2015年4月29日、台湾で絶大なる人気を誇るスイーツ店「アイスモンスター」の日本一号店が、東京都渋谷区表参道にオープンした。開店前から話題になっていた当店は、現在でも2時間待ちは当たり前という大盛況っぷりだ。
日本で最近なにかと話題な「スイーツ」であるが、一昔前まではここまでの盛況を見せるものではなかった。今ではスイーツ界の王道に君臨する「パンケーキ」だが、これもほんの少し前まで「ホットケーキ」として、10分も待たずに食べられるような「おやつ」だった。
なぜ、今の日本でスイーツという食文化が発展することが出来たのか。今回は、その「スイーツブーム」のナゾに迫っていく。
日本初のスイーツブーム「ティラミス」
by Alexis Fam Photography 日本で初めてブームとなったスイーツと言えば、やはり「ティラミス」だ。「イタメシ」がブームになるとともに、同じイタリア料理としてその知名度・人気は爆発的な上昇を見せていった。
ティラミスがブームになるきっかけを作ったのは、当時から現在まで、女性間での流行の最先端を行く雑誌「Hanako」である。1990年にHanakoが誌内で「ティラミス特集」を組んだことで、一気にブームに火が付いたとされている。この頃の、世間に対するメディアの影響力の強さがうかがえる。
行列は「わざと」作っている?
最近話題となっているスイーツたちのほぼすべてが、行列に並んで待たなければ頂くことのできない代物となっている。中には数時間待つのがザラ、まるでディズニーランドのアトラクションのような行列を形成してるお店も少なくない。先の「アイスモンスター」もそのひとつだ。
「もう少し店舗を拡大すれば並ばなくて済むのに」というような声があがる。行列に辟易し、並ぶのをやめてしまう人たちが現れるのを防ぐことが出来るからだ。しかしこの「行列」こそ、スイーツブームが維持のカギなのである。
先の引用でも見て取れるように、人は行列店を好む傾向にある。これは人間心理の一つで、多数派に所属することが安心感を生むことにつながっているのだ。そのため、「あえて」行列を作ることで、その店があたかも盛況しているように見せ、店に入ることが「多数派」であるように感じさせているのだ。アイスモンスターの行列がわざとかどうかはわからないが、少なくとも流行の一つの要因に行列が存在していることは間違いない。
会話が「昨日観たドラマ」から「この間食べたスイーツ」へ
一昔前、「昨日のドラマ」の感想で盛り上がる人を観る機会が多かった。誰々がカッコいい、あのシーンが好きなど、観ていない人は「置いていかれる」ような会話ばかり。置いていかれないために、好きでもないドラマを観て話を合わせていた、そんな経験を持つ人も多いはず。
その「昨日のドラマ」にとって代わる存在となったのが「スイーツ」なのだ。人々は「スイーツ」の感想で盛り上がる。そして、そのスイーツを食べていない人は「置いていかれる」ような印象を受けるのだ。ここからはドラマと同じである。置いていかれないために、スイーツ店へ足を運ぶ。「自分も行ったよ」と自慢したい、「流行ってるから行く」というようにブームに合わせるなど、そこに自分の意思はあまり存在しない。スイーツの場合、ほとんどが「万人受け」するものということも後押しして、その効果は大きい。
こうして、世間にまるで「振り回される」かのように、スイーツの世界へ足を踏み入れていく人は少なくない。アイスモンスターが作る行列の中にも、少なからずいることだろう。
このように、スイーツブームの陰には、様々な「ヒットの秘訣」が隠されているのだ。パンケーキブームから幾年か経つ今でもなお、アイスモンスターのように「モンスター級の」行列を作るスイーツ店からは目が離せない。
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