはこだわりを持ちたいところである。しかし、小さい飲食店の場合、人件費を考えるとどうしても加工・配合などに割くコストは減らされてしまう。
この状況に目を付けたプレコフーズは、焼き鳥の串打ち作業や、ラーメンのチャーシューづくりなど、顧客の要望に合わせた加工を代行するサービスを始めた。一つひとつ人の手で丁寧に行われているため、安心して任せられるのもプレコフーズが持つ魅力。元々が肉屋だったことも考えると、その加工技術は折り紙付きである。人手が少なく切り盛りが大変な小さな飲食店からは、時間の短縮になると評判も上々だ。
野菜、魚、サニタリーも? プレコフーズが展開するビジネス
プレコフーズの前身である鳥利商店は、もともと肉を卸売する商店だった。いわゆる「町の肉屋さん」のような存在である。しかし、髙波幸夫が社長に就任してから、プレコフーズは様々な改革に乗り出した。
事業の拡大もそのうちの一つである。魚市場の買参権を獲得することで魚の販売を、築地の仲卸業者を傘下に収めて青果物の販売を始めた。さらには、卸売業者には珍しく「清掃点検」の事業も始めた。飲食店で発生しがちな害虫の駆除もまとめてお願いできるため、非常に高い満足度を誇っている。
卸売業とは若干離れていつつも、プレコフーズは小さな飲食店ならではの悩みに応じたサービスを展開している。これらのことが合わさって、小さな飲食店にとってプレコフーズはなくてはならない存在へとなっていったのだ。
小さな飲食店と聞くと、ニッチな層であると思われがちである。しかし、このニッチに適したアプローチを行うことによって、他が立ち入ることのできなかった市場へと先陣を切って乗り込むことが出来たのだ。プレコフーズは、今後も街の小さな飲食店を通して、豊かな食文化へ貢献していくだろう。
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