あなたが仕事で何か意思決定する際、「あれも大事、これも大事」とたくさんの要素を出して悩んではいないだろうか? 大事だと考えれば、全部が大事なものに見えてきてしまう。それでてはキリがない。本当に大事なものとは、何なのかを考えなければならない。
今回は、LINE株式会社のCEOを退任し、動画メディアを運営するC Channel株式会社を起業した森川亮が、仕事において本質だけ見つめることを徹底してきた自分の流儀をまとめた『シンプルに考える』という本を紹介する。
企業にとって最も大切なこと
企業において大切なことは何か。一般的な社員であれば仕事をこなすこと。部長や課長であれば、部下を成長させたり部署の仕事を回すこと。経営者や役員ともなれば、会社を長く繁栄させること。立場によって大切なものは変わってくるだろう。しかし、もっとシンプルに考えた時、全ての人に共通する最も大切なものがある。
「世の中に価値を提供できているか」。森川氏は、これが企業の最も大切なことであると述べている。企業にとってユーザーとは大衆や取引相手など様々であり、そうしたユーザーにとって価値のあるものを提供することが企業の本質なのだ。
これぐらい、できて当たり前のことだと言う人もいるかもしれない。しかし、その当たり前のことが本当にできているだろうか? シンプルに考えたとき、当たり前のこと(本質)ができていない人は多いのである。
価値を生むために「差別化」を狙う必要はない
by Luz Adriana Villa A. 森川氏は、本質以外のものは不要であると言う。そのため、提供する価値を生むために差別化を行うのは無駄だという。これはどういうことだろうか?
差別化というものを、ユーザーのニーズに応えるための手段として用いる人も多いだろう。しかし、これは競争戦略による思い込みであり、他社と比べるばかりでユーザーのことは考えられていないと森川氏は述べる。例えば、日本メーカーにありがちな、家電などで差別化を目的とするあまりニッチな機能がついていたり、それを繰り返すあまりリモコンがボタンだらけになったりするが、それは本当にユーザーのニーズに合っているのだろうかということである。
では、どうすれば提供する価値が生まれるのか? まずはユーザーのニーズを知るのである。そして、その求められているもの(機能やデザインなど)を他社が提供していなければ、それを提供すれば良いのである。ニーズは満たされれば、どんどん進んでいく。それに応えていけば自ずと差別化はされるし、本質を捉えた価値を提供できるのだ。
計画はいらない
今後のことを考えて、あれやこれやと悩む。それは最初の「あれもこれも大事」となって、結局何が大事なのか見失うことに繋がるのだ。もちろん計画を立てることがいけないわけではない。しかし、計画を立てても常に起こる変化にぴったりとマッチすることはないのだ。もしかしたら、想定とは真逆のことが起きるかもしれない。それを回避できるのがシンプルに考えることなのだ。
「価値を提供する」という本質の軸さえブレなければ、変化が起きてもそれに合わせて臨機応変に価値を創造できるのである。もし色々と不要物が付いていると、変化にぶつかったときに少しずつブレが生じて、流されやすくなってしまうのだ。だからこそ、シンプルに捉え本質だけを持つことが重要になる。
この本には、「そんなにシンプルで本当にいいの?」と思えることもたくさんある。しかし、森川氏も最初からシンプルに考えていたわけではない。なぜ森川氏がシンプルに考えるという答えを出すに至ったのか、ぜひこの本を読んでみてほしい。
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