「面白い」。人とコミュニケーションをとっていて言われると一二を争うレベルで嬉しい言葉だ。そして、本当に面白い人の周りには、自然と人が集まってくるものだ。面白い人というのは、話がしやすいと相手に感じられるからだ。
面白さは才能なのでは?という人がいる。自分にはとてもボケなんて思いつかない、まして一発芸なんてありえない。自分は面白い人にはなり得ないと思うのは、仕方のないことだ。
しかし、ツッコミに関しては、才能とは無関係だ。努力と経験でなんとでもなる。そう述べているのが本書『最強のコミュニケーション ツッコミ術』だ。2000組以上の芸人を指導してきた著者・村瀬健が、豊富な事例と共にツッコミを徹底分析、解説している。
ツッコミに大事な3つの「みる」技術
ツッコミと一言で言われても、まず何をしたらいいのかわからない。ボケられたのがなんとなくわかったとして、それに対してどう返せば面白いのかわからない。これは多くの人が抱える疑問だろう。
本書では、ツッコミには「3つのステップ」が存在していると述べている。以下で詳しく説明していく。
情報を「見る」
一番初めのステップとして、「見る」ことが必要不可欠である。この「見る」とはすなわち「感知する」ということだ。"この人今ボケた!"と感知をしないことには、ツッコミのしようがない。
常に周りを見渡してみる。そのうえで、自分の常識と照らし合わせ、「違和感」を見つけられるようになろう。この気づくスピードこそ、最も大切であるといえる。
違和感を「観る」
違和感に気づくことが出来たら、次はその本質をより詳しく「観る」必要がある。これは「精査」を意味している。違和感に気づいたはいいが、どこに違和感が存在しているのかがわからなければ、的外れなツッコミをしてしまう羽目になる。これを続けていては、逆に人望を失っていくこと間違いなしだ。
違和感に気づくことが出来たら、次は「どこに」その違和感の原因があるのかを精査する。そして、自分の常識と何が違ったのかを瞬時に把握する必要がある。
違いを「診る」
違和感の正体が何であるかがわかったら、最後に「ツッコむ」段階へと移行する。的確に返すためには、どのようなツッコミを用いればよいのか、もしくは本当にこれをツッコんでしまっていいのかなど、最終的な調整段階に入るのだ。
どのように返せば面白いか、これに関しては経験がものを言うだろう。各々の職場特有の「ツボ」を刺激するためには、それを探っていく以外に方法がない。しかし、いったんツボさえつかんでしまえば、あとは非常に楽である。この「診る」ステップこそ、一番にツッコミの特色がでる部分である。
ツッコミの「10手」
ツッコミは、様々な種類が存在している。本書では10種類に区分している。特に「たとえツッコミ」に関するアドバイスが多かったため、今回はその中でも特に便利な「たとえツッコミ」を紹介する。残りの9種類は、実際に読んで確認をしてほしい。
ツッコミの最難関、「たとえツッコミ」
たとえツッコミというのは、相手のボケを「何かにたとえて」ツッコむ行為のことを指す。連想ゲームのように、ツッコミの内容とは別に「たとえるもの」を考えなければならない、非常に難しい手法だ。
たとえツッコミと聞くと、フットボールアワーの後藤を想像する人がほとんどだろう。テレビでもたとえツッコミのキャラクターで通っているほどに、彼のたとえツッコミは一級品である。彼のようなたとえツッコミを習得するためには、相当の経験が必要になるだろう。
本書には、ツッコミの具体的なメソッドが非常に細かく記載されている。それだけでなく、最後には「ツッコミの実践問題」もついている。本に向かってツッコむ、なんともシュールな光景になるが、ツッコミ力を養うためには非常に役立つだろう。
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