日本は「世界一ゴミの多い国」という烙印が押されてしまっている。日本のゴミ問題は、それほどまでに深刻なのだ。
その中で、規格外などの理由で、スーパーなどの市場に出回ることなく廃棄される野菜や、加工食品の製造過程で捨てられてしまう野菜を「廃棄野菜」と呼ぶ。1年間に日本で廃棄されている野菜の総量は、実に300万トン以上にものぼる。あまりにも膨大すぎて、もはやピンと来ない。
しかし、この廃棄量を逆手に取り、ビジネスを成立させている強者たちがいる。今回は、テレビ東京「ガイアの夜明け」の特集に合わせ、「おやさいクレヨン」をはじめとする「廃棄野菜」に焦点を当てた新ビジネスたちを紹介しよう。
「廃棄野菜」が「クレヨン」へ ~おやさいクレヨン~
出典:vegetabo.com 廃棄野菜に目を付けた企業の一つに、「mizuiro株式会社」がある。この会社は、日本の抱えている10種類の廃棄野菜を、「ベジタボー」という名の10色のクレヨンに変化させてしまったのだ。またの名を「おやさいクレヨン」と呼ぶ。おやさいクレヨンのベースであるワックス部分も、同様に廃棄されがちな「米油」を使用しているのだそう。もちろん、食品がベースになっているので、子供が口に入れても全く問題がない(美味しいわけではないらしいが)。
このおやさいクレヨンの製造と販売、もともとは映画館のチケット売り場を改装した、三畳しかないスペースで自ら行っていたのだから驚きだ。環境に気を配ったおやさいクレヨンが、社会に認められたのだろう。
このビジネスのおかげで、mizuiro株式会社のある青森県では、廃棄野菜の量を減らすことに成功した。おやさいクレヨンこと「ベジタボー」は、環境に配慮したデザイン作品に送られる「ロハスデザイン大賞」などの賞を総なめにしていった。
サツマイモが「電気」へ ~サツマイモ発電~
出典:www.kirishima.co.jp 「霧島」という焼酎ブランドをご存知だろうか。芋焼酎のブランドの中では、一二を争う有名ブランドである。この霧島を醸造している霧島酒造も、“廃棄されるモノ”に着目した会社の一つだ。
芋を使って焼酎を醸造したあとには、少量の「絞りかす」が残る。いわゆる「焼酎粕」だ。この焼酎粕を使い、霧島酒造が行っていることは「発電」である。おやさいクレヨンでは廃棄野菜が文具へと変わっていったが、サツマイモ発電ではサツマイモが電気へと変わっていくのだ。
サツマイモ発電で賄われている電気の量は、なんと約1,000世帯分に相当する。このビジネスも、環境に配慮した取り組みが認められ、「新エネルギー財団」の主催する「新エネ大賞」の財団会長賞を受賞している。
廃棄野菜が「染料」へ ~のこり染~
出典:www.kurakin.jp 艶金化学繊維株式会社もまた、廃棄される野菜などの食品をもとにビジネスを展開している会社のひとつである。この会社が食品を加工して作るもの、それは「染料」である。
この会社のメインブランド「KURAKIN」は、食品加工の過程で廃棄されるもので染められた繊維を使用している。この手法は「のこり染」と呼ばれている。のこり染に使用されている食品は、11種類と実に豊富である。
化学染料とは違い、もともと自然界に存在している色であるため、人の目に優しい、暖かな仕上がりになるのだそう。また、通常の染色工程は、大量の水・大量のエネルギーを必要とするが、のこり染はそういった「エコ」にも配慮がなされている。現在では様々なメディアに掲載され、売れ行きも好調だ。
おやさいクレヨンをはじめとする、廃棄野菜に関するビジネスを紹介してきたが、やはりまだまだ多くの廃棄野菜がそのまま捨てられてしまっているのが現状だ。環境問題に対して関心が高まっている今日、廃棄野菜を活用するビジネスがアツい。
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