2015年7月1日(日本時間2日)、カナダで行われているサッカー女子ワールドカップ準決勝で、日本代表「なでしこジャパン」が強敵・イングランドを2-1で破り決勝戦へとコマを進めた。2大会連続の優勝も現実感を帯びつつあり、日本のサポーターたちの熱気は高まる一方だ。
なでしこジャパンと言えば、高い技術力・結束力が強さの秘訣であると報じられることが多い。もちろんその強さは他を圧倒するものであることに間違いはないが、それだけでここまでの強さを誇っているとは思えない。
今回注目するのは、なでしこジャパン監督「佐々木則夫」である。佐々木則夫が監督として2007年に就任して以降、なでしこジャパンは劇的な成長を遂げ、一年後の北京オリンピックで日本女子サッカー史上初の「ベスト4」入りを果たし、世界を驚かせた。2011年には、FIFA女子ワールドカップ・ドイツにおいて、男女通じて日本初の優勝へ導き、FIFA年間表彰式では、佐々木則夫がアジア人として初となるFIFA女子世界年間最優秀監督賞を受賞した。佐々木則夫はいわば、日本女子サッカー成長の「立役者」である。
今回は、そんな世界一を経験した佐々木則夫が考える、メンバーの力を最大限引き出すリーダーシップのメソッドを紹介する。
佐々木則夫メソッド1.「横から目線」でリーダーシップ
旧来型のリーダーシップと言えば、トップダウン形式で人に「指示する」ような役割であることが多い。フラットな組織がトレンドの現代では、「上から目線」という印象を与えかねないこのリーダーシップは、あまり好まれないことが多い。しかし、リーダーシップといえば、「トップダウン」という考えを捨てられないリーダーもまだまだいるだろう。
佐々木則夫はリーダーとして、選手に「横から目線」で接するように心がけている。横から目線とは、文字通り「横一線」であるように振る舞うことを意味する。監督とプレーヤーというのは主従関係にあるのではなく、「違う役割を与えられた人同士」なのだ。
もちろん、なでしこジャパンは女性だけで構成されている。こういった場所でリーダーとしての威厳を保つためには、身だしなみを整えることが一番だと佐々木則夫は考えた。そのため常に外見に気を配り、横から目線でもしっかりと意見を聞いてくれる環境を佐々木則夫は作り上げたのだ。
佐々木則夫メソッド2.「監督のいない日」を設ける
by IQRemix リーダーとしてありがちなのが、相手を良く知ろうとするために「毎日観察をし、コミュニケーションを図ろうとする」ということだ。もちろん悪いことではないものの、相手側からすれば気を遣わずにはいられないため、余計に疲れてしまう。
そう考えた佐々木則夫は、試合の翌日にある練習には必ず顔を「出さない」ということに決めた。合宿のような避けて通れない「団体生活」のなかで、リラックスができる場所を設けるためだ。選手のことを第一に考え、こちらから「押し付けずに」良好な関係を築こうと努力している佐々木則夫だからできたことだ。
佐々木則夫メソッド3.自分も「楽しむ」!
なでしこジャパンの大きな特徴、それは「笑いが絶えない」チームということだ。佐々木則夫本人も、笑いについては非常に強いこだわりを見せている。笑いがひとつのチームにもたらす恩恵というのは、それだけ大きなことなのだ。
チームのリーダーが暗い顔をしていると、それだけでチーム全体の雰囲気が悪くなってしまう。チームのリーダーが楽しんでこそ、そのチームが活気づくというものだ。なでしこジャパンに笑いが絶えないのは、チームのリーダーである佐々木則夫が常に楽しみ続けているからだといっても過言ではない。
なでしこジャパンの成長は、佐々木則夫の支援型のリーダーシップがあってこそ成し得たものである。逆に言えば、佐々木則夫のようなリーダーシップを取る存在がいれば、そのチームは、なでしこジャパンのような快進撃を見せる存在となり得るかもしれない。
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