仕事の規模が大きく複雑になるほどにチームワークが大切になります。どんなに優秀な上司が居たとしても、部下がそれを支えることができなければ本来の実力を発揮することは難しいかもしれません。
チームの実力を最大限発揮するために、部下の育て方が大切。幕末に活躍した高杉晋作、久坂玄瑞などの門下生を輩出した松下村塾の吉田松陰の考え方は、チームの人材育成に応用出来るでしょう。
今回、松下村塾の人材育成についての研究を行っている桐村晋次氏『吉田松陰 松下村塾 人の育て方』という本から、吉田松陰の学びと育成の考え方を一部ご紹介します。
本のハイライト
師弟同行・師弟共学という松陰の学びの姿勢
松下村塾での吉田松陰の教え方は独特なものでした。通常は、師匠が弟子に対し「教える」だけというものに対し、松下村塾では師匠と弟子が共に教え合う「師弟同行・師弟共学」というスタイルを取っています。
彼は、弟子入り希望の者に「あなたは私に何を教えることができますか」という謙虚な学びの姿勢だったそうです。
これは、現代社会において上司と部下の関係に応用できるでしょう。上司は部下に仕事を教えるだけでなく、部下から何かを学ぶことを取り入れることで部下の自律性を養うことができます。
現地で情報収集をする現実立脚主義
人から得た情報にとどまらず、自ら現地に赴いて現実的な情報を収集しようとするのが現実立脚主義。海外の情報を強く欲していた吉田松陰は、アメリカのペリーの軍艦に乗り込み渡航を試みたそうです。
この現実立脚主義という考えは、松下村塾の門下生である後の初代内閣総理大臣 伊藤博文などにも受け継がれることになりました。机上の空論にとどまること無く、現場の情報収集を行うというのは、現代でも必要なスキルでしょう。
個性を最大限に引き伸ばす教育方針
先に紹介した「師弟同行・師弟共学」という学び合いの考え方は、弟子同士でも徹底して行われていました。門下生一人一人の個性を最大限に引き伸ばすため、松陰は弟子同士で討論を行わせるというのが一つの勉強のスタイルだったそうです。
次に個性を引き伸ばすために行ったのが、本の抄録を取ること。本の中で大切だと思うことを紙に書き出しまとめるということを弟子に行わせました。これにより、通常は受動的な態度で読書をする人でも、能動的に学びを得るようになったそうです。
上司の人材育成は、物事をただ教えるだけになりがち。しかし、本当に大切なことは部下の能力を高めることなのではないでしょうか。このことから、吉田松陰の人材育成の方法は現代に改めて参考にすべき方法だと言えます。
『吉田松陰 松下村塾 人の育て方』から、吉田松陰が松下村塾で行っていた人材育成方法を中心にご紹介しました。この本には、幕末を中心とした歴史的背景とともに人材育成について書かれているので、さらに深く知りたい人は、ぜひ手にとってみては?
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう