想像してみてほしい。あなたはソフトバンクに入社後すぐにプロジェクトリーダーを任せられることになった。そして上司は、多忙を極めるソフトバンク社長の孫正義。あなたは、次に打ち出す新規プロジェクトの内容をどうにかして社長である孫正義に承認してもらわなければならない。しかし、彼と話せる時間は最大10分しかない。あなたなら、どうするだろうか?
「時間が無いのに納得させるのなんて無理」。そう思うのは仕方がない。けれども、納得させなければ意味がない。では、どうすればよいのか? 見た瞬間に納得できる資料を作ればいいのである。
今日紹介するのは『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』という一冊である。この本は元ソフトバンク社長室長である著者が、孫正義社長に一瞬で納得してもらうため試行錯誤して作り上げた資料作りの法則がまとめられている。
ソフトバンク・孫正義流①資料作りの基本
提案に使う資料とは、こういうものだとなんとなく理解している人もいるだろう。その際に、「分かりやすさ」が重要になることも分かっているはずだ。では、分かりやすい資料の定義とは具体的にどういったものなのだろうか? 著者は、資料作りの基本として以下の点を挙げている。
1. 資料は、A4サイズ一枚
2. まず結論。ポイントは3つにまとめる(各20字程度)
3. 見れば分かる内容は、図や写真で表現する
4. 具体的な数字(数値)を入れる
どれだけコンパクトかつ分かりやすいか。この部分が資料作りにとって重要になってくる。次項では「グラフや図などの表し方」と「情報のまとめ方」に絞って本書の内容を紹介していく。
ソフトバンク・孫正義流②グラフは、数字だけではなくポイントもまとめる
出典:cdn.softbank.jp 具体的な結果や数値を伝えるために、グラフや図などの視覚的に表現できるものを資料に入れる人も多いだろう。たしかに、言葉で説明されるよりも実際の数字を見る方が納得はしやすい。しかし仕事で扱う数字や結果というものは量が多く、グラフや図に表しても結局ごちゃごちゃしたり細かすぎたりして、見づらくなってしまいがちだと著者は言う。
いま話されている提案は図のどの部分なのか、グラフのどこを見れば良いのか。聞き手や読み手があちこち目を回さずとも提案内容の意図や要点がわかるようにすることが重要であると著者は説いている。例えば余白部分に吹き出しや矢印を直接書き込むことで「分かりづらかった資料」が「提案者の意図が相手に伝わる資料」になるのである。
ソフトバンク・孫正義流③資料作りは、上から目線で行う
著者は「資料作りは目線を二段上げて資料を作りなさい」と教える。これはどういうことか? 例えば、あなたが課長なら部長の更に上、本部長や執行役員、取締役といった人の目線に立ってみるということである。今の自分のポジションより高い所から組織(会社)のために必要な資料を考えて作れば、上司も提案に納得しやすくなる。
またもう一つ上から目線で行うことには重要な役割がある。自分が上司の立場で提案を受ける側になったつもりで考えることによって、その場しのぎや責任逃れのための「逃げ」の資料と決別できるのである。「逃げ」の資料を作ってしまえば、結局は自分自身や組織の足を引っ張ってしまうことになる。そうならないためにも資料は上から目線で作るべきだと著者は述べる。
提案が上手くいかず悩んでいる人は、この本を読んでソフトバンク・孫正義流の資料作りをしてみたら、案外上手くいくかもしれない。
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