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『無印良品は、仕組みが9割』2000ページ超えの「マニュアル」に秘められた、無印良品ヒットのワケ

Yasutaka Nagataki

2015/06/24(最終更新日:2015/06/24)


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『無印良品は、仕組みが9割』2000ページ超えの「マニュアル」に秘められた、無印良品ヒットのワケ 1番目の画像
by Hernan Piñera
 無印良品というブランドがある。これは、株式会社良品計画が持つ一大ブランドである。恐らく知らない人はいないだろう。

 順風満帆に成長してきたブランドのように思われがちだが、実は良品計画は2001年度の中期決算で38億円もの赤字を経験している。そこから改革を重ね、見事にV字回復を遂げたのである。

 本書『無印良品は、仕組みが9割』では、V字回復が成功した理由について詳しく解説がなされている。

「MUJIGRAM」というマニュアルの存在

マニュアルと聞くと、「無機質で、冷たい印象がするもの」と思うかもしれません。しかし、本文で詳しく紹介しますが、無印良品のマニュアルは、決して無味乾燥なものではありません。むしろ、日々の仕事に生き生きと取り組みながら、成果を出していくことができる最強のツールです。

出典:松井忠三(2013)『無印良品は、仕組みが9割』
 無印良品には、独自のマニュアルが存在している。それが、「MUJIGRAM」だ。このMUJIGRAMだが、他社では考えられないある一つの特徴を持っている。

 それは、MUJIGRAMのボリュームである。MUJIGRAMには、レジなどの細かな業務から売り場づくりまで、非常に多くの範囲を網羅している。実はこのMUJIGRAM、なんと13冊・2000ページにものぼる量の記載がなされている。すなわち、それだけの量が「マニュアル化」されているということである。

 しかもこのマニュアル、毎月更新がなされているというから驚きである。同じミスを繰り返さぬよう、また仕事に滞りが発生しないように、1ヵ月単位で蓄積がなされていくのだ。

 良品企画がV字回復を果たすことが出来た一番大きな理由、それは「徹底したマニュアル化」にあると言っても過言ではない。

「こうしたほうが、いいのに」をマニュアル化

無印良品のマニュアルは、現場で働くスタッフたちが、「こうしたほうが、いいのに」と感じたことを、積み重ねることで生まれた知恵です。

出典:松井忠三(2013)『無印良品は、仕組みが9割』
 マニュアルが1ヵ月単位で更新がなされるのだが、果たして具体的には何を更新しているのだろうか。

 更新内容の一つに、「従業員の意見」がある。従業員が日ごろ「こうしたほうが、いいのに」と感じたことの積み重ねで「MUJIGRAM」は構成されているのだ。このように、従業員の意見をマニュアルに反映させることで、自然と「改善出来る部分はないか」という思考が生まれてくるのだ。そして出てきたアウトプットがまたマニュアルに反映される。マニュアルを軸として、無印良品は良循環を回すことに成功したのである。

新人が読んでもわかる「具体性」

 マニュアルに用いられがちな単語の一つに、「丁寧に」という言葉がある。「丁寧に並べてください」や「丁寧に接してください」というような文言があるマニュアルは少なくない。

 しかし、これを入社初日の新人が読んだとき、果たしてマニュアルの思惑通りの動きをするだろうか。大体は思惑通りになるだろうが、うまくいかないこともある。これは、「具体性」に欠けているからである。

 その点、MUJIGRAMに記載されている言葉は、非常に具体的である。「丁寧に並べてください」というのではなく、「カップの向きは一律してこう並べてください」というような書き方がなされているのだ。このおかげで、マニュアルを一度読めば、新人であろうと一通りの業務はこなせるようになっているのだ。

マニュアルは2000ページ、でもあとは「自由」

 マニュアルが2000ページあると聞いて、多くの人が面食らっただろう。先にお伝えした通り、マニュアルの内容も濃いので、理解するのになかなか苦労する。

 しかし、これにさえ従ってしまえば、あとは「自由」なのだ。このマニュアルに記載されていることさえ守れば、ミスは起こりえない、そういう教育がなされている。そのため、マニュアルを通じて逆に「自主性」が育つ環境が出来上がっているのだ。

 マニュアルは組織の人間を「束縛」するものと認識されがちだが、無印良品はマニュアルを通じて組織の人間をむしろ「解放」しているのだ。


 無印良品がV字回復を遂げた最大の理由、それは「マニュアル」に存在する。自分の会社の業績が芳しくない人や、会社のマニュアルに不満を抱いている人は、是非本書をチェックしてみてほしい。



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