「仕事は都心でするもの」。あなたは、こんな偏ったイメージを抱いていないだろうか? この記事を読んでいるU-NOTE読者のなかには、満員電車に揺られ、オフィス街で働くのが当たり前と考える人も多いだろう。
都心の騒がしさから離れ、「脱満員電車」の生活を送りたいのであれば、考えたいのが地方への転職。条件さえ合えば、地方への転職の方が都心で働くよりもメリットが大きい場合もある。今回は、東京に引けをとらない技術やインフラを持ち、さらにその土地ならではの魅力を享受できる地方の事例を紹介していこう。
「過疎地」とされる徳島県神山町にベンチャーが集まるワケ
出典:jp.corp-sansan.com 名刺管理アプリ「Eight」で知られるSansan株式会社のサテライトオフィスの一つは、徳島県神山町にある。「過疎地」といわれる場所にあるSansanのサテライトオフィス「神山ラボ」は、一見オフィスには見えない古民家だ。しかし、神山ラボでは多くの従業員が本社オフィスと変わらない業務を行っている。そして「脱満員電車」により余計な時間やエネルギーを使わなくなったからか、自然に囲まれた環境だからか、集中力や効率がアップした事例もあるという。
神山町がこのようにITベンチャーのサテライトオフィスを受け入れられるのは、神山町の通信インフラ環境が十分に整っているからだ。徳島県は国からの交付金を使い、何年もかけ通信インフラを積極的に増強してきた。人口が少なく都心から離れている神山町でも、光ファイバーを使った通信が可能であることが、神山町が地方でありながらもITベンチャーを引き寄せる魅力となっているようだ。こういった背景から神山町一帯は「徳島のシリコンバレー」と呼ばれ、多くの企業にサテライトオフィスとして利用されていることで知られている。
地方への転職は、キャリアや職種の選択肢が都心とくらべて少ないと思うかもしれない。しかし、神山町のように積極的に企業を誘致している場合もあり、地方へ転職する場合においても、幅広い選択肢のある地域も存在するのだ。
「世界的技術の最先端」が集まる島根県松江市
出典:ja.wikipedia.org 地方への転職を考えるとき、最新の技術に触れることができず、時代から取り残されてしまうという懸念もあるのではないだろうか。しかし、最先端の技術が地方発で創出されているケースはある。それは日本に限らず、世界でも起こっている。
最先端の技術が集まる街として島根県松江市がある。松江城など、歴史的建造物が多い松江市だが、最先端の技術を持ったベンチャー企業が集まっていることはあまり知られていない。プログラム言語「Ruby」の開発者であるまつもとゆきひろ氏は松江市在住であり、松江市は「Rubyの松江」として発展を遂げている。松江市は「Ruby City MATSUE」というプロジェクトを掲げ、Rubyを通じた人材・情報の交流拠点となることを目指し、地方でありながらもRubyに関するカンファレンスが行われる地として認知されている。Rubyに関するホットな情報が集まる街として松江市は大きな価値を持っているのだ。
拠点を構える企業のなかでも有名なのは、音楽配信サイト「monstar.fm」やグローバルソーシングサービス「セカイラボ」などで知られる株式会社モンスター・ラボや、先端的なWebブラウザーとして知られる「Sleipnir(スレイプニール)」を開発するフェンリル株式会社などだ。「脱満員電車」など、生活面でのメリットを得られる地方への転職。加えて最先端の技術を持つベンチャー企業に転職できる可能性があるというのも、大きな魅力といえるのではないだろうか。
アジアの拠点であり、スタートアップが集まる福岡市
by peace6x 東京に負けない規模でスタートアップが誕生し、ビジネスの拠点となっている都市も存在する。特に韓国や中国と日本を結ぶ役割を持ち、アジアの拠点としても機能する福岡市は注目すべき都市の一つだ。
福岡市は現在、多くの企業が新たに誕生する舞台となっている。例えば、登山者向けの地図アプリ「YAMAP」を開発する株式会社セフリは、福岡市に拠点を構える注目のスタートアップだ。福岡市は起業を支援する交流スペース「スタートアップカフェ」もあり、セフリだけでなく多くのスタートアップが誕生している。
転職する際に、ベンチャー企業でスキルアップやキャリアアップをしたいという人は、こうした地方発のベンチャーに転職するのも面白いのではないだろうか。
地方というとインフラが整わず、都心にくらべてスピード感や成長などを得られないと思っている人も少なくないはず。しかし地方をよく見てみると、今回紹介したようにインフラ面が整っていたり、成長著しいスタートアップが存在したりと、魅力的な転職先が多いことがわかる。地方への転職は、都心にはない魅力がたくさんある。あなたも地方に転職して「脱満員電車」の生活を送ってみてはどうだろうか。
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