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宝くじはお金のムダ。本当に意味のある「資産運用」とは――『臆病者のための億万長者入門』

Yasutaka Nagataki

2015/05/13(最終更新日:2015/05/13)


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宝くじはお金のムダ。本当に意味のある「資産運用」とは――『臆病者のための億万長者入門』 1番目の画像

 「億万長者になりたい」、誰もが一度は考えたことのある夢だろう。そのために宝くじを買って一儲けを企んだ、そんな人も多いはず。しかし、宝くじの当選確率に目を向けて、現実に立ち返ろうと考える人はなかなかいない。

 本書『臆病者のための億万長者入門』は、そんな様々な業界の「落とし穴」を、「宝くじ」や「マイホーム」などの例と共に、わかりやすく説明している。自分の考えていること、行っていることが果たして「億万長者」になるにふさわしいのか確認してみよう。

「宝くじ」は愚か者に課せられた「税金」

宝くじの商品特性を金商法の理念に照らすと、券面にはリスクとコストを次のような文面ではっきりと書く必要がある。
「宝くじの購入にはリスクがあります。1等の当せん確率は1000万分の1で、宝くじを毎回3万円、0歳から100年間購入したとしても、99.9%の購入者は生涯当せんすることはありません」

出典:橘玲(2014)/『臆病者のための億万長者入門』
 宝くじを買ったことがある人は多いだろう。しかし、宝くじで大きなお金を手に入れた人は非常に限られている。

 本書では、宝くじは「税金」であるとバッサリ切り捨てられている。なぜなら宝くじは、払ったことに対する見返りというものがあまりにも薄いからだ。資産運用と比較すると、その差は歴然である。しかし、宝くじより資産運用をする人が少ないのもまた事実である。「宝くじ」は、確率で自分のお金を増やすことを考えられていない愚か者に課されている「税金」なのだ。

「マイホーム」は「高リスク」

リスク耐性の高い企業やファンドが不動産を保有し、リスク耐性の低い個人はそれを賃借した方が経済的に合理的だ、ということになる。

出典:橘玲(2014)/『臆病者のための億万長者入門』
 マイホームと言えば、誰しもが憧れる自分の一番大きな「固定資産」である。40年近いローン、土地の制約の重みを感じながらも、マイホームを持つという夢の実現にひたむきに努力する人は多い。

 しかし、本書でマイホームは「高リスク」であると指摘している。なぜなら、たとえば隣に迷惑の一言では済まされないような人が引っ越してきたとしよう。賃貸の場合、引っ越してしまえば一瞬で問題解決となる。しかしマイホームを所有していた場合、なかなかそういうわけにもいかない。それだけでなく、天災や周辺の退廃など、様々なリスクと向き合っていかなければならない。賃貸とマンションではリスク一つ一つに対する重みが段違いなのである。

 「宝くじ」や「マイホーム」の例は、ある意味で少し「無機質」な印象を持ってしまうかもしれない。宝くじは当たるか当たらないかのドキドキを楽しむものだし、マイホームは自分が理想とする家へのこだわりで成り立っているものだからだ。いわば「夢」である。しかし、「億万長者」という夢が「宝くじ」・「マイホーム」に勝るものであると感じている人は、この本を読んで今一度自分の考えを見直してみてはいかがだろうか。


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