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「スタバ」はなぜ日本で成功できたのか? 誰も知らない、挑戦の舞台裏――『日本スターバックス物語』

Yasutaka Nagataki

2015/05/29(最終更新日:2015/05/29)


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「スタバ」はなぜ日本で成功できたのか? 誰も知らない、挑戦の舞台裏――『日本スターバックス物語』 1番目の画像
 スターバックス。今や知らない人はいない、コーヒーチェーンの最大手である。もしかすると今、この文を「スタバ」片手に読んでいるかもしれない。あるいは、スタバの店内で読んでいる人もいるだろう。

 しかし、スターバックスが日本に来る話が持ち上がっていた当初、ここまで普及するということは誰も予想していなかったという。北米以外では初めての進出だっただけに、その予想もうなずける。では、なぜここまで日本のスタバは成長することができたのだろうか。

 『日本スターバックス物語』では、そんなスターバックスの日本進出の裏話が紹介されている。その中で、特に印象深いポイントをいくつかピックアップしていく。

「フォロワー」なくして「成功」なし

 「最初のフォロワーの存在が、ひとりのバカをリーダーへと変えるのです」
 これは、世界的に知られたTEDという講演会で、米国の企業かデレク・シヴァースが語った言葉です。

出典:梅本龍夫(2015)『日本スターバックス物語』
 事業を起こすとき、最初に必要になるのが「カネ」と「ヒト」と「モノ」である。スターバックスの場合、自分たちが売る「モノ」、日本に出店するだけの「カネ」はある程度あったが、「ヒト」だけは自分たちでどうすることもできなかった。

 そこへ表れたのが角田雄二だ。彼の弟は同じくコーヒーチェーンとして有名な、「アフタヌーンティー」を経営する「サザビー」の社長である。このサザビーとスターバックスが提携を結ぶことによって、スターバックスは人的資源を確保できただけでなく、日本という土地の特性、日本ならではのモノの売り方を知識として手に入れることが出来たのだ。

 スターバックスがもし自分たちだけで日本での販路拡大を狙っていたら、おそらく今ほどの発展はなかっただろう。スタバ成功の裏には、サザビーという立役者がいるのだ。

「ブランド」なんて自然についてくる

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by rudolf_schuba

はじめは高学歴で高収入の比較的若い世代が反応しましたが、老若男女すべてがスターバックスの顧客となり、コーヒー消費のメインストリームとなっていきました。その理由は、実はスターバックスが「ブランド作り」を意識したことがなかったからです。

出典:梅本龍夫(2015)『日本スターバックス物語』
 スタバと言えば、値段こそ少し高いものの、味・雰囲気・サービスが一級品であるというようなイメージを持っている人が多い。家でコーヒーを楽しむために豆を買おうとすると、非常に事細かに説明をしてくれるようなサービスもあり、非常によく「できている」店舗だと感じる。

 しかし、スターバックスにとってそれは「ブランド作り」を意識した内容のものではない。スターバックスにとって、それは「当然」なのである。当然のように最高品種の豆を用意し、当然のようにおしゃれな雰囲気を作り、当然のように一級品のサービスをする。すると、これまた当然のように「ほんもの」のお店であるという認知がなされるのだという。

「全面禁煙」に踏み切ったワケ

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出典:www.flickr.com

タバコを吸いたい人とタバコの煙を避けたい人の両方を取り込もうとするビジネスのロジックではなく、何をほんとうに大切にするかというブランドのセンスを最優先すべきではないか。

出典:梅本龍夫(2015)『日本スターバックス物語』
 タリーズコーヒーやドトールなど、他のコーヒーチェーンは基本的に「分煙」を実施しているのに対し、スターバックスは「全面禁煙」という形をとっている。しかし、日本に上陸した当初は他社と同じく分煙形式をとっていた。

 しばらくして、分煙という形式の抱える限界に気づいたスターバックスは、徐々に喫煙可能なスペースを減らしていき、八重洲に3店舗目を構えるときには全面禁煙という形をとるようになった。ではなぜ、スターバックスは全面禁煙に移行したのだろうか。

 理由の一つに、コーヒーの香りをタバコがさえぎってしまう、というものがある。スターバックスに入った瞬間に、コーヒーの香りでお客様を楽しませる、アメリカで行われていたスターバックスのある種の「スタイル」が日本では生きていなかったのである。そのため、アメリカよりも喫煙者率の高い日本でも分煙ではなく全面禁煙という形にしたのだ。その結果、女性などから支持を得ることができ、さらなる売上の増大につながったのだった。

 これらの要因以外にも、様々なヒットの秘訣がまだまだたくさん紹介されている。スターバックスが単純に好きな人も、ヒットの法則について調べてみたい人も、外すことのできない一冊だろう。



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