周りが生みに囲まれてることもあり、「島国日本」とも呼ばれるニッポン。
本州などの大きな島を除いても現在400程の有人の島があると言われている。そのような離島が多い日本であるが、各地でその地域の気候や風土に合わせたビジネスを展開しているのはあまり知られていない。
そこで、本記事では八丈島の謎の植物「ロベ」のビジネスを中心に、離島でのビジネスについてお伝えしていく。
国内シェアほぼ10割。八丈島を支える「ロベ」とはどんなもの?
by D-Stanley 八丈島の産業を支えるのは「ロベ」と呼ばれる植物だ。一体ロベとは何なのだろうか? ロベの正式名称は「フェニックス・ロベレニー」といい、リゾート地で見られるヤシの仲間の観葉植物で、葉っぱが花束などの装飾、また木株そのものが観葉植物として人気が高いことで知られている。
このロベの生産において、八丈島は日本でのシェアをほぼ10割獲得している。装飾用のロベの出荷額が10億円、観葉植物のロベの出荷額は1億5000万円ほどとなっており、かなり大きなビジネスとなっていることがわかる。
八丈島が南国調のロべをこれだけ多く生産できるのは、その気候が大きく関係している。八丈島は温暖な気候であり、雨量も比較的多い。高温であり、雨量の多い八丈島だからこそ、ロベの収穫に適しているというわけだ。
震災復興ととも歩んできた、奥尻島のワイン作りの歴史
北海道の奥尻島には「奥尻ワイナリー」と呼ばれるワインの醸造所がある。このワイナリーは日本で唯一の離島にあるワイナリーであり、広大なブナ林と対馬海流が流れる地形を生かしたワインは、ワイン愛好家に注目されている。
奥尻島にワイナリーができたのは1993年に起きた北海道南西沖地震がきっかけだ。津波により壊滅的な被害が奥尻島にももたらされたのだが、島の雇用を拡大し、将来を担うビジネスとして、ワイナリーを作る道を選んだそうだ。
本格的な醸造が始まったのは2008年からとまだその歴史は浅いが、今後100年以上続くワイナリーを作ると離島が盛り上がっており、今後のさらなる発展が期待される。
離島のハンデを克服したのは最新の冷凍技術だった
by laszlo-photo ここまでは島で取り組むビジネスを取り上げてきたが、島がもともと持っている資源や事業を発展させたものや、島が直面する課題に対してビジネスの側面から解決しようと試みるパターンも存在する。
海に面している離島では、漁業が大きなビジネスとして発展しているのも大きな特徴の1つだ。しかし、離島の漁業ビジネスにはある弱点があった。
その弱点とは、本州の大きな生鮮市場に輸送することができないということ。輸送の時間が長いため鮮度が落ちてしまい、なかなか本州や都市には卸すことができないという問題を離島では抱えていたのだ。
この離島の輸送上のハンデをカバーするために生み出されたのが急速冷凍の技術。離島で収穫した魚介類を、そのまま急速冷凍することで鮮度を保ち、輸送も可能となったのだ。
もともと、離島の魚介類は美味しく、ブランド的な価値も高いことから、このような急速冷凍技術を導入した離島では、さらにブランド力を高め、高価値の魚介類を売り出すことに成功している。このような離島のデメリットをメリットに変えるような努力が、離島でのビジネスを成功に導いているのだ。
離島の高齢化を今話題のドローンが救うかもしれない
by Lima Pix 近年問題となっているのが、過疎と高齢化によって離島の高齢者が物資を買えないという“買い物難民化”。離島では、購入できる販売店も少なく、本土に行って買い物をしなければならない場合もあり、高齢者にとってこれは大きな負担となっている。
これを解決する糸口になりそうなのが今何かと話題になっているドローンだ。瀬戸内海の男木島を中心とした離島では、ドローンを使って生活用品などを輸送するサービスが立ち上げ段階にあり、現在ドローンの試験飛行を行っている。
まだ強い風や塩害への対策など、課題は残るが、このようなビジネスが収益だけでなく、離島全体を救う可能性も大いにあるだろう。
離島というと、どうしても過疎や高齢化などのネガティブな要素がつきまといがちだが、その地域の特色を生かしたビジネスが成功しており、課題解決型のビジネスも離島では発展しているということがわかる。今後も特色を生かした離島のビジネスに注目していきたいところだ。
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