ニーズが多様化し続けている現代の日本。人とは違うもの、自分だけのものを求める人も多く、そのニーズに合わせて同じものでもさまざまな種類が作られています。同じ服なのに色の展開が何十種類もあったり、ジーンズだけでも様々なタイプがあったりと、購入するのに迷うほど。
しかし、選択肢の多さが逆に幸福度を下げる結果になっているかもしれません。これは一体どういうことなのでしょうか?
自由すぎると選べなくなる
ニーズの多様化とそれに応えた商品の種類は、自由度が高くて一見とても魅力的に思えます。例えばTシャツやパンツの色。1種類しかなければ、コーディネートは一つしかできません。しかし、10種類ずつ色展開があれば、非常に多様なコーディネートが可能になります。これは、選択肢がたくさんあるからこその魅力です。
しかし、心理学者のバリー・シュワルツ氏は「選択肢の多さは人々の幸福度を下げている」と提唱しています。その理由が、選択肢が多すぎると人は選べなくるからなのです。
例えば、テレビを買いに行ったとします。その時、300種類のテレビが置いてあったらどうでしょうか? どれを買っていいのかわからなくなり、結局買わずに帰ってくるという人も多いはずでしょう。
このようなことはテレビに限った話ではありません。買い物に行ってあまりに多くの種類があったため、結局どれにするか決められなかったという経験は誰しもあるのではないでしょうか?
実際に、ある投資信託では50件の会社を提示するよりも、10件しか提示しなかった方が参加者が多かったという結果もあります。選択肢が多いからと言って、その中から一つを選べるかと言うと、必ずしもそうではないのです。
満足できないのは選択肢が多いから
選択肢が多いと、それに対する期待度も高くなります。そのため、手に入っても満足し切れない、というデメリットがあります。
一昔前は一つのものに対して、さほど選択肢がありませんでした。そのため、本当に限られた選択肢の中から購入するしかありませんでした。また、たとえ品質が悪くてもある程度の諦めを持てました。
しかし、選択肢が増えたことで「これだけの数があるのだから、これ以上の完璧なものもあるはず」と期待が大きくなってしまうのです。そのため、購入したものに満足できず、なんとなく損をしたような気分になってしまいます。また、選択肢が多い分その選択肢を選んで失敗したときのショックも大きくなってしまうのです。
幸福度を上げるために期待値を下げる
選択肢の多い現代で、高い幸福度を得るためには「期待値を大きくしないこと」が大切です。期待値を低く持つだけで、同じものに対する満足度も異なります。
例えば、期待されている社員がプロジェクトを成功させたとしても、「期待通りの結果だ」としか思いません。しかし、全く期待されていない社員がプロジェクトを成功させたら、期待していた社員が成功させた時よりずっと感動するはず。このように、必要以上の期待を抱かないだけでも満足度はぐんと変わるのです。
自由であること自体は、非常に素晴らしいことですし、選択肢が増えたことでたくさんのメリットがあることは間違いありません。しかし、選択肢が増えたために逃している幸せもあるかもしれないのです。
大切なのは、欲張って必要以上の期待を抱かず、謙虚な姿勢で幸せの価値を上げることです。このような意識を持つだけで、些細なことも幸せに感じられ、生活の幸福度は今まで以上に高まるかもしれません。
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